外国産のドッグフードは輸送コストと
輸送時の気温変化による影響が問題
ドッグフードの原材料や添加物だけでなく、そのドッグフードがどこで作られたものか、ドッグフードの原産国って気になりますよね。
とくにドッグフードは国産品が少なく、私たちが手にするドッグフードのほとんどがアメリカやヨーロッパなどの外国産です。
なお、私たちが食べる食品では国産のほうが良いイメージがありますが、ドッグフードは国産と外国産のどちらが良いのでしょうか?
そこで国産と外国産のドッグフードの違いについて調べてみました。どのような違いがあるか、さっそく見ていきましょう。
結論からいうと、国産と外国産のどちらが良いとは断言できません。
なぜならドッグフードに使用される原材料の種類や品質、添加物の有無、栄養バランスなどが商品ごとにちがうから。
そのためドッグフードの産地だけでは、フードの良し悪しを判断できないのです。
ただ日本と海外ではドッグフードの基準や流通時間などに差があるため、そのちがいを知っておくと、国産と外国産それぞれに注意が必要なポイントが分かります。
それでは国産と外国産のドッグフードの違いについて詳しく見ていきましょう。
国産と外国産のドッグフードの大きな違いは2つ。それは、「流通時間の長さ」と「ドッグフードの取り扱い方」です。
まず流通時間の長さとは、ドッグフードが店頭に並ぶまでの時間のこと。当然、海外から輸入される外国産のドッグフードは国産品より流通時間が長くなります。
なお海外で作られたドッグフードの多くは、船便によって日本へ輸入されます。原産国によって所要日数は変わりますが、最低でも輸送に2週間以上は必要です。
また船が赤道付近を通るルートであれば、ドッグフードが積み込まれたコンテナ内の気温は上昇。コンテナ内でドッグフードは蒸されたような状態になります。
するとフードの袋の中に結露が起こりやすく、カビや菌の増殖・油の酸化などフードが劣化する原因となります。
なお外部の気温変化の影響を受けないように、20℃以下に気温を保つ定温コンテナもありますが、定温コンテナを使って輸入されているドッグフードは一部だけ。
そのため外国産のドッグフードは輸送時の劣化・傷みの心配があります。
さらに輸入にかかる費用が上乗せされていることも問題。原産国で販売されているフードと中身は同じでも、原産国の販売価格より輸入に必要なコストの分だけ価格が高く設定されます。
一方、国産のドッグフードは国内製造なので輸送時間が短くて済みます。輸送時の気温変化の影響もないので、フードに結露やカビが発生する心配もありません。
またフードの価格に輸送費用は含まれず、原材料や製造に関わるコストだけで算出されます。
そのため同じ価格でも輸送費用が含まれない国産品のほうが、質の良いドッグフードを購入できると考えられています。
外国産のドッグフードは輸送コストと
輸送時の気温変化による影響が問題
しかし国産が良いと断言できない理由が、2つ目の「ドッグフードの取り扱い方」の違いにあるのです。
日本と海外では、ドッグフードの取り扱い方が大きく違います。
ドッグフードの先進国であるドイツやイギリス、アメリカでは、ドッグフードを私たちが食べる食品や家畜のエサと同じ基準で取り扱われています。
EU・ヨーロッパでは「一般食品法規制(規則178/2002/EC)」、アメリカでは「連邦食品・医薬品・化粧品法」という法規制のもと、食品や家畜のエサと並んでドッグフードの安全確保がされているのです。
ドッグフードの安全確保の法規制
【連邦食品・医薬品・化粧品法】食品・家畜のエサ・ペットフード(犬・猫)の安全性を確保する規制
【一般食品法規制(規則178/2002/EC)】食品・家畜のエサ・ペットフード(犬・猫)の安全に関する基本的な規制
【ペットフード安全法)】ペットフードの安全性の確保に関する法律
一方、日本ではドッグフードを食品や家畜のエサと同様に扱っていません。日本ではドッグフードは食べ物と見なされておらず、いわば雑貨のような扱いです。
