【毛並みを良くする方法】犬の毛のパサつき・艶がない原因は?

【毛並みを良くする方法】犬の毛のパサつき・艶がない原因は?

「毛のパサつき」「艶がない」「毛量が少ない」など、愛犬の毛並みが悪くて悩んでいませんか?

犬の毛並みが悪くなる原因は、栄養不足や皮膚病が影響しています。

そこでペットフード販売士が、毛並み・毛艶を良くする方法を4つのポイントにしぼって解説!

愛犬の毛並みが悪くなった原因と改善方法について、一緒に確認しましょう。

チェックポイント!

愛犬の抜け毛やパサパサの毛に悩んでいる飼い主さんは多いはず

毛並みを良くする方法について、まずは原因から見ていきましょう

それではまいります。

犬の毛並み・毛艶を良くするには?

犬の毛並み・毛艶を良くするには?

毛がパサパサ、艶がない、抜け毛が多くて毛量が少ないなど、愛犬の毛並みの状態が良くないときは、注意点が4つあります。

それは、毛並みや毛艶を悪くする原因である、「油(オメガ3・オメガ6)不足」「タンパク質不足」「皮膚病」「ストレス」の4点です。

●毛並み・毛艶が悪くなる原因

オメガ3とオメガ6が不足している!

ツヤのあるキレイな毛並みを維持するには、欠かせない油があります。
それは必須脂肪酸と呼ばれる「オメガ3」「オメガ6」の2つの油です。

この2つの油をバランス良く摂取できていないと、フケの発生、毛艶がなくなる、抜け毛が増えるなどの症状が引き起こされます。

オメガ3とオメガ6は「食事でしか体に必要な量を補えないので、愛犬が十分に摂取できているか確認しましょう。

「良質なタンパク質」が足りていない

犬の皮膚や毛の細胞はタンパク質からつくられます。
そのため毛並みの改善には、タンパク質をしっかり摂取することが重要です。

とくに「必須アミノ酸」を含んだ良質なタンパク質が不足すると、毛がパサつき、肌が生まれ変わるサイクルも乱れて皮膚病が起こりやすくなります。

フケ、ベタつき、肌が赤い場合は、皮膚病の恐れあり

毛並みが悪いだけでなく、愛犬が体をかゆがったり舐めたりしていませんか?
また、フケやベタつき、抜け毛、肌が赤いなどの症状はありませんか?

皮膚に炎症が起きると、毛並みの状態も悪くなります。皮膚や毛の状態をチェックして、皮膚病にかかっていないか確認しましょう。

また、ノミやダニの予防、定期的なシャンプーで愛犬の体を安全・清潔に保つことも大事です。

抜け毛やフケは、ストレスが原因の場合も・・

最近、愛犬のようすに変わったことはありませんか?

犬はストレスが原因で脱毛やフケが発生し、毛並みが悪くなる場合があります。

ドッグフードの変更、環境の変化、散歩・スキンシップ不足など、愛犬のストレスの原因がないか確認しましょう。

なお、毛並みが悪くなる原因は1つの場合もあれば、複数の原因が影響している場合もあります。

それでは、上記4つの原因の詳しい内容と改善方法について、1つずつ見ていきましょう。

毛並みを良くする「オメガ3」「オメガ6」とは?

毛並みを良くする「オメガ3」「オメガ6」とは?

愛犬の毛に艶がなくパサパサしていたら、油が不足していないか確認しましょう。

なぜなら犬の毛や皮膚の健康には、油が欠かせないから。油は皮膚から水分が奪われるのを防ぎ、毛や皮膚に潤いを与える働きがあります。

毛並みを良くするには「健康的な肌」が必要!

