涙やけの原因の1つは、愛犬とドッグフードの相性が関係しています
まずは涙やけの代表的な原因を3つ、一緒に見ていきましょう!
「愛犬の涙やけがひどい・・」
チワワやポメラニアン、シーズーなどの小型犬に多い涙やけ。
「鼻が低い」「目が大きい」など生まれつき涙やけを起こしやすい体質もありますが、じつはドッグフードが愛犬の体に合わないことが原因で、涙やけが起こる場合があります。
そこで、涙やけの原因、涙やけの改善におすすめのドッグフード、涙やけのケア方法について、一緒に確認しましょう。
涙やけの原因の1つは、愛犬とドッグフードの相性が関係しています
まずは涙やけの代表的な原因を3つ、一緒に見ていきましょう!
それではまいります。
目 次
犬の涙やけ(流涙症:りゅうるいしょう)の原因は、大きくわけて3つあります。
それは、「遺伝」「目の刺激」「ドッグフードが合っていない」です。
犬の涙やけの原因
1つずつ、詳しく見ていきましょう。
本来、涙は鼻にある涙管(びるいかん)を通って、鼻水として排出されたり喉へ流れ落ちていきます。
●涙管(るいかん)とは
目頭にある穴(涙点:るいてん)から鼻の穴までをつなぐ管のこと。
涙は涙管をとおって、鼻から排出されたり喉へ流れ落ちていきます。
ところが、チワワやトイプードル、ポメラニアンなどの小型犬、シーズーやパグなど鼻の短い犬種は、生まれつき涙管が狭い、もしくは閉じられている場合があります。
すると涙管を通り抜けられない涙が目から溢れ、それが涙やけを起こすのです。
●改善するには?
生まれつき涙管が狭い場合は、涙管に細い管や針を通して涙管の内部を洗浄したり、涙管(るいかん)の通りを良くするための手術が必要になります。
ただ、涙管の洗浄と手術の両方とも麻酔が必要です。
なお、手術や洗浄をおこなっても涙やけが改善されない場合もあります。
そもそも涙やけは、体に害を与えるものではありません。
涙で濡れた毛や皮膚に菌が繁殖しやすいですが、こまめに拭き取るように注意すれば予防できます。
そのため涙管の手術は、麻酔のリスクや愛犬の体調などを踏まえ、獣医さんとよく相談して決める必要があります。
涙管の洗浄や手術をしなくても、こまめに涙を拭き取って清潔にしてあげるだけでも症状は軽減されます
デリケートな部分なのでゴシゴシこすらず、やさしく拭うのがポイント
涙やけの拭き取り方については、「涙やけのケア・拭き取り方」で詳しくご紹介します!
逆さまつげや顔周りの毛が目に刺さることにより、涙の量が増えて涙やけを起こす場合があります。
とくに眼球が前に出ているパグやフレンチブルドッグなどの短頭種(鼻の低い犬種)、目の大きいシーズーやチワワ、マルチーズなどの顔周りの毛が伸びる犬種は、目が傷つきやすいので注意が必要です。
パグ、フレンチブルドッグ、プードル、シーズー、マルチーズ、ペキニーズ、アメリカンコッカースパニエルなど
●改善するには?