ドッグフードの安全を守る「ペットフード安全法」という法律はありますが、食品や家畜のエサとは全く別物として扱われています。
じつは外国産より国産のドッグフードが良いと言い切れない理由が、ドッグフードを食品の類いと見なしていないことです。
日本はドッグフードを家畜のエサの1つとしても見なしておらず、ドッグフードの安全基準は家畜のエサよりも低い最低レベル。
そのため日本ではドッグフードの原材料に、食用にならない家畜の内臓や骨、血液、ひづめ、羽、さらには死んだ家畜の使用が認められています。
ちなみにウシやブタなどの家畜は人が食べるため、人の体に悪影響を与えないように安全基準が厳しく設定されています。
しかし犬や猫などのペットは人が食べないため、必要最低限の安全基準しか設定されていません。
ですから国産品は流通時間が短く、輸送コストがかからないとはいえ、外国産よりも安全とは言い切れないのです。
海外ではドッグフードは食品や家畜のエサと同じ扱い
日本ではドッグフードは食品の一部として認められていない、雑貨と同じような扱いです
以上のことから、国産と外国産のどちらにも良い点と悪い点があります。そのため原産国だけでドッグフードの良し悪しは判断できません。
ただ外国産であれば流通経路、国産品であれば品質など、ここまでの内容で危険な点に注意すれば、安全な国産と外国産のドッグフードを見分けることができます。
それでは流通の多い外国産のドッグフードの注意点から見ていきましょう。
外国産のドッグフードの流通時間が長いことは、どうしようもできません。
ただ流通時間が長くても、日本よりドッグフードの技術が進んでいるヨーロッパやアメリカのフードを利用することは価値があると思います。
そこで安全な外国産のドッグフードを見分けるために注意したいのが、「輸入方法」です。
外国産のドッグフードの安全性を見分ける最も重要なポイントは輸入方法です。
外国産のドッグフードは、メーカーと直接契約を交わした正規代理店が輸入した「正規輸入品」と、メーカーと契約せずに原産国などに流通しているフードを勝手に輸入した「並行輸入品」があります。
まず安全なのは、メーカーと契約を交わしている正規輸入品。正規輸入品は原産国の在庫ではなく、日本からの発注にあわせて製造されるので新鮮なドッグフードが手に入ります。
また長期間の輸送に耐えられる強度のパッケージや、原材料表示が日本語対応に変更。メーカーによっては日本の気候にあわせて原材料が調整される場合もあります。
このように日本用の商品として届けられるのが、正規輸入品のドッグフードです。
一方、並行輸入品は原産国や近隣地域に流通しているドッグフードをメーカーと契約していない業者が勝手に輸入しています。
とうぜん、パッケージは日本対応になっていません。湿度や摩擦に弱い素材であったり、表示内容も原産国の言語のままです。
なお正規輸入品は発注後に製造され、湿度の高い日本の気候にあわせて賞味期限は製造日から約1年間と設定されます。
しかし並行輸入品は流通しているフードをかき集めているので、賞味期限はバラバラ。どのような保管状態で管理されていたかも不明です。
また並行輸入品は原産国の気候にあわせた賞味期限なので、賞味期限が日本用のフードより長く設定されている場合もあります。
すると日本での品質期限が過ぎているにもかかわらず、原産国の賞味期限を信じて劣化したフードを愛犬に与えてしまう恐れもあるのです。
さらに並行輸入品は輸送コストを抑えるため、冷暖房設備のない通常のコンテナで輸送されます。
温度管理できないため、赤道付近を通過するときのコンテナ内部は50℃以上まで上昇。フードのパッケージの中で結露が発生し、カビや菌が繁殖しやすい状態になります。
なお正規輸入品も温度管理ができない通常のコンテナで輸送される場合もありますが、原材料やフードの品質にこだわって作られたドッグフードは、定温コンテナを使って輸送されます。
