愛犬がどんなに良い子でも、おやつをたくさん与えるのはダメ!
そもそも犬におやつは必要なのか、そこから確認していきましょう
「おすわり」や「待て」が上手にできたら、ビスケット1枚。
お散歩から戻ってきたらジャーキー1本・・など。
愛犬が良い子にした「ごほうび」に、おやつをあげる飼い主さんは多いと思います。
ただ、おやつの量や回数を決めず、飼い主さんの気分次第で1日に何回もおやつを与えていませんか?
じつは私たちがおやつを食べる感覚と同じように、愛犬におやつを与えるのは危険!
愛犬に何となくおやつを与えていると、ごほうびに与えたはずのおやつが、かえって愛犬の体に悪影響を与える場合があるのです。
そこで、犬のおやつの与え方や注意点について見ていきましょう。
愛犬がどんなに良い子でも、おやつをたくさん与えるのはダメ!
そもそも犬におやつは必要なのか、そこから確認していきましょう
それではまいります。
犬におやつは必要かどうかというと、原則、犬におやつは必要ありません。
なぜなら多くの飼い犬が主食に与えられているドッグフード(総合栄養食)は、犬の体に必要な栄養がバランス良く調整して作られているからです。
犬の体に必要な栄養がバランス良く調整して作られたドッグフードのこと。
総合栄養食の表示があるドッグフードは、犬が1日に必要とする栄養をすべて摂取できます。
そのため総合栄養食のドッグフードの他には、新鮮な水だけ摂取すれば、愛犬は健康を維持できるとされています。
このように愛犬はドッグフード(総合栄養食)から、体に必要な栄養をすべて摂取できます。
ですから栄養補給や体を維持するには、ドッグフードと水だけで十分。わざわざ、おやつを食べる必要はないのです。
ただ、おやつを与えることは、栄養補給とはちがう別の目的があります。
それは、「愛犬と信頼関係をきずくこと」。
おやつは愛犬とコミュニケーションを取るための1つの手段・道具としての役割があります。
そもそも、犬は食べることが大好き!
そのためご飯以外の時間に食べ物をもらえると、嬉しくてルンルン状態になります。
この愛犬のルンルン状態を上手く利用して、「おすわり」「待て」などのコマンド(指示)やトイレの場所を覚えさせるのが効果的。
愛犬のしつけにおやつを活用すると、しつけがスムーズにおこなえます。
「おすわり」や「待て」のコマンド(指示)、指定の場所での排泄、耳掃除、歯みがきなど、愛犬に覚えさせたいこと・愛犬が嫌いなことの直後におやつを与えれば、「これをするとおやつがもらえる」と愛犬が理解し、進んでおこなうようになるのです。
それにともない、自分を褒めておやつをくれる飼い主さんに対する信頼も強くなり、より良い関係を築くことにもつながります。
このように、おやつは愛犬とのコミュニケーションの1つであり、信頼関係を深める道具なのです。
ちなみに、我が家の愛犬(チベタンスパニエル2匹)は耳掃除が大の苦手。歯みがきもできればやりたくない・・という状態でした。
そこで、耳掃除と歯みがきの後は、必ずおやつを与えるようにすると・・
耳を触るだけで逃げ回っていた愛犬が、耳の中を見やすい体勢でじっとしてくれたり、歯ブラシを用意するだけで自分たちから近づいてくるようになったのです。
おやつの効果・・恐るべし。
おやつの効果は個体差があると思いますが、我が家では効果抜群でした。
ちなみに耳掃除の後のおやつは、ボーロもしくはササミチップを少しだけ。
歯みがきの後は、プレーンヨーグルト(無糖)をティースプーン半分ほど与えています。
おやつは愛犬にとって特別なごほうびです。
そのごほうびを意味なく与えるのではなく、しつけなどの目的もって利用するのが、おやつの上手な使い方です。
おやつは愛犬のテンションを急上昇させる魔法のアイテム
おやつは意味なく与えるのではなく、おすわりが出来たり耳掃除をしたなど、愛犬ががんばったときに与えるのがベストです
以上のことから、おやつは意味なく与えるのではなく、目的をもって利用するのが良いことが分かりました。
では、おやつはいつから与えて良いのでしょうか?
