ビートパルプは危険じゃない!ドッグフードに使用する理由は愛犬の健康のため?

ビートパルプは危険じゃない!悪者扱いされるビートパルプの本当の役割とは?

ドッグフードの原材料のなかで、よく悪者扱いされる「ビートパルプ」を知っていますか?

ビートパルプとは、砂糖の原料であるビート(テンサイ)に含まれる食物繊維を利用したもの。

ただ砂糖の搾りかすの再利用であることから、「ビートパルプはかさ増し目的で使用されている」「ビートパルプは低品質の原材料!」など、ビートパルプを危険視する声もたくさんあります。

しかしビートパルプは本来、フードのかさ増しではなくワンちゃんの健康に働きかける重要な役割があるのです。

そこでビートパルプにどのような働きがあるのか調べてみました。ビートパルプはワンちゃんの体に良いのか悪いのか、またビートパルプの注意点について見ていきましょう。

ビートパルプは危険じゃない!?

ビートパルプは危険じゃない!?

ビートパルプを危険な原材料だとする意見もありますが、結論からいうとビートパルプは危険な原材料ではありません。

むしろビートパルプには水溶性と不溶性の2種類の食物繊維がバランス良く含まれているので、愛犬のお腹の調子を整える効果が期待できます。

ただビートパルプが使用されているフードがすべて安全で、愛犬の体に良いわけではありません。

ビートパルプの健康効果を得るには、「フードへの使用量」と「ビートパルプの品質」が重要になります。

チェックポイント!

ビートパルプの注意点

  • フードへの使用量
  • ビートパルプの品質

その理由はビートパルプの使用量があまりに多かったり製造方法が乱暴だと、かさ増し目的の使用やワンちゃんの健康に悪影響を与える場合が考えられるから。

ビートパルプの安全性は、製造方法や使用方法によって大きく変わる危険性を持ち合わせているのです。

それではビートパルプの安全性を見分けるために、ビートパルプの注意点について見ていきましょう。

ビートパルプはフードのかさ増し目的?

ビートパルプの主な注意点は、「かさ増し」と「残留薬剤」の2つ。まずはかさ増しについて詳しく見ていきましょう。

ビートパルプが危険な原材料だと悪者扱いされている最大の理由が「フードのかさ増し」です。

そもそもビートパルプは、砂糖の原料であるビート(別名:テンサイ、サトウダイコン)の搾りカスの再利用品。栄養成分はほとんど含まれておらず、ほとんどが食物繊維でできています。

そもそもビートパルプは、砂糖の原料であるビート(別名:テンサイ、サトウダイコン)の搾りカスの再利用品。栄養成分はほとんど含まれておらず、ほとんどが食物繊維でできています。

なおビートパルプを構成する食物繊維のなかで繊維質が硬いもの(不溶性食物繊維)は、ほかの原材料と混ぜ合わせても完全には溶けません。完全に溶けずに残るため、その分フードのカサが増えることに。

またビートパルプは砂糖の搾りかすが原料なので肉や魚などの食材よりも仕入れ値が安く、メーカーはコスト削減に利用しやすい原材料でもあります。

これらの理由から「ビートパルプはフードのカサだけ増やす低コストの原材料」という認識が広まった結果、『ビートパルプはかさ増し目的の危険な原材料』だと危険視されるようになったのです。

ビートパルプがかさ増しに使用される理由

たしかにビートパルプの役割は栄養補給ではないので、大量に摂取する必要はありません。

また安価なフードの中には肉や魚などの食材の割合を減らし、その代わりにビートパルプを多く配合してフードの量をごまかしている粗悪品もあるといいます。

そのためビートパルプが必要以上にフードに使用されていないか注意が必要です。

大まかな目安としては、ビートパルプがフードの原材料表示の上位5番目以内に表示されている場合はかさ増し目的で使用されている可能性が考えられます。

チェックポイント!

