ギリギリOKの添加物
- ミックストコフェロール(ビタミンE)
- ローズマリー抽出物
- 緑茶抽出物
ドッグフードの安全性において、多くの飼い主さんが不安に思っているのが添加物。
とくに人より体の小さなワンちゃんが添加物を毎日摂取しても大丈夫なのか、体への影響が心配です・・。
ちなみに添加物の影響については、人によって真逆の意見があります。
「少しの量なら問題ない」
「アレルギーやがんに影響する添加物がある」
「無添加フードに変えたら涙やけが改善された」など。
そこで、ドッグフードに使用される添加物について調べてみました。
フードに使用される添加物は危険なのか、また愛犬への影響、絶対に避けたい添加物の種類などについて確認しましょう。
結論からいうと、ドッグフードに含まれる添加物は危険ではありません。ただ添加物を摂取させないほうが愛犬の体に良いのも事実です。
それはでは、危険でないのに避けたほうが良い理由についてそれぞれ確認しましょう。
まず危険でない理由は、ペットフードに使用される添加物は愛犬の体に影響しない安全な範囲で使用されているから。
ペットフードに使用される添加物は、ペットフード安全法によりフードに含まれて良い上限値が設定されています。そのためフードに含まれている添加物が愛犬の体に悪影響を及ぼす危険性はないと考えられています。
そもそも添加物の使用基準を定めるペットフード安全法は、ペットフードの安全性の確保とペットの健康を守るための法律。
そのため国内に流通するすべてのペットフードは、添加物の使用の有無に関係なく安全性が守られているのです。
ただペットフード安全法や使用制限があるとはいえ、添加物を使用したフードは与えないほうが良いです。
なぜなら添加物の使用制限を設定したペットフード安全法は、安全基準が食品や家畜のエサよりも低い、最低限のレベルだからです。
たとえば、ペットフード安全法がフードに含まれて良い添加物の上限値を設定しているのは、たくさんある添加物のなかでたったの4つ。
酸化防止剤のエトキシキン、BHA、BHTと発色剤の亜硝酸ナトリウムだけです。
ペットフードへの含有量の上限値
分類 | 物質等 | 上限値(μg/g) |
---|---|---|
添加物 | エトキシキン BHA・BHT | (合計)150 犬用はエトキシキン 75μg/g以下 |
亜硝酸ナトリウム | 100 |
このほかの添加物の使用について、ペットフード安全法を管轄する農林水産省は「食用や飼料に使用される添加物を中心に利用すること」、また「フードに使用する量は必要最低限の量にすること」と呼び掛ける程度。
その結果、ほとんどの添加物が個別の上限値が設定されないまま、ドッグフードに使用されているのです。
また使用制限のある添加物についても不安な点があります。
使用制限のある4つの添加物のうち、エトキシキンは食用への使用が禁止されてます。
フード以外では一部の家畜のエサに使用が認められていますが、家畜の体内の残留上限値はペットフードの含有量(残留量)のわずか1/10。フードに認められている量よりはるかに少ない量しか、残留が認められていないのです。
参考元:エトキシキンの残留量
さらにエトキシキンやBHA、BHTはフードの酸化を防止する強力な抗酸化作用がある反面、大量摂取すると発がんや肝機能障害などの悪影響をおよぼす危険性が、安全性を調べる毒性試験で確認されています。
とはいえエトキシキンなどの添加物がフードに使用される量は、がんや肝機能障害などの悪影響が起こる量の1/100以下なので、これらの有害な影響は受けないとされています。
しかしドッグフードに使用される添加物は、家畜よりも低い基準や使用制限が未設定など大まかにしか定められていないのです。
また基準の低さ以外にも、添加物を避けたほうが良い理由があります。引き続き見ていきましょう。
ドッグフードの添加物に対する基準の低さだけでなく、添加物を避けたほうが良い理由が3つあります。
それは「ワンちゃんの体に添加物は必要ない」「添加物の長期的な摂取による影響が不明」「炭化物は体に少しずつ蓄積する恐れがある」の3つです。
1つずつ詳しく見ていきましょう。
さきほどフードに使用される添加物の基準の低さについてお話しましたが、基準の低さの問題以前に、添加物は愛犬の体にまったく必要ありません。
このことから、必要のないものをわざわざ摂取させなくて良いというのが、添加物を避けたほうが良い最大の理由です。
そもそも愛犬は飼い主さんから与えられた食事だけを食べ、その食事に含まれる栄養だけで健康を維持しなければいけません。
それなら愛犬に不要なものはできる限り省き、愛犬の体に必要なものをしっかり摂取させてあげることが愛犬の健康維持につながります。
