犬は肉食じゃなくて雑食!ワンちゃんが雑食だと納得できる3つの理由とは

犬は肉食じゃなくて雑食!ワンちゃんが雑食だと納得できる3つの理由とは

あなたはワンちゃんは肉食と雑食のどちらだと思いますか?

「犬の祖先はオオカミだから犬も肉食!」
「昔は人の残飯を食べていたから雑食では?」

と、肉食派と雑食派の両方の意見があると思います。

そこでワンちゃんは肉食なのか雑食なのか、徹底的に調べてみました。愛犬は本当は肉食と雑食のどちらなのか、その理由や疑問について確認していきましょう。

ワンちゃんは肉食よりの雑食だった!

ワンちゃんは肉食よりの雑食だった!

結論からいうとワンちゃんは肉食ではなく雑食、もっと厳密にいうなら肉食よりの雑食動物です。

肉食と雑食のちがい

  • 肉食:肉(動物性食品)を食べる必要がある動物
    野菜や穀物だけでは体に必要な栄養が補えない
  • 雑食:肉(動物性食品)を食べなくても体に必要な栄養が補える動物

ただワンちゃんを肉食だと考える意見も多く、ワンちゃんが雑食であることに納得できない人もいると思います。

とくにワンちゃんの雑食性を納得できない理由としては、下記のような疑問があげられます。

ワンちゃんの雑食についての疑問

  • 祖先が肉食のオオカミだから、ワンちゃんも肉食じゃないの?
  • ワンちゃんは穀物を消化できないのでは?
  • 穀物不使用(グレインフリー)のドッグフードが増えている理由は?

それではこれら3つの疑問を1つずつチェックしながら、愛犬が雑食であることを確認していきましょう。

オオカミが祖先でも、犬は肉食じゃない

肉食のオオカミが祖先なのに、なぜワンちゃんは肉食じゃないの?

1つ目は、「犬の祖先は肉食のオオカミなのに、なぜワンちゃんは雑食なのか?」という疑問についてです。

ワンちゃんの祖先であるオオカミは、鹿や馬などの草食動物や小動物、鳥類、は虫類などを捕食する肉食動物。その子孫であるワンちゃんも肉食だと考えるのは当然です。

しかしワンちゃんがオオカミと違ったのは、人と暮らすようになったこと。

ワンちゃんは現在に至るまでの長い間、人と生活をともにするなかで人の食事の影響を受け続けてきました。

その結果、オオカミの腸が体長の約4倍に対して、犬の腸の長さは体長の約5~7倍へと変化。

肉食動物の特徴である短い腸よりも腸が長くなり、オオカミよりも雑食に対応できる体へと変化したのです。

肉食動物の特徴である短い腸よりも腸が長くなり、オオカミよりも雑食に対応できる体へと変化したのです。

ワンちゃんの腸の長さは体長の約5~7倍、オオカミは約4倍であることも
イラスト上に加えてほしいです

その証拠に現代のワンちゃんの消化器官は人とほぼ同じ。植物性の食べ物を消化しやすい発達した小腸・大腸・盲腸を持っています。

またワンちゃんの盲腸と大腸には、一部の繊維を分解する微生物が生育。この微生物を活性化させるには、食物繊維を摂取して腸内細菌を良好に保つ必要があります。

ですから盲腸や大腸の微生物の働きを高めるためにも、ワンちゃんは肉だけでなく植物性の食品も摂取する必要があるのです。

ちなみにオオカミも鹿や馬などの草食動物を捕食するとき、筋肉部分ではなく真っ先に内臓を食べます。

その理由は、草食動物の内臓には消化途中の植物成分が含まれているから。

オオカミは筋肉部分だけでは不足する栄養を補うため、草食動物の内臓をいち早く食べて植物成分に含まれる栄養を摂取しているのです。

さらに肉食動物とはいえ、オオカミも果物やキノコ、木の実など、動物の肉以外に色々なものを食べています。

ただ肉食のオオカミは植物性の食べ物の消化が苦手なので、草食動物を経由して植物成分を摂取することが多いだけ。

一方、ワンちゃんはオオカミよりも消化器官が発達しているので、草食動物の胃を通さなくても植物由来の栄養を自分で摂取できます。

以上のことから、「犬の祖先は肉食のオオカミだから犬も肉食」というのは昔の話。

ワンちゃんは人と長い間暮らしてきた過程により、オオカミよりも雑食性の強い体へと変化したのです。

チェックポイント!

