ドッグフードに肉や野菜をなんでもトッピングすると、愛犬の体に悪影響を与えることも!
愛犬の健康のためにも【トッピングのルール】を知っておきましょう
「肉や野菜をトッピングしないと、ドッグフードを食べてくれない・・」
「ドッグフードだけだと、何だか味気なくてかわいそう・・」
こんな理由から、愛犬のドッグフードに肉や野菜をトッピングしている飼い主さんは多いはず。
しかし、ドッグフードに肉や野菜をトッピングするときは、使用する食材や量に注意しないと、かえって愛犬の健康に悪影響を与える場合があるって知っていますか?
そこで今日は、ドッグフードのトッピングに関する注意点をお伝えします。
「ドッグフードにトッピングは必要なの?」
「トッピングにおすすめの食材は?」
「トッピングの量、注意するポイントは?」など。
これらの疑問を中心に【トッピングのルール】を1つずつ確認していきましょう。
ドッグフードに肉や野菜をなんでもトッピングすると、愛犬の体に悪影響を与えることも!
愛犬の健康のためにも【トッピングのルール】を知っておきましょう
それではまいります。
目 次
いきなりですが、基本的にドッグフードにトッピングは必要ありません。
「え・・何だよ、それ」
「トッピングのルールも何もないじゃん」って思いますよね。
なぜ、ドッグフードにトッピングが必要ないかというと、ドッグフードは犬に必要な栄養がバランス良く調整して作られているから。
ちなみに、こういった犬に必要な栄養がバランス良く調整して作られたドッグフードを「総合栄養食」といいます。
じつは、飼い主さんが愛犬の主食に与えているドッグフード(カリカリタイプが主流)のほとんどが、この総合栄養食タイプのドッグフードです。
愛犬に総合栄養食のドッグフードを主食として与えている場合、愛犬は1日に必要な栄養のすべてをドッグフードから摂取できます。
そのため、ドッグフードのほかに補給が必要なのは新鮮な水だけ。ドッグフードと水さえあれば、愛犬は健康を維持できるとされています。
ですから、わざわざ肉や野菜を食べる必要がないのです。
以上のことから、基本的にはドッグフード(総合栄養食)にトッピングは必要ありません。
・・そう、「基本的には」です。
栄養補給の目的だけでいうと、たしかにドッグフードにトッピングは必要ありません。
しかしトッピングの目的が、愛犬の食欲を刺激することやご褒美のためであれば、話はべつ。
トッピングを利用するのは、とても効果的な方法です。
というのも、多くの飼い主さんが利用しているドッグフードは、水分量が10%前後のドライフード。水分がほとんど含まれていないので、カリカリとした硬い食感と風味が薄いのが特徴です。
一方、トッピングに使用される主な食材は、ゆでた野菜やお肉。水分を多く含んでいるので柔らかく、ドライフードより圧倒的に風味が豊かです。
そのためドライフードだけを与えた場合と、ゆでた野菜やお肉をドッグフードにトッピングして与えた場合とでは、愛犬の反応が全然ちがいます。
野菜やお肉をお鍋でゆでているときから、ソワソワしているワンちゃんも多いのでは。
このことからトッピングは栄養補給というより、愛犬にとってご褒美のようなもの。食事をより楽しんでもらうためのアイテムなのです。
ですから、栄養を補うために野菜やお肉を与える必要はありませんが、愛犬の食欲を刺激したり食事をより楽しんでもらうために、肉や野菜をトッピングとして与える分には何も問題ありません。
ドッグフードのトッピング(肉・野菜など)の目的は、愛犬へのごほうびや食欲を刺激するため
栄養補給が目的ではありません
このように、ドッグフードとトッピングの目的はまったくちがいます。
ドッグフードが体に必要な栄養を摂取することが目的に対して、トッピングは愛犬へのご褒美や食欲を刺激するのが目的。
このちがいを知ると、トッピングを気軽に試しやすくなるだけでなく、どのような点に注意が必要かも見えてきます。
次の章からは、トッピングでよく使用される肉と野菜の中でおすすめの食材や、注意点について見ていきましょう。
まずはお肉からです。
オオカミの子孫である犬は、お肉が大好き!