愛犬が顔周りの毛をこまめにカットして、目にかからないように気をつけてあげましょう。
逆さまつげは、定期的にまつげを抜く・切ることで目に触れないようにします。
ただ、飼い主さん自身でまつげを抜いたり切ろうとすると、愛犬の目を傷つける場合があるので、必ず病院や美容院で処理してもらいましょう。
逆さまつげによる炎症が重病の場合は、内側に向いたまぶたを外側に向ける手術やレーザーでまつ毛を脱毛して治療する方法もあります。
また涙やけ以外に、目ヤニや充血、まぶたの裏や周辺が赤いなどの場合は、結膜炎を発症している恐れがあります。
結膜炎にかかると、目のかゆみや違和感を感じて前足で目をかき、余計に目を傷つける危険性も・・。
炎症が角膜に広がる場合もあるので、目の充血や目ヤニが多いなどの異変に気づいたら、すぐ病院へ連れていきましょう。
涙やけのほかに、愛犬がよく目をかく、目が充血している、目ヤニが多いなどの症状があれば、結膜炎の疑いがあります
すぐ獣医さんに診てもらいましょう
逆さまつげや涙管に問題がないにも関わらず、愛犬に涙やけがある場合はドッグフードが体に合っていない可能性が考えられます。
例えば、穀物や添加物、低品質な原材料を使用したドッグフードが体に合わない場合、フードに含まれるタンパク質や脂質が十分に消化・吸収されません。
すると・・
消化しきれなかったタンパク質は涙の成分に含まれ、涙は本来より粘り気のある状態に・・。
一方、消化不十分の脂質は、まつ毛の生え際にある「マイボーム腺」という皮脂腺を詰まらせます。
涙の成分やマイボーム腺が涙やけにどう関わっているのか、詳しく見ていきましょう。
涙の成分は98%が水分、残り2%にはタンパク質やナトリウムが含まれています。
このように涙はほとんどが水のため、本来なら涙管(涙が通る道)を詰まらせることはありません。
しかし、ドッグフードが体に合わず体内に消化しきれなかったタンパク質が増えると、消化不良のタンパク質は涙にまで含まれていきます。
タンパク質が多く含まれた涙は、通常より粘り気があり涙管をスムーズに通り抜けられません。
その結果、涙やけが引き起こされるのです。
またタンパク質だけでなく、消化不良となった脂質も涙やけの原因です。
消化されなかった脂質は、まつ毛の生え際にある汗腺(マイボーム腺)を詰まらせます。
マイボーム腺とは、皮脂を分泌して目の水分の蒸発を防ぎ、涙がこぼれ落ちるのを抑える働きがあります。
しかし消化不良の脂質によってマイボーム腺が詰まると、目の水分の蒸発や涙を抑える油分が分泌されません。
すると、目は乾いて結膜炎などの炎症を起こしやすく、涙やけのリスクが高まります。さらに涙は目にとどまることなく流れ落ちるので、涙やけを悪化させる原因にもなるのです。
このように涙やけの原因には、涙の成分(タンパク質の増加)やマイボーム腺の詰まりが深く関係しています。
そのため消化不良を起こさないように、愛犬の体に合うドッグフードを選ぶことが大切です。
体に合わないドッグフードが涙やけに影響している場合があります
涙やけの改善には、どのようなドッグフードを選べば良いのか、次の章で詳しく見ていきましょう
涙やけの改善におすすめのドッグフードのポイントは、大きくわけて3つあります。
それは「主原料」「原材料の品質」「無添加」です。
【ポイント①】主原料が肉、または魚
涙やけを予防・改善するには、消化の良いドッグフードを選ぶことが重要です。
犬は肉食中心のオオカミが祖先の名残りから、穀物(小麦・トウモロコシなど)より肉や魚のほうが消化しやすいです。
そのため主原料には肉か魚を使用したドッグフードを選びましょう。
【ポイント②】原材料はすべてヒューマングレード!
