
犬も野菜を食べたほうが良い?生野菜よりゆでた野菜がおすすめな理由は?

愛犬のドッグフードのトッピングやおやつに、キャベツやサツマイモなどの野菜を与えている飼い主さんも多いはず。
そのとき愛犬に与える野菜は、生野菜ですか?それとも野菜をゆでてから与えていますか?
生のキャベツやレタスを愛犬が美味しそうに食べるのでつい与えているものの、本当はゆでてから与えたほうが良いのか、体への影響が気になります・・。
そこで犬に野菜を与える際の注意点について調べてみました。そもそも犬に野菜が必要なのか、犬に与えてはいけない野菜など、詳しく見ていきましょう。
目 次
犬も野菜を食べたほうが良いの?

私たちは健康のために野菜を食べるほうが良いとされていますが、愛犬にドッグフードを与えている場合は基本的に野菜を与える必要はありません。
なぜなら家庭での利用が多いドッグフードのほとんどは、犬に必要な栄養がバランス良く調整された「総合栄養食」のドッグフードだから。
総合栄養食のドッグフードには、犬の体に必要なタンパク質や脂質、ビタミン、ミネラルがバランス良く調整されて含まれています。
そのため総合栄養食のドッグフードを主食として与えている場合、愛犬は体に必要な栄養のすべてをドッグフードから摂取できます。
ですから野菜から栄養を補う必要がなく、むしろ野菜を与えすぎると栄養を過剰摂取してしまう可能性があるのです。
以上のことから、ドッグフード(総合栄養食)を毎日食べているワンちゃんは基本的に野菜を摂取する必要はありません。
ただキャベツやブロッコリー、サツマイモなどを好むワンちゃんも多く、ドッグフードのトッピングやおやつに野菜を与えている飼い主さんも多いと思います。
その場合、愛犬が野菜を食べても下痢やおう吐などの体調不良を起こさないのであれば、少量の野菜を与えるのは問題ありません。
そもそも野菜には食物繊維が多く含まれているので、腸内環境を整えて便秘や下痢を予防・改善する効果も期待できます。
ただ野菜を与える場合は、愛犬が1日に必要とするエネルギー量の20%以内に抑えること。また栄養過剰にならないように、野菜を与えた分だけドッグフードの量を減らしましょう。
ドッグフードを与えている場合は原則、犬に野菜は必要ない!
ただ野菜は食物繊維が豊富なので、少量与えるのはOK
次は、愛犬に与える野菜は「生野菜」と「ゆでた野菜」のどちらが良いのか見ていきましょう。
犬には「生野菜」と「ゆでた野菜」のどっちが良い?

愛犬に野菜を与える場合、生野菜とゆでた野菜のどちらのほうが良いのでしょうか?
じつは生野菜とゆでた野菜の両方ともに、メリットとデメリットがあります。

まず生野菜のメリットは、野菜に含まれる栄養成分を丸ごと摂取できること。野菜を生のまま与えると、野菜に含まれる熱に弱い栄養素や酵素なども壊されずにすべて摂取できます。
その反面、生野菜のデメリットは加熱された野菜より消化しにくいこと。とくに野菜は食物繊維が豊富に含まれているので、硬い繊維質がお腹を刺激して下痢を起こす場合があります。

一方、ゆでた野菜のメリットは生野菜より消化しやすいこと。加熱によって野菜の組織が分解されやすくなっているので、生野菜よりお腹に負担がかかりません。
また、シュウ酸カルシウム結石のリスクを高める「シュウ酸」を減らす効果もあります。
しかし加熱によるデメリットとして、熱に弱い栄養素や酵素が破壊されます。また水溶性のビタミンBやビタミンCなども、ゆで汁に流れ出てしまうのが残念な点です。
このように生野菜とゆでた野菜には良い点と悪い点の両方があります。ただ犬のごはん塾では、愛犬にはゆでた野菜を与えるほうが良いと考えています。
その理由は、愛犬に野菜を与える目的は栄養摂取ではなく、おやつ・嗜好品の1つという位置づけだから。
はじめにもお話したとおり、ドッグフードを食べている愛犬は基本的に野菜を摂取する必要はありません。
愛犬に必要な栄養はドッグフードからすべて摂取できるので、野菜は栄養を補うというより愛犬が喜ぶおやつ・ごほうびのようなものです。
そのため愛犬に野菜を与える際は、野菜に含まれる栄養成分よりも「体に負担をかけない・消化しやすい」ことが大切。
ですから栄養成分が減ったとしても、愛犬には生野菜よりゆでた野菜を与えることをおすすめします。
また野菜をゆでることにより、シュウ酸カルシウム結石のリスクを高めるシュウ酸の摂取を減らせるのも、ゆでた野菜をおすすめする重要なポイントです。
それでは野菜に含まれるシュウ酸について、詳しく見ていきましょう。
愛犬には生野菜よりゆでた野菜がおすすめ
ゆでた野菜は消化しやすく、シュウ酸を除去できて一石二鳥!
ホウレンソウに多く含まれるシュウ酸とは?

