犬の口臭は病気のサイン!歯磨きやケア用品で改善しない場合は病院へ!

犬の口臭は病気のサイン!歯磨きやケア用品で改善しない場合は病院へ!

愛犬の口が臭い・・

愛犬が顔を近づけた瞬間に「ウッ・・くさい」と感じたことはありませんか?

愛犬の口臭が気になったら、そのまま放置してはいけません。

犬の口臭の原因には、歯周病やガン、腎臓病など早急な治療が必要な場合があります。

それでは愛犬の口臭の原因や改善方法・注意点について、一緒に見ていきましょう。

チェックポイント!

犬の口臭は、体の不調を知らせるサインです

愛犬の口臭の原因はなにか、詳しく見ていきましょう

それではまいります。

犬の口臭の原因は?

犬の口臭の原因は?

愛犬の口臭が気になったら、まずは口臭の原因が何か確かめましょう。

犬の口臭の原因で多いのは、歯周病などの口腔内の病気です。
ただ口臭の原因は歯周病だけではないので、適切な処置ができるように愛犬の口臭の原因をはっきりさせましょう。

●口臭の原因を確かめるには・・

【チェック方法】愛犬の歯をハンドタオルで拭う

●タオルが臭い → 歯周病やドライマウスなど口腔内が原因

●タオルが臭くない → 胃や腸、腎臓などの内臓疾患が原因

愛犬の歯をタオルで拭ってみて、タオルが臭うなら原因は歯や口の中。
一方、タオルがとくに臭わなければ、原因は胃や腸、腎臓などの病気や消化不良などが影響しています。

それぞれの原因で考えられる主な病気は、次のとおりです。

●口臭の原因となる病気は?

口腔内(歯や口の中)が原因の場合

  • 歯周病
  • 口が乾燥している
  • 口腔内の腫瘍(がん)
  • 酸化・劣化したドッグフード


歯周病や口腔内腫瘍の場合は、歯の変色や歯茎のただれ、しこりなど見た目で確認できる場合もあります。


内臓疾患(胃や腸、腎臓)が原因の場合

  • 胃炎
  • 腎臓病(腎不全)

愛犬の口臭を改善するには、上記の原因に当てはまるものがあるか確認して、その治療をおこなう必要があります。

それでは口臭の原因について、1つずつ詳しく見ていきましょう。
まずは犬の口臭の原因でもっとも多い、歯周病についてです。

【原因①】歯周病

【原因①】歯周病

●歯周病の特徴

生臭い口臭、歯の黄ばみや茶色に変色している、歯肉(歯茎)が赤い、歯肉の腫れている、または出血がある、ヨダレが多い、歯のぐらつき、食欲低下など

犬の口臭の原因でもっとも多いのが、「歯周病」です。

歯周病になると、生臭い口臭が発生します。その他にも歯の黄ばみ、歯肉の赤み・腫れ・出血が見られ、進行すると歯がぐらついて固いものが食べづらく食欲も低下します。

なお、犬は人より歯周病にかかりやすいですが、歯周病は口に残った食べかすに細菌が発生することで起こるため、口の中を清潔に保てば予防できる病気です。

しかし、「歯みがきはたまにしかしない」「歯みがきガムだけで済ませている」など、歯みがきが習慣化されていない場合が多く、犬の歯周病の問題は深刻・・。

実際に、アニコム損害保険株式会社の発表では、成犬の約8割が歯周病予備軍であることが確認されています。

参考サイト:アニコム

●歯周病とは?
歯周病は、歯に蓄積した歯石が歯肉(歯茎)に炎症を起こして、歯周組織を破壊する病気です。

実際に、アニコム損害保険株式会社の発表では、成犬の約8割が歯周病予備軍であることが確認されています。

【歯周病が起こるメカニズム】

  1. 口に残った食べかすに細菌が発生して「歯垢(しこう)」をつくる
  2. 犬の場合、歯垢は3~5日間のうちに石灰化して「歯石」となる
  3. 歯石は歯肉に炎症を起こして、「歯肉炎・歯周病」を起こす
  4. 歯石表面はザラザラのため、そこに歯垢が溜まる
  5. 歯垢は3~5日後に歯石へと変わり、歯周病をさらに悪化させる

引用元:http://oravet.jp/

歯周病は病状が進行すると、歯を支えている顎の骨「歯槽骨(しそうこつ)」が溶けて歯が抜け落ちたり、顔の皮膚を貫通して穴が開く場合もあります。

また細菌が血流に乗って全身をめぐると、心臓病や腎臓病を起こす危険性も・・。

そのため歯周病は未然に防ぐことが重要。また歯周病にかかったら病状が進行しないように、早急な治療が必要です。

歯周病による口臭を無くすには?