そのため、愛犬の食欲がなかったりドライフードだけでは食べない場合も、お肉をトッピングするだけでドッグフードをパクパク食べてくれるようになります。
ただお肉をトッピングに使用する際は、下記の3点に注意が必要です。
お肉のトッピングの注意点
1つずつ見ていきましょう。
鶏のささみをトッピングに使用している飼い主さんも多いと思いますが、鶏のささみの与えすぎには注意が必要です。
なぜなら、鶏のささみはリンが多く含まれているから。鶏のささみを与えすぎると、リンを過剰摂取させてしまう危険性があります。
鶏のささみにリンがどのくらい含まれているかと言うと、100g中のささみに含まれるリンの量は220mg。
同じ100gあたりの牛肉のリンの量が130mg、ラム肉100mgに比べて、鶏のささみのリンの量は1.5~2倍以上も多く含まれています。
100g中に含まれるリンの量
肉の部位 | リンの量 |
---|---|
鶏のささみ | 220mg |
鶏もも肉 | 160 mg |
牛バラ肉 | 130 mg |
豚もも肉 | 200 mg |
鹿肉 | 200 mg |
ラム肉 | 100 mg |
馬肉 | 170 mg |
なお、リンはカルシウムとともに骨や歯の維持に欠かせない栄養成分。
しかしリンばかりを偏って摂取すると、骨や歯に含まれるカルシウムが血中に溶け出して、骨や歯がもろくなるのです。
またリンの過剰摂取は、高齢犬に多い心臓病や腎臓病のリスクを高める危険性もあります。
そのため愛犬が高齢の場合は、リンの量が多い鶏のささみを毎日与えるのはおすすめできません。
同じ鶏肉でも、鶏もも肉(リンの量:160mg)や鶏むね肉(リンの量:170mg)のほうがリンの量が少ないです。
また、お肉の中ではラム肉が100gあたり100mgとリンの量がひときわ少ないので、高齢犬の食事のトッピングにおすすめです。
鶏のささみはリンが多いので、毎日トッピングに使用するのはおすすめできません
ささみよりもリンの量が少ない鶏肉(もも・むね)や低リンのラム肉のほうが安心です
つづいて、2つ目の注意点を見ていきましょう。
お肉は野菜など他の食品と比べて脂質が多い分、カロリーが高いです。
そのため野菜と同じ感覚でトッピングすると、必要以上にカロリーを摂取してしまい肥満の原因になります。
トッピングはあくまで「ご飯のおまけ」のようなものなので、ドッグフードが見えなくなるほど大量に加えてはいけません。少量を心かげましょう。
ちなみに1回分の食事にトッピングする目安は、ドッグフードの量の5%程度。
量を細かく測る必要はありませんが、量があいまいになるのでその分、体重管理をきっちりおこなう必要があります。
愛犬が適正体重を維持できているか、体重とボディラインをチェックして肥満に注意しましょう。
トッピングの量はドッグフードの5%程度、少量に抑えること
肥満を防ぐため、体重管理を徹底しましょう
3つ目は、お肉の生食についてです。
野生の食事に近いとして、犬に生肉を与えるスタイルが定着しつつあります。
「生肉だけを与えるのは勇気がいるけれど、ドッグフードのトッピングとしてなら試してみたい・・」
そう考える飼い主さんもいるのでは。
生食の話は、また別の記事で詳しくお話しますが、愛犬に生肉を与える場合は必ずペット専用の生肉、もしくは人用の生食可能な肉を使用してください。
犬は腐肉食動物(ふにくしょくどうぶつ)といって、動物組織が分解されるときに蓄積する成分を好む性質があり、人より食中毒を起こしにくいとされていますが、生食用でないお肉を与えるのは危険です。
生食用でない生肉には、カンピロバクターや腸管出血性大腸菌(O-157など)など、食虫毒の原因菌が大量に潜んでいる恐れがあります。
ですから、スーパーに売っている加熱用の肉を生食に与えるのは、絶対にやめましょう。