ワンちゃんは人と生活していくうちに

肉食から雑食へと変化しました

そのため現代のワンちゃんは人とほぼ同じ消化器官を持っています

続いて、2つ目の疑問を見ていきましょう。

ワンちゃんは穀物を消化できないのでは?

ワンちゃんは穀物を消化できないのでは?

2つ目の「ワンちゃんは穀物を消化できないのでは?」という疑問は、半分正解で半分まちがいです。

なぜなら、ワンちゃんは加熱されていない生の穀物の消化は苦手ですが、加熱処理されたドッグフードに含まれる穀物はきちんと消化できるからです。

それではワンちゃんが生の穀物を消化しにくい理由から確認しましょう。

まず穀物とは、トウモロコシや小麦、お米など、炭水化物が豊富に含まれる植物性食材のこと。また炭水化物の一種であるデンプンも多く含まれています。

なお、デンプンを消化する酵素はアミラーゼといい、私たちの唾液などに含まれています。

口の中でお米やパンを咀嚼すると、唾液に含まれるアミラーゼがお米やパンのデンプンを分解・消化して吸収をサポートするのです。

口の中でお米やパンを咀嚼すると、唾液に含まれるアミラーゼがお米やパンのデンプンを分解・消化して吸収をサポートするのです。

ところがワンちゃんの唾液には、デンプンの消化に必要なアミラーゼが含まれていません。

そのためワンちゃんはデンプンを消化するのが苦手。

とくにデンプンが多く含まれているトウモロコシや小麦、お米などの穀物は、体に吸収されず消化不良の原因になると、一部ではワンちゃんに与えてはいけない危険な食べ物と考えられているのです。

犬はドッグフードに含まれる穀物を消化できる

たしかにワンちゃんの唾液にはデンプン(炭水化物の一種)を消化する酵素アミラーゼが含まれていません。そのため基本的にはワンちゃんは穀物の消化が苦手です。

ただドッグフードに含まれる穀物だけは例外。ワンちゃんはドッグフードに含まれる穀物であれば問題なく消化できます。

なぜならドッグフードに含まれる炭水化物は、ワンちゃんの体内でも消化しやすいアルファ化の状態に加工されているからです。

なぜならドッグフードに含まれる炭水化物は、ワンちゃんの体内でも消化しやすいアルファ化の状態に加工されているからです。

なおアルファ化とは、糊のようなゲル状になること。

たとえば未加熱のお米は硬いですが、水分を加えて加熱すると柔らかいご飯になり、さらに水分を増やせば糊状になります。この糊のような状態がアルファ化です。

ドッグフードに含まれる穀物は製造工程でアルファ化され、その状態を保ったまま乾燥されます。

ちなみにペットフード公正取引協議会の調査では、ドッグフード(ドライフード)のα化度は91~93%。

参考元:【ペットフード公正取引協議会】表4参照

フードのほとんどがアルファ化状態のため、ワンちゃんはフードに含まれる穀物を問題なく消化できるのです。

またワンちゃんの唾液にはデンプンの消化酵素アミラーゼが含まれていませんが、膵臓からは微量のアミラーゼが分泌されています。

さらに世界的な科学誌ネイチャーでも、犬が祖先であるオオカミよりもデンプンを消化する能力が高いことを研究した論文が発表されています。

2013年に英科学誌ネイチャーは発表した論文(The genomic signature of dog domestication reveals adaptation to a starch-rich diet)によると、犬は狼より効率的にデンプンを消化できる能力を持っていると発表しています。

犬と狼は遺伝子レベルでほとんど同じと言われていますが、消化吸収能力において明確な違いがあると考えられています。狼と消化能力の違いが明確にある以上、遺伝子がほとんど同じという理由を挙げて犬にとって狼と同じ食事が一番よいというのは誤りと考えるのが妥当でしょう。