つぎの章で、確認していきましょう。
「いつから愛犬におやつを与えて良いの・・?」
愛犬におやつをあげたいけれど、いつから与えて良いのか迷っている飼い主さんは意外に多いと思います。
というのも、おやつを与えはじめる時期は、はっきりと決められていません。
そのため生後3~4ヶ月からOKという意見もあれば、成犬(生後12ヶ月以上)になるまで与えないほうが良いなど、おやつを与える時期はさまざまな意見があります。
なお、いろんな考えがありますが、犬のごはん塾では愛犬におやつを与えるのは、「生後7~10ヶ月以降」を目安にはじめるのが良いと考えています。
なぜ、「生後7~10ヶ月以降」が良いかというと、犬の生後7~10ヶ月はちょうど体の成長が一段落した頃だから。
そもそも、子犬の成長期間は生後12ヶ月までの1年間(大型犬は生後1年半~2年)。
ただ、この1年の間もずっと同じ速度で成長するわけではありません。
子犬が最も成長するのは、離乳期と呼ばれる生後2ヶ月まで。
2ヶ月以降は徐々に成長のスピードが緩やかになり、生後6ヶ月を過ぎた頃には成長速度はグッと落ちて食欲も落ち着いてきます。
なお、成長速度とともに食欲も低下するのは、体がある程度成長を終えたことにより、筋肉や骨など全身の発達・発育に必要なエネルギー量が少なくなるからです。
ですから反対に、成長が一段落する前の生後6ヶ月ころまでは、体に必要な栄養をしっかり摂取させることが何よりも大事。
おやつよりご飯をしっかり食べさせなければいけません。
以上のことから、愛犬におやつを与えるのは体の成長が一段落した「生後7~10ヶ月以降」が良いと考えています。
愛犬におやつを与えるのは「生後7~10ヶ月以降」がおすすめ
生後6ヶ月まではおやつよりご飯をしっかり食べさせて、成長に必要な栄養を十分摂取させましょう
ただ、生後6ヶ月未満の子犬にもおやつを与えたい場合があります。
たとえば「おすわり」や「待て」ができたり、指定の場所でオシッコ・ウンチができた場合など。
こういう場合でも、愛犬におやつを与えないほうが良いのでしょうか?
成長期の子犬には、体に必要な栄養をしっかり摂取させる必要があります。そのため成長が一段落する生後6ヶ月ころまでは、おやつを与えないほうが良いです。
とはいえ、子犬には「おすわり」や「待て」のコマンド、トイレトレーニングなどのしつけも覚えさせる必要があります。
成犬になってからのしつけは、急に今までとちがう対応や指示に愛犬が戸惑ったり理解できないため、なかなか覚えてくれません。
また愛犬も急な対応の変化にストレスを感じてしまいます。
そのため犬のしつけは、子犬の頃にはじめるのがベスト。
ただ、一般的にお家に迎える子犬の年齢は生後3~4ヶ月頃。成長期の真っただ中なので、おやつよりご飯をしっかり食べさせる必要がある時期です。
「でも、しつけもしたい・・」
「でも、おやつはまだ与えないほうが良いよね・・」
と、どうすれば良いのか困ってしまいますよね。
そこでおすすめなのが、ドッグフードをおやつ代わりに与えること。
生後6ヶ月未満の子犬には、しつけの際のごほうびにクッキーやジャーキーなどのおやつではなく、ドッグフードを1~2粒おやつ代わりに与えましょう。
ドッグフードであれば、愛犬に必要な栄養を摂取できるのでおやつの代用として与えて問題ありません。
しつけが上手くできたら、初めてのおやつとしてドッグフードをあげましょう。
ただし何粒も大量に与えるのはダメ!