また、今まで生肉を食べたことのないワンちゃんは、生食用のお肉でもお腹がびっくりして下痢を起こす場合があります。
そのため生肉を与える場合は、体に慣れさせるように少量ずつ摂取させてお腹の様子を見てあげましょう。
また生食より安心して与えられるのが、加熱したお肉です。
消化機能が未熟な子犬や体の機能が低下した老犬には、生肉より火を通したお肉のほうが安心でおすすめ。
ゆで汁にもお肉の旨みが出ているので、ゆで汁も利用しましょう。
お肉のゆで汁をドッグフードに大さじ1杯ほどかければ、お肉の量が少なくても愛犬の食欲を刺激できます。
スープを温めて与えればフードの香りが引き立つので、効果は倍増。水分補給もできて、体も温まるなど、嬉しい効果がたくさんあります。
生食は必ず「生食可能」のお肉を使用すること
子犬や高齢犬には加熱した温かいお肉のほうがおすすめです
つづいて、野菜の注意点についてです。
ドッグフードのトッピングは、栄養摂取の目的ではないとお話しましたが、野菜をトッピングに使用すると、ある効果が得られます。
それは「腸内環境の改善」。
野菜は食物繊維が豊富に含まれているので、ドッグフードのトッピングに野菜をプラスすると食物繊維の整腸作用を得ることができます。
食物繊維はウンチのかさを増やしたり腸の働きを促すなど、腸内環境を整える役割がある栄養素。整腸作用によって便秘や下痢の予防・改善効果が期待できます。
とくに高齢になると、腸の働きが低下することで便秘を起こしやすくなります。
そのため野菜をトッピングして食物繊維の摂取量を増やし、便秘を起こさないように予防するのも健康維持の1つの方法です。
ただし野菜の与えすぎは、逆効果になるので要注意。
食物繊維は体内に吸収されず体の中を通って排泄されるため、摂りすぎても太る心配はありません。
しかし、ほかの栄養素まで一緒に体内へ排出させて、体内吸収を邪魔する場合があります。
とくに影響をうけやすいのが、体の必要量が少ないビタミンとミネラル。
ビタミンやミネラルは体の必要量がごくわずかなため、食物繊維に絡みついて体外へ排出されると、体内のビタミンやミネラルが不足してしまう場合があります。
また食物繊維は便秘や下痢の予防・改善に効果的ですが、摂りすぎは反対に便秘・下痢を引き起こします。
そのためお肉をトッピングする場合と同じく、1回分の食事にトッピングする目安はドッグフードの量の5%程度に抑えましょう。
野菜をトッピングすると、食物繊維の摂取量を増やせます
食物繊維の整腸作用で、便秘や下痢を予防・改善しよう
それでは、トッピングにおすすめの野菜をチェックしましょう。
愛犬のご飯のトッピングにおすすめの野菜は、さつまいも、キャベツ、ブロッコリー、かぼちゃ、枝豆、きゅうりの6点です。
トッピングにおすすめの野菜
1つずつポイントを見ていきましょう。
●さつまいも
さつまいもは野菜のなかでも甘味が強く、犬は甘味を感じる能力が高いのでさつまいもが大好物なワンちゃんも多いはずです。
ちなみに、犬は炭水化物が多く含まれる小麦やトウモロコシなどの穀物の消化が苦手。
さつまいもも炭水化物が豊富に含まれていますが、穀物より消化率が高いと考えられており体に負担をかけずに吸収されます。
またさつまいもには水溶性と不溶性の両方の食物繊維が含まれているので、腸内環境を整えて便秘や下痢の予防・改善の効果も期待できます。
ただ加熱しても皮が硬い場合があるので、愛犬には皮を取り除いて与えましょう。
●キャベツ、ブロッコリーなどのアブラナ科の野菜
キャベツやブロッコリー、大根などのアブラナ科の野菜は、犬も大好きな野菜の種類。とくにキャベツは生でバリバリ食べるという愛犬もいると思います。
ただ火を通すほうが柔らかく食べやすいので、子犬や高齢犬にはサッとでも湯通ししてから与えましょう。
