
ヒューマングレードのメリットは?そうじゃないドッグフードは危険?

1kg1,000円以上のドッグフードには、「ヒューマングレード」や「人が食べられる食材のみ使用」といった内容が表示されている場合があります。
これはフードの原材料が「食用と同じ品質」という意味をあらわすもの。フードの安全性をアピールする目的として、素材にこだわったドッグフードによく表示されています。
ところが「ヒューマングレード」という言葉はきちんとした定義がありません。そのため場合によっては、メーカーが好きなように利用できる便利な言葉でもあるのです。
そこでヒューマングレードについて調べてみました。どのようなフードに「ヒューマングレード」の表示があるのか、また「ヒューマングレード」の表示がないフードは危険なのか確認しましょう。
目 次
ヒューマングレードとは?

そもそもヒューマングレードとは、私たち人でも食べられる品質の高い原材料を使って作られたペットフードのことを意味する、ペットフード業界特有の言葉です。
「食用と同じ品質=ヒューマングレード」という考えから、このように表現されています。
また人でも食べられる原材料から作られるので、安全性が高く信頼できるフードです。
そのため食用と同じ品質の原材料を使用したフードには、「ヒューマングレード」や「人が食べられる食材のみを使用」などの言葉が必ず表示されています。
このように「ヒューマングレード」は、メーカーにとってはフードの価値を高める重要な言葉であり、飼い主さんにとっては安全なフードを見分ける大切なポイントとなっているのです。
ただし「ヒューマングレード」という言葉にはきちんとした定義がありません。
定義がないということは、何を持ってヒューマングレードとするかは各メーカーの自由。場合によってはメーカーの好きなようにヒューマングレードの言葉を利用できる便利な言葉でもあるのです。
そのためヒューマングレードの表示だけを見て、フードの安全性を信用してはいけません。ヒューマングレードが何に対するものか、そのほかの情報もしっかり確認する必要があります。

なおフードのパッケージや公式サイトなどで、ヒューマングレードが何に対するものか確認できない場合は、ヒューマングレードという言葉を利用しているだけとも考えられるので注意しましょう。

一方、「人が食べられる食材のみを使用」と具体的な表示があるフードは、その言葉のとおり原材料には私たちでも食べられる品質の食材が使用されています。
安全性が高いフードだと判断して良いでしょう。
そもそもヒューマングレードなどの安全性に関する表示を見かけるようになったのは、ここ数年のこと。安全性を意識したフードが増えていることに理由はあるのでしょうか。
引き続き見ていきましょう。
ペットフードは「質より量」から「量より質」へ

安全性をアピールしたフードが増えている理由は、フードに対する飼い主さんの意識が変わったことが大きく関係しています。
そもそもペットフードの安全基準はかなり低め。
ペットフードは私たちが食べる食用の基準だけでなく、牛や豚・鶏などの家畜のエサよりも制限や規制が少ない、最低限のレベルで安全基準が設定されているのです。

ちなみに同じ動物でも牛や豚などの家畜と、ワンちゃんやネコちゃんなどのペットの安全基準が区別されている理由は、人の体に影響する動物かどうかのちがい。
家畜はいずれ人が食べるため、人の体に悪影響を及ぼさないようにエサに使用できる材料や添加物などの安全基準が細かく設定されています。
一方、ワンちゃんやネコちゃんは愛がん動物。人が食べることは絶対ありません。
しかし「人が食べない=人の体に影響しない」ことから、ペットの健康やペットフードの安全性は長い間軽視されてきたのです。
その結果、ペットフードの安全基準は食用や家畜のエサよりも低く、食品や家畜のエサとは製造ラインも分けるように定められています。
ちなみにペットフードの原材料には、見栄えの悪い不揃いの野菜や果物、食用にならない家畜の端切れ肉や内臓、血液、骨、羽、ひづめなども使用されます。
さらには食用として販売される前に死亡した家畜(豚・鶏・馬)の使用も認められているのです。

このような低い基準でペットフードが扱われてきた原因には、ペットに対する人の意識の薄さが深く関係しています。
昔はワンちゃんやネコちゃんはあくまでもペット。そのため飼い主さんがペットフードに求めるものは「質より量」の安価なフードで、フードの安全性に対する意識も低かったのです。
それから人とペットの関係はだんだん距離が縮まり、現代ではワンちゃんやネコちゃんはペットというより家族の一員という大きな存在に。
ペットとの距離が近くなるにつれて、飼い主さんが求めるフードは「質より量」から「量より質」へと変わり、ようやくフードの安全性が重視されるようになったのです。
その結果、原材料に食用と同じ材料を使用した「ヒューマングレード」の安全性の高いフードが増えてきたのです。
いまやヒューマングレードの表示は、飼い主さんがフードの安全性を見分ける大切なポイントになっています。
しかし逆を言えば、ヒューマングレードの表示が無いフードはすべて危険なフードなのでしょうか?
ヒューマングレードの表示がないフードは危険?