また添加物は愛犬の体に影響しない安全な範囲で使用されているとはいえ、長期的に摂り続けたときの影響は、はっきりと解明されていません。
なぜなら添加物の長期的な摂取による影響は、食事を一切摂らずに添加物だけを摂取し続けないと調べられないからです。
とうぜんですが、添加物だけを摂取し続けることは現実的に不可能。そのため同じ添加物を何十年も摂取し続けたときの影響はだれにも分からないのです。
長期的な摂取による影響が分からないフードを愛犬に与えることに大きな抵抗を感じます。
ちなみに体内に摂取した添加物は、摂取してから2日以内に8割以上が尿や便と一緒に体外へ排出されます。
上記はラットに添加物を摂取させ、添加物が体外に排出されるまでの時間と排出量の割合を調べた試験結果です。
試験の結果、添加物を摂取させた2日以内に約8割以上の添加物が、尿や便と一緒に体外へ排出されたことが確認されています。
この試験の結果を見る限り、添加物を摂取しても体内に蓄積されないため問題ないように思います。
しかし2日以内のうちに体外へ排出された添加物は最大で85%。残り15%の添加物はまだ体内に残っています。
その後、少しずつ体外へ排出されると考えられますが、添加物を使用したドッグフードを毎日摂取している場合、2日以内に排出しきれなかった添加物が体内にどんどん蓄積される可能性が考えられます。
また成長途中の子犬や体の機能が衰えてきた高齢のワンちゃんのなかには、消化する力が弱く摂取した添加物をスムーズに排出できない場合もあります。
すると、体内に蓄積した添加物を排出するために涙の量が増えた結果、涙やけがひどくなったり、免疫機能が過剰反応を起こして皮膚に赤みや乾燥、脱毛などのアレルギー症状が引き起こされる恐れも考えられるのです。
とはいえ、添加物を使用したペットフードを食べても健康なワンちゃんもたくさんいます。
またペットフード安全法などの基準により最低限の安全は守られているので、添加物の影響を気にする必要はないと考える飼い主さんもいます。
ただ愛犬に安全な食事を安心して与えるには、添加物を使用したフードより添加物の入っていない無添加フードのほうが良いのは確かなこと。
余計なリスクを負わないためには、やはり添加物を避けるほうが無難だと判断できます。
それではどのような添加物がフードに使用されているのか、添加物の種類をチェックしましょう。
ドッグフードに使用される添加物は基本的にすべて避けるのがベスト。ただ添加物の種類は多く、すべてを覚えるのは大変です。
そこで「絶対避けたい添加物」と「ギリギリOKの添加物」に分けてチェックしましょう。まず、絶対避けたい添加物は下記の6つです。
・エトキシキン
・BHA(ブチルヒドロキシアニソール)
・BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)
・没食子酸プロピル
・亜硝酸ナトリウム
・タール系色素(赤色102号、黄色5号など)
1つずつ危険性について見ていきましょう。
エトキシキンは強力な抗酸化作用があり、アメリカ軍が枯葉剤の酸化防止剤として使用していたことでも有名な添加物です。
日本では食用への使用が禁止されており、家畜の飼料への使用も一部しか認められていません。
ちなみに家畜の体内に残留する最大値は鶏の筋肉部分で0.007mg/g。一方、ドッグフードに残留するエトキシキンの上限値は75μg/gです。
参考元:エトキシキンの残留量
なおドッグフードの上限値を1gあたりに換算すると、その値は家畜の最大上限値の約10倍の0.075mg/g。ドッグフードは家畜よりも残留量がはるかに多く認められているのです。
エトキシキンは大量に摂取すると発がん性や肝機能障害を引き起こす危険性があり、その母親から生まれた子犬は涙やけや発赤などの遺伝毒性も確認されています。
愛犬の体に影響しないとされていますが、上限値は家畜よりも高く遺伝的な毒性もあるため、絶対に避けたい添加物です。
参考元:食品安全委員会 エトキシキン
BHAはガソリンの酸化防止剤として開発されましたが、現在はドッグフードや一部の食品(食用油脂、バター、マーガリン、魚介冷凍品など)にも使用されています。
なお食用への使用も認められていますが、ラットを使用した動物実験では大量に摂取した際に発がん性が確認されています。
ちなみにフードへの残留量は、発がん性が確認された量の1/100以下。
とはいえ添加物を使用したフードを長期的に摂取し続けると、体外に排出しきれなかった添加物が体内に少しずつ蓄積される可能性も考えられるので、BHAが使用されているフードは絶対に避けましょう。
BHTは接着剤やゴム、包装材料などに使用される酸化防止剤です。またBHAと同じく食用油脂やバター、マーガリン、魚介冷凍品などの一部の食品にも使用が認められています。