必要以上にカロリーを摂りすぎて太ったり、次の食事までに消化が間に合わず肝心のご飯が食べられないことになる場合もあります。
そのため量が少しとはいえ、ごほうびとしてドッグフードを与えた場合は、食事の際にその分のドッグフードを減らすように注意しましょう。
体の成長が落ち着く生後6ヶ月ころまでは、ドッグフードをおやつ代わり
クッキーやジャーキーなどの犬用おやつは、成長が落ち着いた生後7ヶ月以降から与えましょう
つぎに、回数や量などおやつの与え方の注意点を見ていきましょう。
犬のおやつに関する、ここまでの内容をサッとおさらいしましょう。
ここまでの内容は・・
ふむふむ・・
おやつの捉え方は、なんとなく分かってきた感じがしますね・・
では、ここからは実際におやつを与えるときの注意点、おやつの回数や量について見ていきましょう。
まずは、おやつの量です。
愛犬に与えるおやつの量は、原則、愛犬の1日に必要なエネルギー量の20%以内に抑えることが推奨されています。
当たり前ですが、ご飯よりおやつをたくさん食べてはいけません。
おやつは栄養を補うためではなく、愛犬を喜ばせる嗜好品です。
そのため、おやつによって体の栄養バランスが崩れないように、摂取量はできるだけ抑えることが望ましいとされています。
その摂取量の上限値が、愛犬の1日に必要なエネルギー量の20%以内です。
ちなみにボーロやビスケット、ジャーキーなどの犬用のおやつには、必ず1日分の給与量もしくは給与回数が表示されているので、必ずその指定量の範囲内で与えましょう。
また、おやつを与えた場合は、おやつの分のカロリーを必ず食事から減らすこと。
おやつで摂取した分のカロリーをドッグフードで調節しないと、愛犬はカロリーの摂り過ぎで肥満になってしまいます。
肥満は足腰の関節や心臓などに負担をかけて、健康に悪影響を及ぼす危険性があります。
ですから肥満にならないように、おやつを与えたときは必ずドッグフードの量を減らしましょう。
なお、しつけなどで何度もおやつを与えるときは、1日分のおやつの上限量をあらかじめ用意して、そこから小分けして与えます。
そうすれば、おやつの1日の上限量を超える心配がなく、どれぐらい与えたかも把握しやすいのでご飯の量も調整しやすいです。
また1回に与えるおやつの量は「小指のつめの半分」。ごくわずかな量で十分です。
犬は一度にたくさんの量をもらうより、少しの量を何回にも分けて与えられるほうが喜びます。
そのため1回分のおやつは、ほんの少しでOK。
愛犬がおすわりできたり、トイレトレーニングが上手くいったなど、愛犬ががんばったときに、こまめにおやつをあげましょう。
犬は量より回数を重視しています!
愛犬がしつけなどをがんばったときは、たくさんほめて、おやつを少しだけあげるように、おやつを上手く利用しましょう!
つぎは、おやつの種類です。
おすすめのおやつ、注意が必要なおやつをチェックしましょう。
犬用のおやつはボーロやジャーキー、ビスケットなど定番のものから、肉・魚の乾燥肉や内臓、骨、チーズ、ケーキなど、さまざまな種類があります。
主な犬のおやつ
基本的には、これらのおやつの中から愛犬に好みに合わせて、おやつを与えて問題ありません。
ただ愛犬の年齢に関係なくおすすめなのは、ボーロ、乾燥した肉・魚(内臓含む)、ゆで野菜、くだものです。
反対に注意が必要な食材は、動物の骨です。
1つずつ確認していきましょう。
●ボーロ
人の赤ちゃん用のおやつとしても人気のボーロは、口当たりが柔らかく子犬や高齢のワンちゃんにも安心して与えられます。
ほんのり甘い風味なので、偏食のあるワンちゃんも受け入れやすいはず。
なお、愛犬が小麦アレルギーの場合は、ばれいしょでんぷんを原材料に使用したタイプを選びましょう。
●乾燥した肉・魚
ドッグフードに使用されるお肉は、鶏肉が一般的。
それに対して乾燥肉は牛肉や鹿肉、羊肉などさまざまな種類があるので、ドッグフードでは摂取できないお肉を気軽に与えられるのが魅力です。
ドッグフードよりも風味が豊かなので、細かく砕いてポケットに忍ばせば、野外でのしつけのトレーニングや散歩中のごほうびにも利用しやすいです。
●ゆで野菜
野菜は食物繊維が豊富に含まれているので、下痢や便秘気味のワンちゃんにおすすめ。
食物繊維はウンチのカサを増やしたり、腸が正常に動くように促して、腸内環境を整える働きがあります。