結論からいうと、ヒューマングレードの表示がなくてもフードの安全性は最低限守られています。
なぜなら日本にはペットフード安全法という法律があるから。ペットフード安全法とは2009年に施行された、フードの安全やペットの健康を守る法律です。
そのため国内に流通するすべてのフードは、ペットフード安全法により最低限の安全性が確保されています。
たとえばフードに使用される添加物や食材の残留農薬などは、ワンちゃんやネコちゃんの体に悪影響を及ぼさないための基準値が設定されています。
またペットフードは食用に販売される前に死亡した家畜の使用が認められていますが、ペットフード安全法では有害物質や病原菌などを含んだ原材料の使用を禁止。
このほかにも鳥インフルエンザウイルスなどの伝染病にかかった家畜は、家畜伝染病予防法により販売が禁止されています。
そのためワンちゃんやネコちゃんに有害な病原菌などがフードに含まれている危険性はありません。
ヒューマングレードでないフードだけを食べて、健康に暮らすワンちゃんやネコちゃんもたくさんいるのも事実です。
ただ、私が愛犬に食べさせるフードは「ヒューマングレード(人が食べられる食材のみを使用)」の表示があるフードに限定しています。
その理由について詳しく見ていきましょう。
ヒューマングレード以外は悪いフード?

ペットフード安全法によりフードの安全は守られているとはいえ、その安全性は最低限のレベル。
添加物や残留農薬の使用基準はワンちゃんやネコちゃんに影響しない量が設定されているといっても、その上限量は食用よりも多く設定されているものもあり、なかには食用には使用が禁止されている添加物もあります。
またペットフードの原材料には、食用にならない家畜の端切れ肉や内臓、血液、骨、羽、ひづめ、さらに死亡した家畜の再利用が国から認められています。
そのためこれらの材料をフードに使用しても違法ではありません。ただ死亡した家畜で作られたフードを愛犬が食べても良いと思う飼い主さんはいないはず‥。
ちなみに家畜の端切れ肉や内臓、血液、骨、羽、ひづめなどは「副産物」と呼ばれ、高温で熱処理され粉末状に加工されます。
副産物は使用する家畜の部位によって種類があり、肉骨粉や動物性油脂、チキンオイル、ポークミールなどの名称でフードの原材料に使用されます。
また死亡した家畜は「Dead(死んだ)・Dying(死にかけ)・Diseased(病気の)・Disabled(障害のある)」の4つの頭文字から「4Dミート」と呼ばれ、副産物と並んで愛犬に食べさせたくない原材料の代表です。
4Dミート
- Dead(死んだ)
- Dying(死にかけ)
- Diseased(病気の)
- Disabled(障害のある)
ペットフード安全法はフードの安全を守る法律ではありますが、副産物や4Dミートの使用を認めるほど低いレベル。食用の安全基準に比べて大きく下回っています。
そのため副産物や4Dミートを避けようと思うと、結果的に私たちが食べる食品と同じ「ヒューマングレード」のフードを選ぶことになるのです。
ヒューマングレード以外のフードは添加物も多い?
またヒューマングレードのフードとそうでないフードは、副産物や4Dミートのほかに添加物の使用にも差がある場合が多くあります。
ちなみに添加物も4Dミートや副産物と同じく、愛犬に与えたくない原材料の1つです。

そのため素材にこだわるヒューマングレードのフードの多くは無添加、もしくはフードの安全確保のために最低限必要な添加物だけが使用されています。
また使用する添加物はビタミンEなどの自然由来の添加物のみ。化学由来の人工添加物は使用されないケースがほとんどです。

一方、ヒューマングレードでないフードのなかでも副産物(肉骨粉・動物性油脂・チキンオイル・、ポークミールなど)の使用が多いフードは、添加物の使用も多い傾向があります。
フードに使用される主な添加物は、人工的に作られた酸化防止剤や保存料、着色剤、発色剤、甘味料など。フードの安全確保のためではなく、見た目や風味をごまかすために使用されるものがほとんどです。
このようにヒューマングレードの表示だけでフードを区別して見ても、フードの原材料に大きな差があるのです。
またワンちゃんやネコちゃんに影響を与えない量しか添加物は使用されないとはいえ、私たちよりも小さな体のワンちゃん達が毎日摂取してしまうことに抵抗を感じます。
科学的な実証はありませんが、添加物を使用したフードから無添加のフードに変更したワンちゃんのなかには、皮膚の乾燥や被毛のパサつき、涙やけなどの症状が改善されたケースもあります。
安全範囲内とはいえ、体に不要な添加物や低品質の4Dミート・副産物が愛犬の体に何かしらの影響を与える危険性はゼロではありません。
また愛犬はフードに含まれる栄養だけで健康を維持しなければいけません。
そのため食用より安全基準が低いレベルで作られたフードよりも、私たちの食品と同じレベルで作られたヒューマングレードのフードのほうが安全性が高く、愛犬にも安心して与えられます。
以上のことから大切な家族の一員である愛犬のためには、ぜひ私たちと同じヒューマングレード(人が食べられる食材のみを使用)のフードを選んであげましょう。
まとめ
「ヒューマングレード」は安全なフードを簡単に見分けられるポイントです。
しかしヒューマングレードという言葉には定義がないため、ヒューマングレードの表示が何に対するものか、フードの情報を確認してしっかり見分けるように注意しましょう。
言葉だけを利用したものでない、本当のヒューマングレード(人が食べられる食材のみを使用)のフードは、ワンちゃんの健康を考えて作られているものばかりです。
愛犬の安全な食事のためにも、ぜひ本当のヒューマングレードのフードを選んであげましょう。
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