発がん性や皮膚炎、体重低下、脱毛などの強い毒性が確認されており、特にアレルギーやがんの家系の体質が影響を受けやすいとされています。
ワンちゃんのアレルギーやがんの発症も増加傾向にあるので、すべてのワンちゃんに避けてほしい添加物です。
参考元:【住まいの科学情報センター】酸化防止剤BHTについて
没食子酸プロピルもドッグフードだけでなく、食用油脂とバターへの使用が認められている酸化防止剤です。
マウスの実験では致死量1kgあたり5gと確認されています。
微量の摂取では体重増加の阻害、肝臓や甲状腺の肥大、脾臓のうっ血などが確認されています。また遺伝子の異常を引き起こす変異原性の危険性もあるとされ、発がんへの影響に注意が必要です。
愛犬の健康のためには、没食子酸プロピルが使用されているフードは選ばないようにしましょう。
参考元:【厚生労働省】既存添加物の安全性の見直しに関する調査研究
亜硝酸ナトリウムは肉の赤みなどの見栄え良くするための発色剤として使用されます。ただドッグフードにおいて、発色剤はまったく意味のないものです。
なぜならワンちゃんの視覚は赤色を認識できないから。ワンちゃんは青と緑、そしてその混合色は識別できるのですが、赤色はほとんど識別できておらず灰色として認識しています。
そのため発色剤を使用して赤みを増やしても、愛犬は灰色にしか見えていません。
また亜硝酸ナトリウムは肉や魚に含まれるアミンと結びつくと、発がん性物質のニトロソ化合物へと変化します。
ほとんどのドッグフードには肉や魚が含まれているため、亜硝酸ナトリウムを使用したフードは発がん性物質のニトロソ化合物が発生する危険性があります。
発がん物質を発生を防ぐために亜硝酸ナトリウムを使用したフードは絶対避けましょう。
赤色102号や黄色5号などはタール系色素と呼ばれる石油が原料の着色料です。
フードに色味を加える目的で使用されますが、愛犬にとって食事の際の色は重要な感覚ではありません。そのためタール系色素も亜硝酸ナトリウムと同じく愛犬にとって意味のない添加物です。
なおタール系色素のなかには、大量摂取するとアレルギーやがんを誘発させる種類もあります。
赤色40号や黄色5号、青色1号、緑色3号などが原材料に使用されているフードは、愛犬の体よりフードの見た目を重視して作られたフードなので決して選んではいけません。
以上が絶対に避けたい添加物です。
続いて、フードへの使用がギリギリ許せる添加物について見ていきましょう。
ドッグフードに使用される添加物は、基本的にはすべて避けるほうが良いです。ただ添加物のなかにギリギリ許せる添加物もあります。
愛犬が食べてくれないなどの理由から無添加フードを利用できない場合は、下記3つの添加物のいずれかを使用したフードを優先的に試してみてください。
ギリギリOKの添加物
ギリギリ許せる添加物は、ミックストコフェロール(ビタミンE)、ローズマリー抽出物、緑茶抽出物の3つ。以上3つの添加物はいずれも、酸化防止剤として使用される自然由来の添加物です。
じつは添加物には大きく分けて2つのタイプがあります。それが自然由来の添加物と化学的に合成して作られた人工添加物です。
ちなみに絶対避けたい添加物として紹介した6つは、すべて人工添加物です。人工添加物は自然由来の添加物より抗酸化力などの効果が強い反面、副作用が心配なデメリットがあります。
一方、自然由来の添加物は人工添加物より効果が低いものの、副作用の心配が少ないためフードに含まれていてもまだ安心です。
なおギリギリOKの添加物は3つとも酸化防止剤の役割がありますが、フードの酸化を防止することはフードの安全管理において重要なポイントです。
なぜならフードは開封した瞬間から少しずつ酸化が進み、酸化が進行しすぎたフードは下痢やおう吐を引き起こす危険性があるから。
そのためフードの酸化を抑える酸化防止剤は、フードの安全確保のためには最低限必要な添加物です。
その酸化防止剤のなかでも人工添加物ではなく、自然由来の添加物(ミックストコフェロール・ローズマリー抽出物・緑茶抽出物)なら副作用の心配なく、フードを安全に守ってくれます。
以上のことから無添加以外のフードを選ぶなら、自然由来の添加物でフードの酸化を防止しているものがおすすめです。
ドッグフードに使用されている添加物は、安全な範囲で使用されているとはいえ必要なものではありません。
愛犬は毎日同じドッグフードを食べ続けるため、余計なものが含まれていない無添加フードを選んであげるのがベストです。
なお無添加フードは添加物を使用したフードよりも賞味期限が短いので、フードが酸化しないように大量購入せず、指定の保存方法を守って早めに食べきるように注意しましょう。
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