高齢犬の食事に必要な7つの注意点!シニア用ドッグフードに替える時期は?

高齢犬の食事に必要な7つの注意点!シニア用ドッグフードに替える時期は?

愛犬がどんどん高齢になると、気になるのが健康面。

シニア用のドッグフードに切り替えたほうが良いのか、健康維持のために必要な栄養はないのかなど、どのようなことに注意すれば良いのか悩みはつきません。

そこで高齢犬の食事の注意点について調べてみました。シニア用フードに切り替えるタイミングや食欲の有無による注意点など、詳しく見ていきましょう。

シニア用ドッグフードに切り替えるタイミングは?

シニア用ドッグフードに切り替えるタイミングは?

まずシニア用ドッグフードに切り替えるタイミングは、愛犬の健康状態によってちがうため「何歳からシニア用へ」という決まりはありません。

そもそも犬が高齢期(シニア期)に入る時期は、体の大きさによって違います。

チワワなどの小型犬からビーグルなどの中型犬は7歳以上、ゴールデンレトリーバーなどの大型犬は5歳以上が高齢犬(シニア犬・シニア期)だと考えられています。

また体の大きさで5歳や7歳と区別されていますが、実際に運動量や体の機能低下などの症状が現れる時期はバラバラ。

10歳を過ぎても、若い頃と運動量や食べる量がまったく変わらず元気なワンちゃんもたくさんいます。

ですからシニア用ドッグフードへの切り替えは、愛犬の体調にあわせて徐々に変更していくのがベスト。

「7歳になったから」「11歳用のフードがあるから」という理由で、シニア用に切り替える必要はありません。

とはいえ一般的に7歳以上はシニア犬とされているので、健康管理に注意することは大切です。

それでは高齢の愛犬のために、食事面でどのような点に注意すればよいのか見ていきましょう。

高齢犬の食事で注意すべき7つのポイント

高齢犬の食事で注意すべき7つのポイント

一般的に犬は7歳を過ぎたあたりから、運動量や体の機能が少しずつ低下してくるので、体の変化に合わせて食事内容を変更する必要があります。

なお、高齢の愛犬注意が必要なポイントは7つあります。

高齢犬の食事の注意点

  1. 水分補給
  2. 質の高いタンパク質の摂取
  3. 病気予防の栄養素(ナトリウム・リンなど)
  4. 便秘予防
  5. 食べやすく・消化しやすい工夫
  6. 肥満予防(食欲旺盛の場合)
  7. エネルギー不足、栄養失調の予防(食欲不振の場合)

以上7点のうち①~⑤までは、すべての高齢犬に共通する注意点です。一方、⑥と⑦は愛犬の食欲の有無にあわせて注意が必要なポイントです。

一般的に高齢犬は食欲が落ちやすい傾向がありますが、若い頃と変わらず食欲旺盛のワンちゃんもいます。

食欲旺盛の高齢犬と食欲不振の高齢犬では、注意が必要なポイントがちがうため、⑥と⑦で注意点を区別しています。

それでは食欲の有無に関係なく、すべての高齢犬に注意が必要なポイントから1つずつ見ていきましょう。

高齢犬はのどの渇きに鈍感!しっかり水分補給を!

高齢犬はのどの渇きに鈍感!しっかり水分補給を!

