愛犬の下痢がとまらない!下痢の原因・血便やゼリー状の便の危険性は?

愛犬の下痢がとまらない!下痢の原因・血便やゼリー状の便の危険性は?

「突然、愛犬がお腹を壊した!」「愛犬の下痢が止まらない・・」

ソワソワと落ち着かない様子で下痢を繰り返す愛犬を見ていると、どうすれば良いか不安になりますよね。

犬が下痢になる原因は、食べすぎから命に関わる病気までさまざま。
そのため、まずは愛犬の下痢の危険性を見極めることが大切です。

それでは、危険な下痢の見分け方、下痢の原因、病院に行くタイミングについて、一緒に確認しましょう。

チェックポイント!

犬の下痢は、危険性の低いものと高いものがあります

愛犬の下痢はどちらのタイプか、見分け方のポイントを確認しましょう

それではまいります。

愛犬の下痢の危険性は?

愛犬の下痢の危険性は?

犬の下痢の原因は、食べすぎなどの一過性で危険性の低いものから、ウイルス感染や膵炎(すいえん)など治療が必要な危険性の高いものまであります。

そこで、まずは愛犬の下痢の危険性を見分けましょう。ポイントは愛犬に元気や食欲があるか、下痢以外の症状がないかです。

●危険性の低い下痢

【症状】下痢だけ、元気・食欲がある

【ウンチの特徴】ゼリー状の便、血便が見られる場合がある

下痢以外の症状がなく、愛犬が元気で食欲もある場合は、食べすぎや消化不良、体の冷えによる一過性の下痢である場合がほとんど。

お腹の調子が一時的に悪くなっているだけなので、しばらく様子を見てかまいません。

ゼリー状の便や血便が出る場合がありますが、ゼリー状の便は胃腸内の粘膜が剥がれたもの。血便は何度も下痢をしたときに、腸内が傷ついたときの出血です。

慢性的に続く場合は検査が必要ですが、愛犬の様子に変わりがなく症状が1日で治まった場合は、大きな危険性はありません。

●危険性の高い下痢

【症状】下痢、おう吐、発熱、咳、元気・食欲がないなど
【ウンチの特徴】便が水っぽい、便が黒い、便が黄色い場合がある

下痢以外におう吐や発熱などの症状がある、食欲・元気がない場合は、単なる食べすぎではなく治療が必要な危険性の高い下痢の恐れがあります。

とくに下痢とおう吐を同時に繰り返すと、脱水症状の危険性もあるので、すぐ病院へ連れていきましょう。

なお、黒い便は胃で出血した血液が酸化したもので、黄色い便は体内に吸収されなかった脂肪の色。どちらも消化器官に炎症が起きている恐れがあるので、検査が必要です。

以上のことから、下痢以外の症状がなく愛犬が元気で食欲もある場合は、ひとまず様子を見ましょう。

一方、おう吐や発熱、食欲・元気がない場合は、治療が必要な下痢だと考えられます。すぐに病院へ連れていきましょう。

チェックポイント!

ウンチに血が付いていると怖くなりますが、ウンチの出し過ぎで腸内が傷ついたことによる出血です

1日だけなら心配ありませんが、慢性的に続く場合は動物病院で検査してもらいましょう

愛犬の下痢のタイプは?

愛犬の下痢のタイプは?

下痢の危険性とは別に、犬の下痢は小腸性の下痢大腸性の下痢の2つタイプがあります。愛犬がどのような状態に苦しんでいるのか、下痢のタイプを確認しましょう。

●犬の下痢のタイプ

小腸性の下痢

【排便回数】少ない
【1回の便の量】多い
【便の特徴】水っぽい(水様便)、黒い便(タール便)が混ざる場合がある

小腸性の下痢は、排便頻度は少ないですが、水のようなウンチ(水様便)が1回に大量に出ます。

なお、食品に含まれる栄養のほとんどは小腸で吸収されるため、小腸性の下痢になると栄養を十分に吸収できません。そのため栄養不足になる危険性があります。

また「タール便」と呼ばれる黒色の便が便の一部、または全体に見られる場合があります。これは小腸で出血した血液が、排泄されるまでに酸化して黒く変色したものです。

大腸性の下痢

【排便回数】多い
【1回の便の量】少ない
【便の特徴】ゼリー状の便、便に血が付く場合がある

大腸性の下痢は1回に出るウンチの量は少ないですが、排便回数が多いのが特徴。頻繁に便意を感じるので、愛犬はソワソワと落ち着かず何度もトイレに向かいます。

短時間に何度も便意が襲うため、排便しようと踏ん張っているが便が出ない「しぶり」も見られます。

また排便を何度も繰り返すうちに、大腸の内側が傷つけられて出血する場合も・・。

大腸は肛門に近いので出血した血液は酸化しないため、鮮明な血が便に付着します。

小腸性の下痢は回数が少ないので、軽度の下痢だと思ってしまいがちですが、栄養不足になる危険性があるので注意が必要。

一方、大腸性の下痢は重症化すると、排泄しても便意がおさまらず愛犬は落ち着いて眠れなくなる状態になります。

チェックポイント!