引用元:https://www.ugpet.com/blog/2014/05/30/1608

犬は人との生活を続けていくなかで、徐々に消化器官が肉食から雑食へと対応・変化していった結果、今や人とほぼ同じ消化器官を持っています。

そのためオオカミよりも雑食性が強く、オオカミよりもデンプンの消化能力が高く変化しています。

愛犬に生の穀物を与えるのは良くありませんが、ドッグフードに含まれる穀物であれば十分消化できるので心配ありません。

チェックポイント!

ワンちゃんは未加熱の穀物の消化は苦手

しかしドッグフードに含まれる穀物は

ワンちゃんでも消化しやすい状態(α化)なので

無理なく消化できます

続いて、3つの目の疑問です。

穀物不使用(グレインフリー)のフードが増えている理由は?

なぜ穀物不使用(グレインフリー)のドッグフードが増えているの?

「ワンちゃんが雑食なら、どうして穀物不使用(グレインフリー)のドッグフードが増えているの?」と矛盾を感じた人もいるのでは?

近年、トウモロコシや小麦、お米などの穀物を原材料に一切使用しない「穀物不使用(グレインフリー)」のドッグフードが増えています。

穀物不使用のフードは穀物を排除した印象が強いため、「やっぱり愛犬に穀物は必要ないのでは・・」「穀物は愛犬の体に悪いのかな?」と不安に思いますよね。

そもそもワンちゃんは肉食よりの雑食ですが、ワンちゃんに特に必要な栄養素は肉や魚に豊富に含まれるタンパク質や脂質。穀物に多い炭水化物ではありません。

さらに全身の細胞に必要な10種の必須アミノ酸をバランス良く含んでいるのも、穀物ではなく肉や魚です。

このことから穀物不使用のドッグフードは、穀物を一切使用しない代わりに肉や魚をたっぷり使って作られているため、愛犬に必要な栄養をしっかり補えると人気を集めているのです。

このことから穀物不使用のドッグフードは、穀物を一切使用しない代わりに肉や魚をたっぷり使って作られているため、愛犬に必要な栄養をしっかり補えると人気を集めているのです。

またドッグフードに含まれる穀物は、愛犬の体内でも消化しやすい状態(アルファ化)にされているとはいえ、子犬や高齢などお腹の弱いワンちゃんの中にはスムーズに消化できない場合もあります。

穀物の消化不良による下痢やおう吐、さらには涙やけの悪化、皮膚の炎症などに悪影響を与える危険性も考えられています。

その点、穀物不使用のドッグフードであれば、ワンちゃんが消化しにくい穀物が使用されていないのでお腹の弱いワンちゃんにも安心。

以上のことから穀物不使用のドッグフードは、ワンちゃんに必要な栄養が効率よく補え、消化不良を起こしにくい安全なフードとして注目されているのです。

チェックポイント!

穀物不使用(グレインフリー)のドッグフードは

ワンちゃんに必要な栄養がたっぷり

お腹の弱いワンちゃんにもおすすめ

以上がワンちゃんを肉食ではなく、雑食だとする3つの理由・疑問です。

ただ、はじめにもお伝えしたとおりワンちゃんは肉食よりの雑食。

穀物が含まれているフードを与えても問題ありませんが、愛犬に重要なタンパク質と脂質がしっかり補えるように、肉か魚を主原料に使用したフードを選んであげましょう。

まとめ

ワンちゃんは人との生活を長く続けていく中で、肉食から雑食へと徐々に変化していきました。そのため祖先であるオオカミとは、食の習性や体のしくみはちがいます。

ただワンちゃんに重要な栄養は、肉や魚に豊富に含まれるタンパク質や脂質であり、穀物に多く含まれる炭水化物ではありません。

トウモロコシや小麦などの穀物が使用されていても良いですが、主原料には肉や魚が使用されているフードのほうが愛犬に必要な栄養を効率良く補えるのでおすすめです。

あしあとおすすめドッグフード目的別ランキング