またアブラナ科の野菜には、甲状腺を腫れさせる「ゴイトロゲン」が含まれているので、愛犬に与えすぎると甲状腺が肥大して、機能低下を引き起こす危険性があります。
甲状腺の機能低下によって起こる「甲状腺機能低下症」になると、皮膚の黒ずみやフケ、脱毛、体重増加、肥満、元気がなくなる、心拍数の低下などの症状があらわれます。
甲状腺に悪影響を与えないように、キャベツやブロッコリーばかりをトッピングに使用するのは避けましょう。
●かぼちゃ
カボチャは抗酸化作用のあるビタミンEやβカロテンが豊富に含まれています。またさつまいもと同じく甘みが強く、食物繊維も豊富に含まれている点も魅力です。
生のままでは硬すぎるので必ず加熱して、皮を取り除いてから与えましょう。
●枝豆
大豆アレルギーでなければ枝豆を少量与えてもOKです。塩は使用せず、薄皮も取り除いた状態で与えるほうが消化不良の心配がありません。
また犬は食べ物を丸飲みする習性があるので、実を丸ごとあげず半分や1/4に細かく分けて与えるほうが安心です。
●きゅうり
きゅうりは95%が水分でできているので、水分補給にも利用できます。原則、野菜はゆでることをおすすめしていますが、きゅうりは生食のまま与えてもOKです。
しっかり水洗いをして細かく刻んで与えましょう。
愛犬の好みに合わせて、このほかの野菜を与えてもOKです
犬にNGな食品はこちらの記事を参考にしてください
また野菜は生野菜と、ゆでた野菜のどちらで与えても良いのでしょうか?
さいごにチェックしましょう。
生野菜をそのまま与えても問題はありませんが、基本的にはサッとでも湯通ししてから与えることをおすすめします。
なぜなら、ゆでた野菜のほうが消化しやすく、シュウ酸などの不要な成分を取り除けるからです。
ホウレン草をはじめとする葉物を中心に野菜には、「シュウ酸カルシウム結石」のリスクを高めるシュウ酸が含まれています。
ちなみにシュウ酸が多く含まれるホウレン草は、100gあたり800mgのシュウ酸が含まれています。
その他の野菜ではキャベツやブロッコリー、レタスに300mg、さつまいもに250mg、大根には50mgと、微量とはいえ色々な野菜にシュウ酸は含まれているのです。
シュウ酸の多い野菜
主な野菜 | シュウ酸の量(100gあたり) |
---|---|
キャベツ・ブロッコリー・カリフラワー・レタス | 300mg |
さつまいも | 250mg |
ナス | 200mg |
大根・小松菜・かぶ | 50mg |
(参照)https://minds.jcqhc.or.jp/
この値を見ると、愛犬に野菜を与えるのが心配になりますよね・・
しかし愛犬には生野菜ではなく、ゆでた野菜を与えればシュウ酸の影響は心配ありません。
その理由は、シュウ酸は水に溶け出る性質があるから。
シュウ酸は水溶性なので、ゆでるとシュウ酸が水に溶け出るため摂取量をグッと減らせることができます。
Minds(厚生労働省委託事業)のデータでは、ホウレン草を3分間ゆでるとシュウ酸が37~51%除去できることも報告されています。
そのためシュウ酸カルシウム結石の予防には、ホウレン草だけでなくキャベツやレタス、ブロッコリーなども、ゆでてから与えるほうが安心です。
なお、ゆで汁には溶け出たシュウ酸が含まれているので愛犬に与えてはいけません。
野菜には「シュウ酸カルシウム結石」のリスクを高めるシュウ酸が含まれています
シュウ酸はゆでると、ある程度の量を取り除くことができるので、生のままより火を通してから与えましょう
ドッグフードのトッピングは栄養摂取が目的ではなく、愛犬の食欲を刺激したり食事をより喜んでもらうためのものです。
愛犬にご飯を安全に楽しんで食べてもらうためにも、上記の内容を参考にトッピングをうまく活用してあげましょう。
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