ドッグフードが体内でスムーズに消化されるには、原材料の品質にも注意が必要です。
というのも、ドッグフードは食品や家畜のエサより安全基準が低いため、4Dミート(病気・死亡した家畜)や副産物(○○ミールなど)といった粗悪な材料が使用されている場合があります。
原材料が粗悪な低品質なものだと、タンパク質の吸収率が悪く涙やけを悪化させる場合も・・。
そのためドッグフードは、「ヒューマングレード」や「原材料は人も食べられる高品質なものを使用」など、原材料の品質について情報公開されているものを選びましょう。
【ポイント③】無添加、もしくは人工添加物不使用
ドッグフードに含まれる不純物が、涙やけを悪化させることもあります。
その代表が、発色剤や着色料、保存料などの添加物です。
ドッグフードに使用された添加物は、体内に少しずつ蓄積されます。
すると、添加物を排出するために涙の量が増加して、涙やけがひどくなってしまうのです。
そのため体に不要な添加物はできるだけ避けること。とくに注意が必要なのは、体への影響が心配な人工添加物が使用されたフードです。
上記のポイントを参考に、愛犬のドッグフードを選んであげましょう。
これはタンパク質の量が多すぎることが原因。
体質によっては良質なタンパク質を多く摂取すると、涙やけが悪化することがあります。
その場合は、ヒューマングレードで肉や魚がメインのドッグフードでも、低タンパクの栄養バランスのものを選びましょう。
目安は、タンパク質の量が24%以下のドッグフードです。
●主原料が穀物(トウモロコシ・小麦など)の場合
→文字赤主原料を肉・魚へ変更
●タンパク質25%以上のフードで改善されない場合
→文字赤主原料が肉・魚でタンパク質が24%以下のものへ変更
続いては、涙やけのケア方法についてです。
涙で濡れた被毛に細菌が繁殖しないように、涙やけをこまめに拭き取ることも涙やけ改善の大切なポイントです。
なお、涙やけのケア・拭き取り方には3つのポイントがあります。
涙やけのケア方法
1つずつ確認しましょう。
①目の周りをこまめに拭く
涙やけのケア方法の基本は、涙をこまめに拭き取ること。
目の周りを涙で濡れたまま放置するのは、被毛が赤茶色に変色する原因です。菌が繁殖して結膜炎を起こすリスクも高まるので、涙が出ていたらすぐ拭き取ってあげましょう。
ぬるま湯や涙やけ用のクリーナーローションを布やコットンに含ませて、目に沿って優しく拭き取ります。
デリケートな部分なので、汚れが付いていても力を入れてゴシゴシこすらないこと。
ぬるま湯やローションで汚れを浮かせてから、そっと拭き取りましょう。
パグやフレンチブルドッグなどは、顔のシワの間に汚れが溜まりやすいので、そこもキレイに拭きます。
なお、ローションなどの水分が残っていると、それが原因で菌の繁殖・毛の変色が起こるので、最後は乾いた布やコットンで毛に残った水分をしっかり拭き取ることも忘れずに。
②目を温める
マイボーム腺の皮脂づまりの改善には、目を温めるのが効果的です。
電子レンジで温めたタオルなどを利用して、愛犬の目元を約5分間じんわりと温めます。
熱すぎると危険なので、温める温度は人が利用する場合よりも低くてOK。ぬるい状態から始めましょう。
③目の周辺のマッサージ
また涙やけの改善には、涙管の通りを良くするマッサージもおすすめです。
目頭から涙管にかけて、指の腹を使ってやさしく撫でるようにマッサージします。
目を突かないように愛犬を落ち着かせてから、ゆっくり優しくマッサージしましょう。
なお、マッサージの前後は手をキレイに洗うことも忘れずにおこなってください。
愛犬の涙やけを何とかしようと、涙ケアのクリーナーやドッグフードの変更など色々な対策をしている飼い主さんは多いはずです。
今、与えているドッグフードの主原料が穀物(トウモロコシ・小麦など)の場合は、肉か魚のドッグフードへの切り替えをおすすめします。
すでに、主原料が肉や魚のドッグフードを与えているのに涙やけが改善されない方は、タンパク質の割合をチェックしてください。
タンパク質の量が25%以上だとすれば、愛犬にはタンパク質が多すぎることが考えられます。主原料は肉・魚のままでタンパク質が24%以下のものを一度試しみてください。
●主原料が穀物(トウモロコシ・小麦など)の場合
→主原料を肉・魚へ変更
●タンパク質25%以上のフードで改善されない場合
→主原料が肉・魚でタンパク質が24%以下のものへ変更
(参考文献)
【一般社団法人ペットフード協会・ペットフート販売士認定講習会テキスト】
「犬・猫の体の構造と生理」より
参考サイト:涙管閉塞(流涙症)とは
参考サイト:マイボーム腺が詰まりやすいのでケアの方法はありますか。
参考サイト:犬の結膜炎、原因は? どんな症状? 治療法や予防法は?
おすすめドッグフード目的別ランキング