犬の皮膚は、表面をおおう「表皮」とその下にある「真皮」の2層に分かれていて、真皮には、毛をつくり出す「毛包(もうほう)」や汗腺、皮脂腺があります。


そのため肌が健康でないと、汗や皮脂がうまく分泌されず、毛もスムーズに生えてこなかったり乾燥したり、悪影響を受けることに・・。


ですから毛並みを良くするには、健康的な皮膚(肌)が欠かせません。

なお、油の中でもとくに重要なのが、必須脂肪酸と呼ばれる「オメガ3」「オメガ6」の2つの油です。

●オメガ3

オメガ3は、体内の炎症を抑える「抗炎症作用」があります。

肌あれを予防して、皮膚や毛の健康を守ります。

【主な食品】
魚の油、亜麻仁油

●オメガ6

オメガ6は、肌のバリア機能を整える働きがあります。

古い皮膚から新しい皮膚へ生まれ変わるサイクル「ターンオーバー」を正常にして、肌をきれいに健康に保ちます。

【主な食品】
鶏の油、菜種油

このように毛並みや毛艶には、オメガ3とオメガ6の両方をバランス良く摂取することが重要です。

そのため毛にツヤなくパサパサしている、乾燥肌、抜け毛が多いなどの症状がある場合は、オメガ3やオメガ6を十分に摂取できていないことが考えられます。

オメガ3・オメガ6の量をチェックしよう!

オメガ3・オメガ6の量をチェックしよう!

愛犬がオメガ3やオメガ6不足でないか、ドッグフードに含まれるオメガ3とオメガ6の量をチェックしてみましょう。

ちなみにドッグフードの栄養基準を定めるAAFCO(米国飼料検査官協会)が設定した、犬の1日に必要なオメガ3とオメガ6の摂取量は下記とおりです。

オメガ3・オメガ6のAAFCO基準

●子犬(幼犬)
【オメガ3】0.13%以上
【オメガ6(リノール酸)】1.3%以上

●成犬
【オメガ3】未設定
【オメガ6(リノール酸)】1.1%以上

※オメガ3はα-リノレン酸0.08%とEPA+DHA0.05%の合計値です

毛並みを良くするには、オメガ3とオメガ6がこの基準を上回るドッグフードを選びましょう。

ただし、オメガ6は過剰摂取すると体内に炎症を発生させる危険性があります。ですからオメガ6だけを極端に多く含んだフードは避けましょう。

なお、オメガ6は鶏の油や菜種、トウモロコシ、大豆などに多く含まれています。

トウモロコシや大豆が主原料のドッグフードを与えている場合、オメガ6の過剰摂取によって毛並みが悪くなっていることも考えられます。

トウモロコシや大豆が主原料のドッグフードを与えている場合、オメガ6の過剰摂取によって毛並みが悪くなっていることも考えられます。

一方、オメガ3はオメガ6の炎症を抑える作用があるので積極的に摂取しましょう。

オメガ3は皮膚内部の炎症を抑えるので、肌荒れが改善されて毛もスムーズに生えやすくなります。
抜け毛も改善されるので、毛量が少ない愛犬には積極的に摂取させましょう。

チェックポイント!

オメガ3の抗炎症作用は肌荒れや抜け毛の改善だけでなく、関節や心血管、腎臓の健康をサポートする効果もあります

関節痛を和らげたり心臓や腎臓の機能をサポートするので、高齢犬にもおすすめです

なお、ドッグフードによっては「脂質○%以上」と一括表示されていて、オメガ3やオメガ6の割合がチェックできない場合もあります。

その場合は、原材料に魚(魚油も含む)や亜麻仁、菜種、鶏の油などの食材が含まれていないか確認しましょう。

魚の油や亜麻仁にはオメガ3、菜種や鶏の油にはオメガ6が豊富に含まれているので、これらの食材が使用されているドッグフードを選べば、オメガ6やオメガ3を摂取できます。

チェックポイント!

毛並みや毛艶を良くするには、「オメガ3」と「オメガ6」を積極的に摂取させること!

ただ「オメガ6」は摂りすぎると、体内に炎症を引き起こす危険性があります

そのため、オメガ6だけが極端に多いフードは避けましょう

つぎは、「タンパク質不足」についてです。

犬の毛には「良質なタンパク質」が欠かせない!

犬の毛には「良質なタンパク質」が欠かせない!