愛犬には生野菜よりゆでた野菜を与えたほうが良い理由の1つが、野菜に含まれるシュウ酸を減らせること。
シュウ酸は過剰摂取すると「シュウ酸カルシウム結石」のリスクを高める危険性があるので、摂りすぎないように注意が必要です。
なお、シュウ酸が多く含まれる食材は葉野菜やタケノコ、お茶など。野菜のなかではホウレン草が圧倒的に多く、100gあたり800mgのシュウ酸が含まれています。
その他の野菜ではキャベツやブロッコリー、レタスに300mg、さつまいもに250mg、大根には50mgと、愛犬が好みそうな野菜にもシュウ酸は含まれています。
シュウ酸の多い野菜
主な野菜 | シュウ酸の量 (100gあたり) |
---|---|
ホウレンソウ | 800mg |
キャベツ ブロッコリー カリフラワー レタス | 300mg |
さつまいも | 250mg |
ナス | 200mg |
大根 小松菜 かぶ | 50mg |
(参照)https://minds.jcqhc.or.jp/
愛犬にホウレン草やキャベツを一度に100gも与えることはないと思いますが、少量でも毎日与えると体への影響が心配です。
そこで野菜に含まれるシュウ酸の摂取量を抑えるのに効果的なのが、野菜をゆでること。
シュウ酸は水溶性なので、ゆでるとシュウ酸が水に溶け出るため摂取量をグッと減らせることができます。
Minds(厚生労働省委託事業)のデータでは、ホウレン草を3分間ゆでるとシュウ酸が37~51%除去できることも報告されています。
そのためシュウ酸カルシウム結石の予防には、ホウレン草だけでなくキャベツやレタス、ブロッコリーなども、ゆでてから与えるほうが安心です。
なお、ゆで汁には溶け出たシュウ酸が含まれているので愛犬に与えてはいけません。
シュウ酸の摂取を減らすにはキャベツやレタスもゆでるほうが◎
ゆで汁には溶け出たシュウ酸が含まれているので与えるのは×
ほかにも愛犬に注意が必要な野菜について見ていきましょう。
犬に玉ねぎやアボカドを与えるのは絶対ダメ

犬に与えてはいけない野菜は、玉ねぎやネギ、ニラなどのネギ科の野菜とアボカドです。この2種類は愛犬に絶対与えないように注意しましょう。
●玉ねぎなどのネギ科の野菜
まず玉ねぎやネギ、ニラ、ニンニク、ラッキョウなどのネギ科の野菜には、「アリルプロピールジサルファイド」という有機硫黄化合物が含まれていて、犬が摂取すると赤血球が破壊される危険性があります。
赤血球が破壊されると、体内の血液が不足するため貧血を起こします。
その他にも主な症状は、下痢、おう吐、呼吸が荒くなる、血尿、黄疸、体の震え、興奮、不整脈、けいれん、昏睡など。
なお、アリルプロピールジサルファイドの中毒症状は、体重1kgあたり5~10gのごく少量の摂取でも起こる危険性があります。
また、アリルプロピールジサルファイドは加熱しても消えないので、愛犬に与える食べ物とネギ科の野菜は完全に分けて調理しましょう。
●アボカド
アボカドには「ペルシン」という殺菌作用のある毒素が含まれています。
ちなみに私たちがアボカドを食べても、ペルシンの毒素の影響を受ける心配はありません。
しかし愛犬が摂取すると、下痢やおう吐、呼吸困難などの中毒症状を起こす危険性があります。
なお市販のドッグフードには、原材料にアボカドが使用されているものがあります。
ただし、そのドッグフードに使用されているアボカドはペルシンの量が少ない品種が使用され、さらに製造工程でペルシンの毒素を抑える工程がおこなわれています。
ちなみに日本で販売されているアボカドは「ハス(HASS)」という品種。アボカドのなかでもペルシンが多いという意見もあれば、少ないという真逆の意見もあります。
また、たとえ毒素が低くても体への影響が不安な食材をわざわざ与える必要はありません。
ドッグフードに使用されているからと、アボカドそのものを与えるのは危険なので絶対やめましょう。
玉ねぎやニラなどのネギ科の野菜とアボカドは、愛犬に絶対NG!
続いて愛犬に与える歳に、注意が必要な野菜について見ていきましょう。
キャベツやブロッコリーは与えすぎに要注意!