1つ目の高齢犬の食事の注意点は、水分補給です。

犬は高齢になると、体内の水分バランスを上手くコントロールできなくなります。また、のどの渇きにも鈍感になるので脱水症状を起こしやすくなるのです。

そのため愛犬がしっかり水分を摂っているか、1日どのくらい水を飲んでいるか把握する必要があります。

なお、犬は体重1kgあたり約50mlの水が必要。

愛犬の1日の飲水量をチェックするには、水の入った容器に印をつけ、そこから減った分の水の量を確認してみましょう。

また普段愛犬が休んでいる場所から水飲み場が遠かったり、水飲み場が1箇所しかないのはNG。

わざわざ水を飲みに動かなければならないので、のどが渇かない限り愛犬は水を飲みに動きません。

愛犬がいつでもどこでも水が飲めるように、リビングや寝室、廊下などいたる所に水飲み場を設置してあげましょう。

高齢犬にこそ、肉・魚由来のタンパク質が必要な理由

高齢犬にこそ、肉・魚由来のタンパク質が必要な理由

2つ目はタンパク質の質の高さです。タンパク質は全身の細胞のもととなる成分なので、高齢犬だけでなくどの年代のワンちゃんもしっかり摂取する必要があります。

ただシニア期で重要なのは、タンパク質の量よりも質。

代謝が落ちている高齢犬にはタンパク質をたくさん与えるより、量が少なくても質の高いタンパク質を摂取させるほうが体に必要な栄養成分を補えます。

なお、質の高いタンパク質とは、肉や魚由来の動物性タンパク質のこと。

なお、質の高いタンパク質とは、肉や魚由来の動物性タンパク質のこと。

動物性タンパク質には、犬が食事から摂取する必要がある10種の必須アミノ酸がバランス良く含まれています。

一方、トウモロコシや小麦、大豆由来の植物性タンパク質には、犬に欠かせない10種の必須アミノ酸がバランス良く含まれていません。

そのため小麦やトウモロコシから10種の必須アミノ酸を補おうとすると、大量に摂取しないと必要量が満たせないのです。

しかし犬はトウモロコシや小麦などの穀物の消化が苦手。ドッグフードに少量含まれている程度なら問題ありませんが、大量摂取は体に負担をかけます。

とくに体の機能が落ちている高齢犬には、穀物より消化しやすい肉や魚のほうがお腹にやさしく安心です。

以上のことから高齢犬に与えるドッグフードは、穀物ではなく肉か魚を主原料に使用したフードがおすすめです。

心臓病・腎臓病を防ぐため、ナトリウムやリンは控えて

心臓病・腎臓病を防ぐため、ナトリウムやリンは控えて

またタンパク質以外に注意が必要なのが、ナトリウムやリン、マグネシウムなどのミネラルです。

これらの栄養成分は体の維持に欠かせませんが、過剰摂取するとシニア犬に多い心臓病や腎臓病、尿路結石などのリスクを高める危険性があります。

とくにナトリウムやリンは、心臓病や腎臓病の発症と症状を進行させる危険性があるので与え過ぎには注意が必要です。

なおペットフードの栄養基準を定めるAAFCO(米国飼料検査官協会)では、1歳以上の成犬に必要な値をナトリウムが0.08%、リンが0.5~1.6%、マグネシウムを0.06%と設定しています。

高齢犬が控えたい栄養素

栄養素AAFCO
基準値
過剰摂取
の影響
ナトリウム0.08%心臓病
腎臓病
リン0.5~1.6%心臓病
腎臓病
マグネシウム0.06%ストルバイト結石

リンは基準値の上限1.6%以内、ナトリウムとマグネシウムは基準値に近い栄養バランスのドッグフードを選ぶように心がけましょう。

ちなみに関節成分のグルコサミンやコンドロイチン、抗炎症作用のあるオメガ3は、加齢とともに傷みやすい関節や体の炎症を防ぐ効果的があるので、積極的に与えることをおすすめします。

シニア犬に多い便秘は、食物繊維で予防する

シニア犬に多い便秘は、食物繊維で予防する

またシニアになると腸の動きも鈍くなるため、便秘を起こしやすくなります。

便秘予防には、腸内環境の改善に役立つ食物繊維を摂取させるのが効果的。

食物繊維はウンチのカサや水分を増やして腸の動きを促したり、腸の粘膜細胞にエネルギーを運んで腸の正常な働きをサポートします。

ちなみにドッグフードに含まれる繊維量の目安は、3~4%がおすすめ。

食物繊維は少なすぎても多すぎても便秘や下痢の原因となるので、ドッグフードに含まれる繊維は一般的なフードの平均値3~4%が適量です。

食べやすく・消化しやすい工夫も忘れずに

食べやすく・消化しやすい工夫も忘れずに

栄養バランス以外では、ドッグフードを食べやすく消化しやすくする工夫も大切です。

愛犬がドライフードをパクパク食べているなら問題ありませんが、ドライフードは水分量が10%程度と少なく硬いので、12歳以上の愛犬にはふやかして与えるほうがお腹にやさしく安心です。