油のほかに毛並みの改善に欠かせないのが、タンパク質です。

タンパク質は犬の毛や皮膚の細胞のもととなる成分なので、不足すると毛はパサつき、肌荒れが起こりやすくなります。

とくに毛並みを良くするために必要なのが、「良質なタンパク質」です。

●良質なタンパク質とは・・

良質なタンパク質とは、肉や魚に含まれる動物性タンパク質のこと。

動物性タンパク質には、毛や皮膚に欠かせない「必須アミノ酸」が10種類すべて含まれています。

動物性タンパク質に対して、トウモロコシや小麦、大豆などに含まれる「植物性タンパク質」には、必須アミノ酸が10種類すべては含まれていません。

また犬はトウモロコシや小麦を大量に消化するのが苦手なため、主原料がトウモロコシや小麦のドッグフードでは、タンパク質を十分に吸収できないことも・・。

そこで毛並みの改善におすすめなのが、主原料に肉か魚を使用したドッグフードです。

そこで毛並みの改善におすすめなのが、主原料に肉か魚を使用したドッグフードです。

肉や魚が多く使用されるので、犬の毛や皮膚に欠かせない「必須アミノ酸」を10種類すべてしっかり摂取できます。

また、犬は祖先である肉食中心のオオカミの影響から、腸が長くない(体長の約5~7倍)ので、穀物より肉や魚のほうがスムーズに消化できます。

そのためドッグフードに含まれるタンパク質を無駄なく消化・吸収できるので、タンパク質不足にもなりません。

なお、ドッグフードの栄養基準を定めるAAFCO(米国飼料検査官協会)では、犬の1日に必要なタンパク質の摂取量を子犬で22.5%、成犬で18%と設定しています。

●タンパク質のAAFCO基準
【子犬(幼犬)】22.5%以上
【成犬】18%以上

AAFCOでは、犬の体に必要な最低限の量が設定されています。

そのため毛並みの改善には、タンパク質を基準値より多く摂取することをおすすめします。

ちなみに、市販のドッグフードの平均はタンパク質の量が24~27%なので、毛並みの改善にはタンパク質27%以上のドッグフード(主原料が肉・魚)がおすすめです。

また、毛並みが悪くなった原因は、皮膚病の場合もあります。ひきつづき、見ていきましょう。

ノミやダニ、皮膚病の危険性は?

ノミやダニ、皮膚病の危険性は?

毛並みが悪いだけでなく、愛犬がしきりに体をかいたり舐めていませんか?

ほかにも、大量のフケ、皮膚や毛がベタベタしている、抜け毛が多い、肌が赤いなどの症状がある場合は、皮膚病の恐れがあります。

下記のような症状がないか、愛犬の体をチェックしてみましょう。

皮膚病が疑われる症状

  • 体をしきりにかく、かゆがっている
  • 手足や指の間を噛む、舐める
  • 大量のフケが出ている
  • 抜け毛が多い、一部が集中して脱毛している
  • 皮膚や毛が脂っぽく、ベタベタしている
  • 体臭がキツくなった
  • 皮膚が赤く、腫れている
  • 皮膚が黒い
  • 皮膚の一部が厚く、かさぶたのようになっている
  • 皮膚にニキビ、しこりがある

皮膚病の原因は、ノミやダニによる炎症、真菌(カビ)の感染、アレルギー、ホルモンの過剰分泌(または分泌不足)、腫瘍、外傷など、さまざまです。

また何度も同じ場所をかくと、ツメで皮膚を傷つけて症状がさらに悪化する場合があり注意が必要です。

そのため上記の症状が確認された場合は、すぐに動物病院で診察してもらいましょう。

なお、犬に多い皮膚病と主な症状は下記のとおりです。

犬が発症しやすい皮膚病

かゆみ フケ 脱毛 赤身・発疹 その他
膿皮症 膿が出る
脂漏症
(乾性)
皮膚の乾燥
脂漏症
(湿性)
皮膚のべとつき
体臭が強くなる
毛包虫 皮膚の黒ずみ
ツメダニ症 大量のフケ
かさぶた
皮膚糸状菌症 顔や手足に
発症しやすい
アトピー性
皮膚炎
激しいかゆみ
皮膚の黒ずみ
アレルギー性皮
膚炎
激しいかゆみ
皮膚の黒ずみ
疥癬
(かいせん)
出血・化膿
クッシング
症候群
皮膚の黒ずみ
多飲多尿
甲状腺
機能低下症
皮膚の黒ずみ
元気がなくなる

