水道水は菌が増殖しにくく安全性が高い
飲み水をこまめに取り換えられない場合は特におすすめ
※丸1日取り換えなくて良いわけではありません
できるだけ新鮮な水を飲ませてあげましょう
ワンちゃんに与える飲み水は、水道水派とミネラルウォーター派の人がいます。
しかし、「水道水は塩素が含まれている」「ミネラルウォーターは尿石症のリスクを高める」など、どちらの水にも良くない噂があります。
結局のところ、ワンちゃんには水道水とミネラルウォーターのどちらを与えるのが良いのでしょうか?
そこでワンちゃんに与える際の水道水とミネラルウォーターのメリット・デメリットについて調べてみました。さっそく詳しい内容を見ていきましょう。
結論からいうと、ワンちゃんの飲み水として水道水とミネラルウォーターを比較した場合、おすすめなのは水道水です。
なぜなら水道水はミネラルウォーターより雑菌が増殖しにくく、安全性が高いからです。
ただ水道水に含まれる塩素の影響や、水道水特有のカルキ臭が気になる飼い主さんも多いはず。また、もう一方のミネラルウォーターを与えてはいけない訳でもありません。
それでは、水道水を勧める理由とミネラルウォーターの注意点などについて、水道水から詳しく見ていきましょう。
犬のごはん塾ではワンちゃんの飲み水は水道水が最適だと考えていますが、その主な理由は2つあります。
それは水道水がミネラルウォーターと比べて、「水質検査が厳しい」・「雑菌が増殖しにくい」からです。
1つ目の水質検査については、水道水は重金属類(水銀・ヒ素など)、無機物(シアン化合物など)、一般有機物(ベンゼンなど)、色、味、発泡など、合計で51項目の水質基準があり、そのすべてをクリアする必要があります。
一方、ミネラルウォーターの水質検査数は14~39個。水道水の検査数51個を大きく下回っています。
一般的にはわざわざ購入するミネラルウォーターのほうが良いイメージがありますが、じつは水道水のほうが厳しい検査基準をクリアした水なのです。
参考元:【東京都水道局】-水源・水質
また2つ目の理由は、水道水はミネラルウォーターより雑菌が増殖しにくく、安全性が高いことです。
なお、菌が増えにくい理由は殺菌方法のちがいにあります。
水道水とミネラルウォーターはそれぞれ、水中に含まれる病原菌の殺菌処理がおこなわれますが、ミネラルウォーターの処理方法が加熱殺菌に対して、水道水は塩素殺菌(消毒)。
これにより水道水には微量の塩素が水中に残ってしまうのですが、その塩素が菌の増殖を防いでくれるのです。
そのため塩素によって菌が増えにくい水道水は、清潔な密閉容器に入れて冷蔵庫で保管すれば約3日は飲用として使用できます。
一方、加熱殺菌のミネラルウォーターは塩素が含まれていないので、開封後の長期保存は不可。できる限り早めに使い切る必要があります。
ちなみに飼い主さんの中には仕事などで日中家におらず、愛犬の飲み水は朝に取り換えたら帰るまで同じままの場合も多いと思います。
そんな飼い主さんにこそ、菌が増殖しにくい水道水は特におすすめです。
水道水は菌が増殖しにくく安全性が高い
飲み水をこまめに取り換えられない場合は特におすすめ
※丸1日取り換えなくて良いわけではありません
できるだけ新鮮な水を飲ませてあげましょう
ただ塩素が含まれている水道水をワンちゃんが飲んでも大丈夫なのか、心配になる飼い主さんは多いと思います。
しかし水道水に残留する塩素濃度はごくわずかで、ワンちゃんの体に悪影響を与える危険性はありません。
なお東京都水道局によると、水道水に残留する塩素濃度は1mg/L以下。
この値はWHO(世界保健機関)の飲料水に含まれる塩素のガイドライン値5mg/Lを大幅に下回っています。
塩素は水道水を消毒するために入れるものです。病原菌等に対しては消毒効果がありますが、人に対しては影響はありません。