犬の下痢は、栄養不足に注意が必要な「小腸性の下痢」と、便意が頻繁に襲ってくる「大腸性の下痢」の2種類あります

それでは下痢の原因について、次の章から詳しく見ていきましょう。

犬の下痢の原因は?

犬の下痢の原因は?

犬の下痢の原因は、消化不良や食べすぎなど危険性の低いものもあれば、食物アレルギーやウイルス感染などの危険性が高いものもあります。

愛犬の下痢の原因に当てはまるものがないか、確認しましょう。

●犬の下痢の原因

【危険度】低レベル

  • 消化不良
  • 体の冷え
  • ストレス(環境の変化など)


【危険度】高レベル

  • ウイルス・細菌感染
  • 寄生虫
  • 殺虫剤などの薬物中毒
  • 食物アレルギー
  • 内臓疾患(膵炎、胃腸炎、がん)

それでは犬の下痢の原因に多い「消化不良・食べすぎ」から、詳しく見ていきましょう。

【危険性:低レベル】消化不良による下痢

【危険性:低レベル】消化不良による下痢

犬の下痢の原因で多いのが「消化不良」です。とくに下記の3つの食材に注意しましょう。

犬が消化不良を起こしやすい食べ物

  • 牛乳(人用)
  • 新しいドッグフード
  • 繊維の多い野菜・果物

●牛乳(人用)
犬は牛乳に含まれる「乳糖」を分解する消化酵素(ラクターゼ)が少ないため、乳糖が多い人用の牛乳をうまく消化できません。

人でも牛乳を飲むとお腹がゴロゴロする人がいますが、これも牛乳に含まれる乳糖を分解できないことで起こる「乳糖不耐症」の症状です。

そのため犬に牛乳を与える場合は、犬用ミルクか、乳糖の少ないヤギのミルクを与えましょう。

●新しいドッグフード
新しいドッグフードに急に切り替えると、消化器官が対応しきれずに消化不良を起こして下痢になる場合があります。

とくに子犬や高齢犬、お腹の弱い愛犬に起こりやすいので、新しいドッグフードへの切り替えは1~2週間ほど時間をかけて、少しずつ体に慣れさせてあげましょう。

原材料の質が悪いと、タンパク質をスムーズに消化できず下痢を起こしやすくなります。
そのため下痢を防ぐには、食用と同じ高品質の原材料を使用した「ヒューマングレード」のドッグフードを選びましょう。

●繊維の多い野菜・果物
野菜や果物に豊富に含まれる食物繊維は、ウンチのかさを増やしたり腸の動きを活性化させて腸内環境を整える役割があります。

そのためリンゴやキャベツなどを少量与えると、愛犬の下痢や便秘の予防・改善に効果的です。

しかし、与えすぎは逆効果!
繊維による刺激が強すぎて、下痢になる場合があります。体に良い食材でも与えすぎは禁物です。

チェックポイント!

犬が好きなリンゴやキャベツも与えすぎると、下痢を引き起こす恐れがあります

実際、我が家の愛犬もリンゴを食べすぎてお腹を壊した経験があります・・

与えすぎには注意しましょう!

【危険性:低レベル】体の冷えによる下痢

【危険性:低レベル】体の冷えによる下痢

体の冷えすぎが原因で、下痢になる場合があります。

とくに、毛量が減って保温効果が低下した高齢犬やお腹の弱い犬は、気温の低い冬だけでなく夏場のクーラーの効きすぎた室内でも体が冷えすぎることがあるので注意しましょう。

体の冷えを防ぐには、室温の管理や愛犬に洋服を着せて体温を保つこと。
洋服を嫌がる場合は、愛犬が過ごす場所に毛布やタオルを多めに用意してあげましょう。

【危険性:低レベル】ストレスによる下痢

【危険性:低レベル】ストレスによる下痢

ペットホテルや引っ越し、季節の変わり目、新しいペットの迎え入れなど、環境の変化にストレスを感じて下痢になる場合があります。

寂しがり屋の犬はペットホテルに、怖がりの犬は新しい環境にストレスを感じやすいです。

また、愛犬のほかに新しいペットを迎え入れたときも注意が必要。先住犬が新しいペットに戸惑い、強いストレスを感じる場合があります。

チェックポイント!