定温コンテナでは内部が20℃以下に保たれるので、外の気温変化の影響を受けず、フードが酸化・劣化する心配がありません。
そのため正規輸入品でも定温コンテナを使用して輸入されるフードが最も安全ですが、それ以前にメーカーとの契約無しに勝手に輸入している並行輸入品は論外です。
必ず正規輸入品のドッグフードを選ぶようにしましょう。
正規輸入品か判断するには、パッケージが日本語対応されているか、賞味期限が迫っていないかチェックすること。また価格が異常に安くなっているものは並行輸入品の可能性があるので注意しましょう。
外国産のドッグフードは
日本対応されている正規輸入品と
無契約に輸入された並行輸入品がある
つづいて、国産と外国産に共通する安全なドッグフードを見分けるポイントを確認しましょう。
正規輸入品や国産のドッグフードの中から、より安全なドッグフードを見分けるには「添加物」と「原材料の品質」に注意が必要です。
1つ目の添加物は、使用されていない・無添加がベストです。
なおドッグフードに使用される添加物は、ワンちゃんの健康に悪影響を与えない安全範囲で使用されているといいます。しかし、愛犬の体に添加物は一切必要ありません。
そもそも愛犬は飼い主さんから与えられるご飯から栄養を摂取し、健康を維持しなければいけません。それなら体に必要なものだけを与えるほうが、愛犬の体には良いはずです。
またドッグフードに使用される添加物には、発がん性やアレルギー誘発など愛犬への影響が心配なものもあります。
ドッグフードに使用されるわずかな量で、発がんの影響は起こらないとされていますが、危険性が疑われるものを愛犬に与えるのは不安です・・。
ほかにも子犬や高齢のワンちゃんは消化力が弱く、摂取した添加物をスムーズに排出できない場合があります。
すると免疫機能が体内に蓄積した添加物を異物と判断して、それを排出させるために皮膚にかゆみや赤み、涙やけなどが起こるとも考えられています。
このことからも、愛犬の健康維持には添加物を避けるほうが安心です。
ドッグフードの原産国に関係なく
添加物不使用のものが安心
また添加物の使用の有無と一緒に、「原材料の品質」もチェックしましょう。
ヨーロッパやアメリカは飼料の一部として、日本は雑貨としてドッグフードを取り扱っています。
ヨーロッパやアメリカは日本よりもドッグフードの位置づけは上ですが、どちらの原材料にも低品質のものが使用されている場合があります。
とくに原産国に関係なく安価なドッグフードには、危険な原材料といわれる「4Dミート(病気や死んだ家畜の肉)」や「副産物(チキンミール・ポークミール・動物性油脂など)」が使用されている可能性が高いです。
副産物とは、食用に使用できない家畜の内臓や骨、血液、ひづめ、羽、さらには4Dミート(死んだ家畜)を丸ごと使用した粗悪な材料。家畜を丸ごと使用するため、家畜の糞や尿も含まれているとされています。
これらの低品質な原材料を避けるには、「ヒューマングレード」の表示があるドッグフードを選ぶことです。
ヒューマングレードとは、「食品と同じ品質」を意味するドッグフード業界特有の言葉。
この表示のあるフードは、人でも食べられる高品質の材料しか使用されていません。4Dミートや副産物は一切含まれていない、安全性の高いドッグフードです。
外国産と国産のどちらのドッグフードでも、必ず「ヒューマングレード」や「原材料は人が食べられる品質のみ使用」などの表示があるものを選びましょう。
4Dミートや副産物などの危険な原材料は×
安全性の高い「ヒューマングレード」の
ドッグフードを選ぼう
ドッグフードは国産と外国産のどちらが良いとは断言できません。原産国よりも大切なのは、原材料の品質・添加物の使用の有無、栄養バランスなどです。
そのドッグフードがどのような点に注意して作られているのか、そのこだわりを見てフードの良し悪しを判断しましょう。
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