また、WHO(世界保健機関)の飲料水水質ガイドラインによると、塩素のガイドライン値は5mg/Lとされています。このガイドライン値は、生涯にわたり水を飲んでも人の健康に影響が生じない濃度を表しています。
東京都水道局では、残留塩素濃度を水道法で定められている0.1mg/L以上、水質管理目標設定項目の目標値である1mg/L以下を蛇口において常に確保できるように管理しています。
また水道水の塩素処理の過程で発生する化合物「トリハロメタン」の影響も心配ありません。
トリハロメタンとは、水中に含まれる有機物質と塩素の反応によって作られる、発がん性が疑われる化合物です。
ただ水道水に含まれるトリハロメタンの量は水質基準値以下のため、塩素と同じく安全性への影響はないとされています。
川などの水には、植物が枯死し、分解したときにできる腐植質や都市排水などの中にある有機物質が含まれています。水道水をつくる過程で塩素処理を行うと、これらの物質と塩素が反応してトリハロメタンができます。東京都の水道水中に含まれるすべてのトリハロメタンの量は、水質基準値以下であり安全性に問題はありません。
なお、水質基準は、生涯にわたり連続して摂取しても健康に影響が生じない水準をもって、基準値が設定されています。
以上のことから、水道水は水中に残留する塩素やトリハロメタンの危険性はなく、ワンちゃんに安心して与えられる水です。
チェックポイント
水道水に含まれる塩素濃度は1mg/L以下
WHOの世界基準5mg/Lを大きく下回っているため
ワンちゃんへの影響は心配ありません
「水道水が安全なのは分かったけど、水道水特有のカルキ臭が苦手・・」そんな飼い主さんもいると思います。
そもそもカルキ臭の原因は塩素。そのためカルキ臭は、塩素による菌の増殖防止がされている証拠でもあります。
ただ愛犬が飲まない、飼い主さん自身に抵抗があるなどの場合は、下記の方法でカルキ臭を取り除きましょう。
水道水のカルキ臭を取る方法
水道水のカルキ臭が気になる場合は、一度煮沸するか冷蔵庫で冷やすこと。これで水道水特有のカルキ臭さは無くなります。
ただ塩素は加熱によって無くなってしまうので、一度煮沸した水道水はミネラルウォーターと同じく菌の増殖を抑える効果はありません。
そのため煮沸した水道水を愛犬の飲み水に使用する場合は、こまめに取り換えられる時だけにしましょう。
また冷たすぎる水はお腹を壊す場合もあるので、キンキンに冷えた水ではなく冷蔵庫から先に出し、冷たさが少し落ち着いた状態で与えるほうが安心です。
ちなみに浄水器を通した水も塩素が取り除かれるので、煮沸した水道水と同じく飲み水をこまめに取り換えられないときは使用を避けましょう。
続いては、ミネラルウォーターを飲み水に使用する際の注意点についてです。
ミネラルウォーターは水道水のようなカルキ臭さがなく、ミネラルが豊富に含まれているのが魅力。ただワンちゃんの飲み水として使用する場合は、水道水よりも注意が必要です。
その注意点とは、「こまめに取り換える」「軟水かつ中性のタイプを選ぶ」の2つです。
・飲み水をこまめに取り換える
・軟水かつ中性のタイプを選ぶ
1つずつ確認しましょう。
ミネラルウォーターの殺菌方法は加熱処理のため、塩素殺菌の水道水よりも菌が増殖しやすい性質があります。
そのためワンちゃんの飲み水を長時間取り換えられない場合は、使用を避けるほうが安全。
ミネラルウォーターの使用は、こまめに取り換える場合やボトル開栓後すぐに与える場合などに限定しましょう。
こまめな取り換えが特に必要な水
またミネラルウォーターにはカルシウムやマグネシウムなどのミネラルが豊富に含まれている製品も多く、ミネラル量が多いほど硬い水(硬水)になります。
ミネラルがたっぷり摂取できる硬水のほうが良いように思えますが、ワンちゃんに必要なミネラルの量はごくわずか。