とくに高齢犬は、腸のぜん動運動の低下により便秘になりやすいので、ドッグフード以外からも食物繊維を摂取すると、便秘の予防・改善に効果的です。
おすすめの野菜は、サツマイモやカボチャ、キャベツなど。
サツマイモやカボチャは甘味が強い野菜なので、食欲のない愛犬も食べやすいです。
なお、加熱しても皮は硬く消化不良を起こす場合があるので、皮は取り除いて与えましょう。
またキャベツも犬が好きな野菜の1つですが、キャベツやブロッコリーなどのアブラナ科の野菜には、甲状腺の機能を低下させる「ゴイトロゲン」が含まれています。
少量を与える程度であれば体への影響は心配ありませんが、キャベツばかりをおやつに与えるのは避けましょう。
なお、玉ねぎやアボカドなどの野菜を犬に与えるのは危険なので、絶対与えないように注意が必要です。
くだもの
果物も野菜と同じく、食物繊維がたっぷり含まれています。また野菜より甘味があるので、大好物のワンちゃんも多いはず。
特におすすめはリンゴ。
リンゴは年中通して手に入りやすく、細かく切ってもほのかな甘味とシャキシャキした食感があるので、おやつに与えやすいです。
ただ、野菜にも言えることですが、食物繊維が豊富に含まれているので与えすぎると、胃腸が刺激されて下痢やおう吐を起こす場合があります。
少量であれば、腸内環境を整える効果がありますが、与えすぎは禁物です。注意しましょう。
つづいて、注意が必要なおやつです。
●骨
牛骨や豚骨、鶏の骨など、動物の骨を愛犬に与えるのは、賛成と反対の両方の意見があります。
まず反対意見は、「加熱した骨の危険性」。
加熱した骨はタテに割れやすく、のどや体内を傷つける危険性が心配されています。
一方、賛成派の意見は、犬の胃液は酸性度が勁いため骨を十分に消化できるということ。
そのため食べるときに気をつければ、犬に骨を与えることは問題ないとしています。
そのため犬に骨を食べさせること自体に問題はありませんが、与え方には十分注意する必要があります。
とくに愛犬が食べ物を噛まず丸呑みするタイプの場合は、飲み込めるサイズの骨を与えるのは危険です。
飲み込んでのどに詰まらせないように、口に入り切らない大きさの骨を与えましょう。
また心配なときは、飲み込めるサイズになったら取り上げるのも1つの方法です。
なお骨を噛むことで歯垢や歯石が取り除かれるため、骨をおやつに与えると歯みがき効果が期待できます。
しかし毎日のように骨を与えるのはNG。
硬い骨ばかり噛み続けると、歯が擦り減る場合があります。
愛犬の口の中をチェックして、歯がダメージを受けていないか確認してあげましょう。
また子犬や高齢犬、小型犬は骨の硬さに歯が負けやすいので、大きい牛骨など硬すぎる骨は与えないほうが安心です。
骨の硬さは種類や部位によってちがうので、骨の硬さやおすすめの犬種などの情報を必ず確認して購入しましょう。
なお、子犬や高齢犬はアキレスでも消化不良を起こしやすいので、アキレスは1本ではなく、1/4~半分にして少量を与えるように気をつけてあげましょう。
チェックポイント
愛犬の健康のためにも、おやつはほどほどを心がけましょう
また愛犬とのコミュニケーションを楽しみながら、おやつを与えましょう
犬のおやつの与え方・注意点はいかがでしたか?
犬にとっておやつは「ごほうび」であり、飼い主さんとの信頼をきずく大切な道具です。
記事内のポイントや注意点を参考に、ぜひ愛犬におやつをあげてください。
●愛犬がおやつを隠すのは、なぜ?
ちなみに、おやつを隠す癖がある愛犬はいませんか?
愛犬がおやつやご飯を隠すのは、野生の名残りだと言われています。
「次にいつご飯を食べられるか分からないから、非常用におやつを隠す」
「ほかの仲間、動物におやつを取られたくないから、おやつを隠す」など。
なお、愛犬がおやつやご飯を隠す行為は、本能ゆえの行動のため仕方がないとする意見と、飼い主さんを同等に見ている(ライバル視している)とする意見があります。
この行動だけで愛犬との信頼関係を判断するのはむずかしいですが、愛犬には「おやつを取られる心配がないこと」、また「飼い主さんは味方であり、自分より立場が上」だと理解させる必要があります。
そのためには愛犬としっかりコミュニケーションを取ること。
愛犬のペースではなく、飼い主さんのペースで食事や散歩などをおこなうようにしましょう。
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