ビートパルプがかさ増し目的か見分けるには

  • 原材料の上位5番目以内に表示されていないこと
  • ただし減量用・ダイエット用フードは例外

ビートパルプを必要以上に使用しているフードは、ワンちゃんの健康よりも利益を優先して作られているフードです。けっして選ばないように注意しましょう。

減量用フードはビートパルプが高配合でも問題ない

 

減量用フードはビートパルプが高配合でも問題ない

ただしダイエット用・減量用フードの場合は例外です。体重管理を目的としたダイエット用・減量用フードは、ビートパルプが高配合されている場合があります。

もちろん原材料の上位5番目以内にビートパルプが表示されているフードもあります。しかし体重管理用のフードであれば、ビートパルプが多く使用されていても問題ありません。

その理由はワンちゃんの体重管理のために、ビートパルプを意図的に「かさ増し目的」として利用しているからです。

そもそもワンちゃんの体重を落とすには、運動量を増やすより食事量を減らすほうが効果的とされています。

ただ食事量を大幅に減らすと、必要な栄養も十分に摂取できずに栄養不足やワンちゃんの食欲が満たされずにストレスが溜まるなど、愛犬の体に悪影響を与える場合があり健全ではありません。

そこで栄養不足にならない程度に食事管理ができるフードとして利用されたのが、ビートパルプです。

ビートパルプはほとんどが食物繊維でできているので、カロリーがほぼゼロ。

カロリーを増やさずにフードのカサだけを増やすことができるので、肉や魚を減らした分をビートパルプで補えば、フードの見栄えや給与量を変えずにダイエット用フードが製造できます。

カロリーを増やさずにフードのカサだけを増やすことができるので、肉や魚を減らした分をビートパルプで補えば、フードの見栄えや給与量を変えずにダイエット用フードが製造できます。

ビートパルプの使用により低カロリーに抑えられるので、通常のフードと同じくらいの給与量が維持できます。そのため愛犬にストレスを与えることなく、体重管理がおこなえるのです。

このようにビートパルプによるフードのかさ増しは、使用目的にきちんとした理由があれば愛犬の健康維持に役立ちます。

そのため減量用フードであればビートパルプが高配合されていても問題ありません。

一方、減量用フードでないにも関わらず、ビートパルプが高配合されているフードは意味のないかさ増しなので注意しましょう。

続いて、ビートパルプの「残留薬剤」について見ていきましょう。

ビートパルプの残留薬剤は本当なの?

ビートパルプの残留薬剤は本当なの?

2つ目の注意点は、ビートパルプに残留する薬剤についてです。

じつはビートパルプの中には、有毒な硫酸系の薬剤を使って抽出されたものがあるといわれています。

本来、ビートパルプの製造方法はビート(テンサイ)に含まれる食物繊維だけが残るまで、ビートに圧力をかけて水分やその他の成分を押し出してつくられます。

ところが海外製品の中には時間のかかる圧力製法ではなく、薬剤を使用して短時間でビートパルプを抽出している場合があるというのです。

硫酸系の薬剤を使って抽出されたビートパルプには薬剤が残留しており、そのビートパルプを使用したフードを食べたワンちゃんの体にも悪影響を与える危険性があるとされています。

ただし、一方ではビートパルプの残留薬剤の危険性は低いとも考えられています。

なぜならビートパルプはドッグフードだけでなく、牛や豚などの家畜のエサにも使用されているから。

ビートパルプは家畜のエサにも使用される

じつは牛や豚、鶏などの家畜に使用されるエサは、ドッグフードよりも高いレベルで安全基準が設定されています。

家畜はいずれ人が食べるため、人の体に悪影響を与えないように厳しい基準で安全性が守られているのです。

安全基準のレベル

なおビートパルプをドッグフード用と家畜のエサ用にそれぞれ製造することは手間がかかり、現実的ではありません。

このことからドッグフードに使用されるビートパルプも、家畜のエサに使用されるビートパルプも、同じ製法で作られたビートパルプが使用されていると考えられます。

そうなると結局は人に悪影響を与えないようにビートパルプを製造する必要があるので、有毒な硫酸系の薬剤が使用されているとは考えにくくなるのです。

ちなみに北海道産ビートパルプを製造する「大高酵素ペットバイタブル」でも、ビートパルプの安全性について下記のような回答をしています。

参考元:大高酵素ペットバイタブル

ただすべてのビートパルプが安全とは言い切れないので、安全性をより確かなものにするには、人が食べられる原材料のみを使用した「ヒューマングレード」の表示があるフードを選ぶようにしましょう。

チェックポイント!