我が家でも新たにペットを迎え入れたとき、先住犬が強いストレスを感じていました

症状は下痢ではなく、ヨダレが大量に出るというものでしたが、とても驚いたのを覚えています

危険性の高い下痢について

ここからは下痢の原因のなかで、危険性の高いものについて見ていきましょう。

●危険性の高い下痢の原因

【危険度】高レベル

  • ウイルス・細菌感染
  • 寄生虫
  • 殺虫剤などの薬物中毒
  • 食物アレルギー
  • 内臓疾患(膵炎、胃腸炎、がん)

詳しく見ていきましょう。

【危険性:高レベル】ウイルス・細菌による下痢

【危険性:高レベル】ウイルス・細菌による下痢

ウイルスや細菌に感染すると、下痢だけでなく発熱やおう吐、咳などの症状があらわれます。

下痢を起こすウイルス・細菌

  • パルボウイルス
  • ジステンパーウイルス
  • コロナウイルス
  • 大腸菌
  • サルモネラ菌

●ウイルス感染
【パルボウイルス】
パルボウイルスに感染すると、激しい下痢やおう吐、発熱、気力・食欲の低下、血便などの症状が見られます。

重症化すると脱水症状やショック状態に陥り、命を落とす危険性の高い感染症です。

感染した犬の便や吐き出した物から感染するので、犬が2匹以上いるお家は他の犬を近づけないように注意しましょう。

【ジステンパーウイルス】
ジステンパーウイルスに感染すると、下痢やおう吐、鼻水、くしゃみ、目やにの増加、発熱、食欲・気力の低下などの症状があらわれます。

感染している便や尿、鼻水、唾液、目やに他の犬が触れると、二次感染の恐れがあります。

ウイルス感染はワクチンによる予防が可能です。発症すると特効薬がないので、未然に防ぐことが重要になります。
とくに子犬は免疫力が弱く、ワクチン未接種のときに発症すると命にかかわる場合もあるので注意しましょう。

●細菌感染
サルモネラ菌や大腸菌など、食中毒を起こす細菌の感染を防ぐには、ドッグフードが傷まないように冷暗所で保存すること。

またウェットフードや手作りごはんは菌が増殖しやすいので、当日に食べきることが原則です。

【危険性:高レベル】寄生虫による下痢

【危険性:高レベル】寄生虫による下痢

子犬は寄生虫による下痢も多いです。
回虫や条虫、ジアルジア、コクシジウムなどが小腸や大腸に寄生すると、下痢やおう吐が起こります。

寄生虫に栄養を横取りされるので、長期化すると栄養不足や貧血、体重減少などの症状もあらわれます。

そのため子犬を迎え入れたときに、寄生虫がいないか便の検査を受けましょう。

【危険性:高レベル】殺虫剤などの薬物中毒による下痢

【危険性:高レベル】殺虫剤などの薬物中毒による下痢

殺虫剤や除草剤などの薬物・毒物中毒にも注意が必要です。

室内で使用した殺虫剤の吸い込んだり、除草剤のかかった雑草を誤って食べてしまうと、薬品による中毒症から下痢やおう吐、血便などが引き起こされます。

胃の洗浄や解毒処置が必要なので、すぐに病院へ連れていきましょう。

【危険性:高レベル】食物アレルギーによる下痢

【危険性:高レベル】食物アレルギーによる下痢

下痢の原因が食物アレルギーの場合は、おう吐や体のかゆみ、赤みなどの症状もあらわれます。

ちなみに犬がレルギーを起こしやすい食品は、牛肉、小麦、乳製品など。

ただ、アレルギーは物質に含まれるタンパク質に反応して起こるため、タンパク質が含まれる食品はすべてアレルギーに注意が必要です。

そのため初めて与える食品は、少量ずつ様子を見ながら与えましょう。

またアレルギー反応は、摂取した量や愛犬の体調によって症状に差があります。

軽度の下痢やかゆみだけの場合は、ひとまず様子を見てもかまいませんが、息苦しそうにしている・何度も下痢をするなどの場合は、すぐに病院へ連れていきましょう。

下痢で疑われる病気は?

下痢で疑われる病気は?