ホルモンの分泌やアレルギーが原因の場合は、個別の治療が必要ですが、大前提として皮膚病を予防するには、愛犬の体を清潔に保ちましょう。

月1~2回の定期的なシャンプーと、ノミ・ダニの予防が大切です。

月1~2回、犬用シャンプーで洗う

月1~2回、犬用シャンプーで洗う

月1~2回、愛犬の体を定期的に洗って清潔に保ちましょう。

ちなみに、人の肌は弱酸性ですが、犬の肌は中性~アルカリ性です。そのため人用のシャンプーでは肌を痛めてしまうので、必ず犬用のシャンプーを使用しましょう。

シャワーの温度は、犬の体温と同じくらいの37~38度前後がおすすめです。

ノミ・ダニ予防の薬で予防する

ノミ・ダニ予防の薬で予防する

ノミ・ダニを寄せ付けないように、ノミ・ダニ予防の薬を使用するのも効果的です。

ただ、愛犬の体質・体調によっては薬の副作用で、下痢やおう吐、食欲が落ちる場合があります。

そのため予防薬は、副作用のリスクと愛犬の体調を考えて使用を決めましょう。また、はじめて使用する場合は獣医さんに一度相談してからが安心です。

チェックポイント!

犬は人よりも皮膚が弱く、病気になりやすいです

皮膚病にかかってもすぐに気がつけるように、愛犬の肌の状態をこまめにチェックしましょう

また毛並みの悪化の原因は、ストレスの場合もあります。つぎで詳しく見ていきましょう。

毛並みが悪くなった原因は、ストレス?

毛並みが悪くなった原因は、ストレス?

ストレスが原因で毛艶がなくなり、毛並みが悪くなる場合もあります。

犬によってストレスの感じ方はちがいますが、大きい音や見慣れない環境、新しいドッグフードなど、犬は些細なことにもストレスを感じます。

そのストレスが原因で、フケや抜け毛が増えて毛並みが悪くなってしまうのです。

栄養不足や皮膚病の可能性もない場合は、愛犬がストレスを感じる原因がないか生活環境を振り返ってみましょう。

また愛犬とスキンシップをはかって、安心させてあげることも大切です。

また愛犬とスキンシップをはかって、安心させてあげることも大切です。

体を毎日撫でてあげれば、愛犬とスキンシップを取りながら皮膚や毛の状態をチェックできます。

また、少なくとも週に1~2回はブラッシングして、毛に付いたホコリやゴミを取り除いてあげましょう。

ブラッシングは皮膚の血行を促進したり、ダニやノミを払い落とす効果があります。

チェックポイント!

体をなでたりブラッシングで愛犬とスキンシップをはかれば、皮膚や毛の健康状態もチェックできるので、ぜひ習慣づけましょう!

まとめ

犬は人よりも皮膚が薄く、肌荒れや毛並みが悪くなりやすい傾向があります。

そのため、愛犬には毛や皮膚に必要な油(オメガ3・オメガ6)とタンパク質をしっかり摂取させましょう。

また、皮膚病にかからないように愛犬の体を清潔に保つこと。
皮膚や毛の状態を普段からチェックして、異変にすぐ気づけるようにしましょう。

(参考文献)
【一般社団法人ペットフード協会・ペットフート販売士認定講習会テキスト】
「犬・猫の体の構造と生理」「犬・猫の栄養に関する基礎知識」より

参考サイト:犬と猫の栄養成分辞典-皮膚と被毛

参考サイト:皮膚の働き

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