小さじ1~2杯のぬるま湯でドライフードを軽くふやかせば、フードの香りも立ち食欲も刺激されます。ぬるま湯の代わりに鶏肉のゆで汁でふやかすのもおすすめです。

また冬の寒い時期は、ドッグフードを電子レンジで少し温めてから与えると、体の中から温まりやすくなります。

そのときドッグフードに水を少し加えると、全体が均一に温まりやすくなります。

なお、温めすぎると熱くて食べにくく栄養成分も破壊されてしまうので、電子レンジの機種にもよりますが、10~20秒ほど温めれば十分です。

お皿は床より少し高い位置のほうが食べやすい

お皿は床より少し高い位置のほうが食べやすい

また、お皿の高さにも注意してあげましょう。

ドッグフードを食べるとき、愛犬は頭を下げた体勢になりますが、お皿の位置が低すぎると体勢を取るのが年齢が上がるほどキツくなります。またフードがのどに詰まりやすく危険です。

そのためドッグフードのお皿は床に直接置かず、食器スタンドなどを利用して少し高い位置になるように調節しましょう。

ここまでが、すべての高齢犬に共通する食事の注意点です。

次からは「食欲のある高齢犬」と「食欲のない高齢犬」の注意点について、それぞれ見ていきましょう。

食欲のあるシニア犬は肥満に注意!

食欲のあるシニア犬は肥満に注意!

一般的に高齢になるにつれてワンちゃんの食欲は低下する傾向がありますが、12歳や14歳以上でも食欲旺盛のワンちゃんはたくさんいます。

ご飯をしっかり食べてくれるほうが体に必要な栄養も摂取できるので良いのですが、若い頃に比べて運動量や基礎代謝量が減っているので、太りやすい点に注意が必要。

今までと同じ分量を食べているだけでも、肥満になる可能性があります。

なお、肥満は関節や心臓、呼吸器への負担を増やしたり、糖尿病や皮膚病などのリスクを高める危険性があります。

そのため肥満を予防し適正体重を維持するには、フードの量を10%程度減らすか、低カロリー・低脂質のフードへ変更するなどの管理が必要です。

ちなみに、一般的なドッグフードのカロリーは平均360~380kcal、脂質量の平均は12~15%。

ドッグフードの平均カロリー・脂質量

【カロリー】360~380kcal

【脂質量】12~15%

フードの量を変えていないのに愛犬が太ってきた場合は、カロリーや脂質量がこの値より低いドッグフードに変更しましょう。

食欲不振の高齢犬はエネルギー不足・栄養失調に注意

食欲不振の高齢犬はエネルギー不足・栄養失調に注意

反対に食欲がなくドッグフードをほとんど食べない場合は、エネルギー不足と栄養失調に注意が必要です。

少量で効率よくエネルギーを摂取できるように、380kcal以上の高カロリーフードを与えましょう。

またワンちゃんは香りの強いものを好む傾向があるので、ドライフードを温めたり鶏肉やさつまいも、ブロッコリーなどをトッピングに加えて食欲を刺激します。

それでもドライフードを食べてくれない場合は、ウェットタイプのフードに切り替えるのもおすすめ。

ウェットフードは水分量が70%以上含まれているので口当たりが柔らかく、硬いドライフードが食べづらいワンちゃんも無理なく食べられます。

肉や魚などの素材の風味もそのままフードに活かされているので、食欲を湧き立てる効果も期待できます。

以上が、愛犬の食欲に合わせて注意が必要なポイントです

愛犬がいつまでも元気で過ごせるように、以上の内容を参考に食事管理を心がけましょう。

まとめ

愛犬が加齢とともに老いていくのは、どうすることもできません。

ただ愛犬がいつまでも元気で過ごせるように、普段から愛犬のようすや体調をチェックして少しの変化にも気づけるように注意してあげましょう。

また上記の食事の注意点を参考にしながら、愛犬の体調にベストな食事を与えて健康管理をしていきましょう。

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