ブロッコリーやキャベツは多くの犬が好きな野菜です。ただ愛犬に与えても良い野菜にも注意点があります。
ここでは、アブラナ科の野菜(キャベツ、ブロッコリーなど)とナス科の野菜(トマト、ナス、ジャガイモなど)の注意点について見ていきましょう。
●キャベツ、ブロッコリーなどのアブラナ科の野菜
キャベツやブロッコリー、大根などのアブラナ科の野菜は、犬も大好きな野菜の種類。とくにキャベツは生でバリバリ食べるという愛犬もいると思います。
ただしアブラナ科の野菜には、甲状腺を腫れさせる「ゴイトロゲン」が含まれているので注意が必要。
与えすぎると甲状腺が肥大して、機能低下を引き起こす危険性があります。
甲状腺の機能低下によって起こる「甲状腺機能低下症」になると、皮膚の黒ずみやフケ、脱毛、体重増加、肥満、元気がなくなる、心拍数の低下などの症状があらわれます。
甲状腺に悪影響を与えないように、キャベツやブロッコリーの与えすぎには注意しましょう。
●トマト、ナス、ジャガイモなどのナス科の野菜
トマトやナス、ジャガイモなどのナス科の野菜には、「アルカロイド」という有機化合物が含まれています。
この成分は植物が虫などから自分の身を守る自己防衛のために含まれていますが、愛犬によってはアレルギーを起こす場合があります。
また長期的にアルカロイドを摂取すると、関節炎のリスクを高める危険性もあるので関節が痛みやすくなる高齢犬は摂取を控えるほうが安心です。
なお、ナス科の野菜はトマト、ナス、シシトウ、ピーマン、パプリカなど。またジャガイモもナス科の野菜なので注意しましょう。
ちなみにジャガイモの芽や緑色の皮の部分に含まれる「ソラニン」と呼ばれる成分がアルカロイドの1種です。
摂取すると下痢やおう吐、ヨダレが多くなるなどの症状があらわれるので、ジャガイモの芽や緑色の皮は必ず取り除いて火を通してから与えましょう。
さいごに、愛犬におすすめの野菜をチェックしましょう。
サツマイモは便秘も予防できて愛犬におすすめ

愛犬におすすめの野菜はサツマイモです。サツマイモは野菜のなかでも甘味が強く、犬は甘味を感じる能力が高いのでサツマイモが大好物なワンちゃんも多いはずです。
ちなみに、犬は炭水化物が多く含まれる小麦やトウモロコシなどの穀物の消化が苦手。
サツマイモも炭水化物が豊富に含まれていますが、穀物より消化率が高いと考えられており体に負担をかけずに吸収されます。
またサツマイモには水溶性と不溶性の両方の食物繊維が含まれているので、腸内環境を整えて便秘や下痢の予防・改善の効果も期待できます。
ただ加熱しても皮が硬い場合があるので、愛犬には皮を取り除いて与えましょう。
おすすめの野菜は他にもあります。
●かぼちゃ
カボチャは抗酸化作用のあるビタミンEやβカロテンが豊富に含まれています。またサツマイモと同じく甘みが強く、食物繊維も豊富に含まれている点も魅力です。
生のままでは硬すぎるので必ず加熱すること、また皮を取り除いたものを与えましょう。
●枝豆
大豆アレルギーでなければ枝豆を少量与えてもOKです。塩は使用せず、薄皮も取り除いた状態で与えるほうが消化不良の心配がありません。
また犬は食べ物を丸飲みする習性があるので、実を丸ごとあげず半分や1/4に細かく分けて与えるほうが安心です。
●きゅうり
きゅうりは95%が水分でできているので、水分補給にも利用できます。原則、野菜はゆでることをおすすめしていますが、きゅうりは生食のまま与えてもOKです。
しっかり水洗いをして細かく刻んで与えましょう。
以上が、愛犬に野菜を与える際の注意点です。
なお野菜は低カロリーとはいえ、与えすぎると肥満の原因にるので注意しましょう。
まとめ
愛犬がドッグフードをきちんと食べている場合は、基本的には野菜を与える必要はありません。
なお野菜を与える場合は、少量(1日のエネルギー量の10~20%まで)に抑えること。
そして野菜を与えた分だけドッグフードの量を減らして、エネルギーと栄養を摂り過ぎないように気をつけてあげましょう。
また熱に弱い栄養成分はなくなるものの、ゆでたり加熱したほうが愛犬は消化しやすいので野菜は必ず加熱してから与えましょう。
おすすめドッグフード目的別ランキング