ビートパルプを安全に使用したフード

  • ヒューマングレードの表示があるフード
  • 圧力製法のビートパルプを使用下フード

ヒューマングレードの表示があるフードであれば、使用されるビートパルプの安全性も高いと判断できます。また使用するビートパルプは圧力製法だと情報を公開しているメーカーもあるので、このような情報が確認できるフードを選びましょう。

以上がビートパルプの注意点です。

それではビートパルプの本当の役割について詳しく見ていきましょう。

ビートパルプはワンちゃんの腸内環境を整える

ビートパルプはワンちゃんの腸内環境を整える

ビートパルプの本来の役割は、愛犬のお腹の調子を整えることです。

ビートパルプには水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の両方がバランス良く含まれているので、腸の正常な働きを促して腸内環境を整える効果が期待できます。

また腸内環境が整えられるので、便秘や下痢の予防・改善にも効果的です。

ちなみにビートパルプを危険な原材料だとする意見には、「ビートパルプは食物繊維だからワンちゃんは消化できない」「食物繊維が多すぎてウンチが硬くなる」などの意見があります。

ワンちゃんが食物繊維を消化できないのは事実です。ただこれは私たち人間も同じです。

そもそも食物繊維の役割は、体に吸収されるのではなく体内を通り過ぎることにあります。

体内を通り過ぎることによって腸の働きを活発化させたり、ウンチのカサを増やす、排泄を促すなどの効果があります。ビートパルプは消化できないからこそ意味があるのです。

またビートパルプは、水に溶けやすい水溶性食物繊維と、水に溶けにくい不溶性食物繊維の両方がバランス良く含まれています。

水溶性食物繊維の特徴

  • 水に溶けやすい
  • 体内で溶けてゲル状(ドロドロ)になる
  • 粘着性があり、体内をゆっくり移動する
  • 腸内にエネルギーを供給する
  • 善玉菌を増やす

不溶性食物繊維の特徴

  • 水に溶けにくい
  • 水分を吸収して膨らむ
  • 便のかさを増やす
  • 有害物質を体外へ排出する

摂取する食物繊維の割合がどちらか片方に偏ると、便秘や下痢を引き起こす場合があるため、腸内環境を健康に保つには両方の食物繊維をバランス良く摂取することが重要とされています。

なお食物繊維を豊富に含む食材はたくさんありますが、そのなかでもビートパルプは水溶性食物繊維と不溶性食物繊維のバランスが特に優れているのです。

なお食物繊維を豊富に含む食材はたくさんありますが、そのなかでもビートパルプは水溶性食物繊維と不溶性食物繊維のバランスが特に優れているのです。

ちなみに水溶性食物繊維の摂取が多すぎると、体内にゲル状の食物繊維が多くなりすぎてウンチが形を保てないほど柔らかくなります。

一方、不溶性食物繊維の摂取が多すぎると、ウンチのかさが増えすぎて腸内をスムーズに移動できず、便秘を引き起こす場合があります。

また腸内に停滞している間にウンチの水分が腸壁へ奪われるのでどんどん硬くなり、余計に排泄しにくくなる悪循環に陥る危険性も。

その点ビートパルプは水溶性食物繊維と不溶性食物繊維がバランス良く含まれているので、ウンチを適度な硬さに保ち、腸の働きを促して健康的な排泄をサポートします。

その点ビートパルプは水溶性食物繊維と不溶性食物繊維がバランス良く含まれているので、ウンチを適度な硬さに保ち、腸の働きを促して健康的な排泄をサポートします。

そのため本来、ビートパルプはお腹の調子を整える働きがあるもので、ウンチを硬くすることはありません。

もしビートパルプが使用されているフードを食べて、愛犬のウンチが硬くなったり便秘になった場合は、ビートパルプが必要以上に配合されていたり繊維質を多く含む原材料がほかにも使用されていると考えられます。

腸内には免疫細胞の60~70%が存在していると考えられているため、腸内環境を整えることは健康維持の大事なポイントです。

ビートパルプを安全に使用されているフードは、愛犬の腸内環境の改善に有効ですので、ビートパルプの注意点を確認しながら安全に使用しているフードを見分けましょう。

まとめ

ビートパルプは使用方法や製造方法に問題があるだけで、ビートパルプ自体は愛犬の体に有効な原材料です。

特に高齢のワンちゃんは腸内環境の働きがにぶくなり、便秘を引き起こしやすくなります。

そのためビートパルプなどの繊維質を配合したフードを積極的に摂取して、便秘を予防・改善してあげるように心掛けてあげましょう。

あしあとおすすめドッグフード目的別ランキング