そのためミネラル成分の多い硬水を飲み水に使用していると、ワンちゃんがミネラルを過剰摂取してしまう危険性があります。
とくにマグネシウムの過剰摂取は、ストルトバイト結石などの尿石症に悪影響を与えるのではないかと危険視されています。(※後日、尿石症のリンク)
ただ尿石症のリスクと硬水の関連性ははっきりと証明されていません。そのためワンちゃんに硬水を与えても問題ないという意見もあります。
とはいえ不安なものは与えないほうが安心なので、ミネラルウォーターを与える場合はミネラル量が比較的少ない軟水がおすすめです。
またミネラルの量のほかに、pH値(酸性・アルカリ性の度合い)がアルカリ性の水も尿石症のリスクを高める恐れがあります。
そのためワンちゃんに与えるミネラルウォーターは、「軟水かつ中性~弱アルカリ性」のタイプを選びましょう。
なお、主なミネラルウォーターの硬度とpH値は下記のとおりです。
ミネラルウォーターの硬度とpH値 100mlあたり(単位mg)
- | 硬度 | pH値 |
---|---|---|
水道水 全国平均 | 軟水 100 mg/L以下 | 中性~弱アルカリ性 |
エビアン | 硬水 304mg/L | 中性~弱アルカリ性 |
ボルヴィック | 軟水 60 mg/L | 中性 |
いろはす | 軟水 28 mg/L | 中性 |
アサヒおいしい水富士山 | 軟水 30mg/L | 弱アルカリ性 |
クリスタルガイザー | 軟水38mg/L | 中性~弱アルカリ性 |
アルカリイオンの水 | 軟水 58 mg/L | アルカリ性 |
南アルプスの天然水 | 軟水 30 mg/L | 中性 |
コントレックス | 硬水 1468mg/L | 中性~弱アルカリ性 |
硬水のエビアンとコントレックス、アルカリ性のアルカリイオアンの水は、ワンちゃんに与えないほうが安心です。ミネラルウォーターを与える場合はこれら3つ以外の製品にしましょう。
さいごに、ワンちゃんにとって水がどれほど大切かを簡単にお話します。
水の種類も大切ですが、いつでも新鮮な水をたっぷり飲めるように心がけることも重要です。
じつはワンちゃんは体内のタンパク質や脂肪を50%以上失っても生きることができますが、体内の水分の15%を失うと生きていけません。
そのため飼い主さんは、愛犬がいつでも新鮮な水を十分飲める環境を保つ義務があります。
飲み水をできる限りこまめに取り換えたり、水飲み場を2ヶ所以上設置するなど、ワンちゃんの行動に合わせた工夫が必要です。
とくに冬は水を飲む量が減りやすいので、寝室など食事以外の場所でも水が飲める環境がおすすめ。
水をたくさん飲むと尿石症の発症や症状の進行を防止できるので、どこでも水を飲めるくらい水飲み場を増やしても良いでしょう。
また水を大量に飲む、水をあまり飲まないなど、水を飲む量の変化で病気に気づく場合もあります。(※後日、飲水量の変化のリンク)
愛犬が普段どのくらい水を飲むのか、回数や飲んだ後の水の減り方などをチェックして変化に気づけるようにしましょう。
飼い主さんの多くは、仕事などで日中ほとんど家にいない場合が多いと思います。そのためワンちゃんの飲み水は、菌が増殖しにくい水道水がおすすめです。
ただ水道水でもこまめに取り替えるのがベストです。出かける直前に新しい水を用意し、帰宅したらすぐに新鮮な水に取り換えてあげましょう。
またミネラルウォーターを利用する場合はペット専用か、人用のミネラルウォーターを与える場合はミネラル量が比較的少ない軟水を与えるほうが安心です。
水はワンちゃんの健康に欠かせない重要な栄養素なので、愛犬がスムーズに水を飲める環境を整えてあげましょう。
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