ここまでに解説した原因が当てはまらない場合は、消化器官の病気の疑いがあります。

下痢で疑われる主な病気は、下記の3つです。

下痢で疑われる病気

  • IBD(炎症性腸疾患)
  • 膵炎
  • 消化器のがん

IBD(炎症性腸疾患)とは?

IBD(炎症性腸疾患)は、原因不明の慢性的な胃腸炎。

「定期的に下痢やおう吐をする」「お腹がずっと緩い」などの症状があり、食欲低下や体重の減少が見られる場合はIBDの疑いがあります。

IBDの完治はむずかしいため、症状を軽減するために食事療法などの処置が必要です。

膵炎(すいえん)とは?

膵炎は、膵臓から分泌される膵液に膵臓自体が消化されて炎症を起こす病気。

「急性膵炎」と「慢性膵炎」の2種類あり、急性膵炎は激しい腹痛をともなうため、愛犬がお腹を抱えるように体を丸めたり、前足だけ床につけた「祈りのポーズ」で腹痛に耐えるなどの症状が見られます。

脂肪分の多い食事は膵炎のリスクを高めるので、脂肪分の多いおやつの与えすぎには注意が必要です。

また慢性膵炎の場合は、体内に吸収されなかった脂肪が便に混ざった黄色の便(脂肪便)が見られます。

消化器のがんとは?

消化器(胃、腸、肝臓)やリンパに悪性の腫瘍(がん)を発症すると、慢性的な下痢やおう吐、血便、食欲・気力の低下、体重減少などの症状が見られます。

早期発見が重要なので、愛犬のようすに異変を感じたらすぐに動物病院へ連れていきましょう。

チェックポイント!

慢性的な下痢や食欲不振、体重減少などの症状がある場合は、すぐに動物病院で検査してもらいましょう

つづいては、下痢のときの食事についてです。

下痢のときのご飯の与え方

愛犬が下痢のときは、お腹に負担がかからないように消化の良い食事を与えましょう。

下痢のときのご飯の与え方

愛犬が元気でも胃腸は敏感になっているので、ご飯の量はいつもより減らすこと。

また、消化しやすいようにドッグフードを40℃前後のぬるま湯でふやかしたり、電子レンジで10秒ほど温めてから与えましょう。

IBD(炎症性腸疾患)などの病気が原因の場合は、獣医さんの指示に従って食事を与えてください。

下痢の原因が冷えによる場合は、飲水もぬるま湯に変えてあげましょう。

下痢止めは?ビオフェルミンを飲ませても良い?

下痢止めは?ビオフェルミンを飲ませても良い?

食べすぎや寒さなど危険性の低い下痢の場合は、ビオフェルミン(整腸剤)を与えて様子を見てもかまいません。

ただ人用なので、ごくごく少量を与えること。小型犬なら1日1/2錠程度です。

なお、ウイルス感染や薬物中毒などの場合は、体内からウイルスや薬物を排出させる必要があるので、下痢止めを飲ませてはいけません。

●動物用のお薬がやっぱり安心
「愛犬が下痢のときは、ビオフェルミンを少量与えている」という情報がネットでも見られますが、個人的には動物用のお薬をおすすめします。

というのも、我が家の愛犬が下痢をしたときにビオフェルミンを与えたものの、効果がなかなか現れず、安心できなかったから。

我が家では、愛犬に1/2錠のビオフェルミンを与えましたが、症状は良くならず、その間ずっと不安に感じていました。

結局、病院に行って動物用の整腸剤を与えると症状はすんなり治まり、「もっと早く連れてきてあげれば・・」と後悔しました。

愛犬のベストな量を把握している場合は、ビオフェルミンで愛犬の下痢を改善できる場合もあると思います。

ただ、「この量で大丈夫かな・・」と不安に思いながら与えるより、動物用のお薬を安心して与えるほうが、愛犬の体調もはやく改善されます。

まとめ

愛犬が下痢になったら、まずは愛犬の様子を確認しましょう。

元気で食欲もある、下痢以外の症状がない場合は、ひとまず様子を見る。

元気も食欲もない、下痢以外におう吐や発熱などの症状がある場合は、すぐに病院へ連れていきましょう。

(参考文献)
【一般社団法人ペットフード協会・ペットフート販売士認定講習会テキスト】
「犬・猫の体の構造と生理」「ペット飼育の基礎マナー」より

参考サイト:犬と猫の下痢とは?
参考サイト:犬の下痢の症状と原因、対策について
参考サイト:どうして下痢が起こる?

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