歯周病による口臭を無くすには?

歯周病が原因の口臭を無くすには、まず歯みがきを毎日おこなうこと。

歯周病が軽度の場合は、歯みがきを徹底するだけで口臭がグッと改善されます。ちなみに、歯みがきガムだけでは歯周病を予防できません。

歯みがきガムだけでも食べかすや歯垢の沈着を多少防げますが、歯周ポケット(歯と歯茎の間)の汚れを取り除くには、先端の細い歯ブラシが有効です。

そのため歯みがきを毎日、最低でも3日に1度はおこないましょう。

なお、最低でも3日に1回の歯みがきが必要な理由は、犬は歯垢が歯石に変わる日数が3~5日だから。

なお、最低でも3日に1回の歯みがきが必要な理由は、犬は歯垢が歯石に変わる日数が3~5日だから。

人は歯垢から歯石に変わるまで約20日かかりますが、犬はわずか3日で歯垢が歯石に変わります。

なお、歯垢(しこう)は歯ブラシで磨き落とせますが、歯垢が石灰化した歯石は歯ブラシでは落とせません。

そのため歯垢が歯石に変わる前に磨き落とせるように、最低でも3日に1回は歯みがきをおこないましょう。

口臭予防のマウスクリーナーの効果は?

口臭予防のマウスクリーナーの効果は?

愛犬の口臭ケアは歯みがきを中心におこなうのがベストですが、歯みがきを嫌がる愛犬も多く、しっかり歯を磨けない場合もあると思います。

そんなときは、歯みがきガムや飲み水に歯垢や歯石の沈着を予防するマウスクリーナーなどを利用するのもおすすめです。

愛犬の飲み水にマウスクリーナーを少量加えるだけで、口臭の改善、歯垢・歯石の予防が期待できます。

ただ愛犬によって効果はバラバラで、マウスクリーナーの混ざった水を飲まない場合もあります。

そのためマウスクリーナーだけに頼るより、歯みがきに慣れるまで、または並行して利用しましょう。

歯みがきやマウスクリーナーで改善されない場合は?

軽度の歯周病であれば、歯みがきやマウスクリーナーなどの口臭ケア用品で改善されますが、歯石が歯に蓄積している場合は動物病院で治療する必要があります。

一般的な歯石の除去方法は、全身麻酔による「スケーリング」です。スケーラーという細い器具で、歯に溜まった歯石を削り落として除去します。

スケーリングで歯石は除去できますが、全身麻酔は愛犬の体に大きな負担を与えます。

スケーリングで歯石は除去できますが、全身麻酔は愛犬の体に大きな負担を与えます。

また歯石を無理やり削り落とすため、治療後は歯垢が溜まりやすくなる場合があり、歯垢・歯石の沈着により一層注意が必要です。

チェックポイント!

犬の口臭の原因でもっとも多いのが「歯周病」です

進行すると歯が抜け落ちたり顔に穴が開くなど、痛々しい状態になるので、毎日の歯みがきを徹底して予防しましょう


【原因②】口が乾燥している

【原因②】口が乾燥している

●口が乾燥しているときの口臭の特徴

口臭が魚臭い、または生臭い、唾液に粘り気がある

口が乾燥すると、口臭がキツくなる場合があります。

本来、口の中はある程度の水分が保たれていますが、愛犬の水を飲む量が少なかったり、外出先でこまめに水分補給ができない場合に、唾液が濃縮されて口臭が発生します。

また鼻炎などで鼻が詰まっている愛犬は、常に口が空いているため乾燥しやすいです。

なお、口の乾燥が原因の口臭は、魚臭いまたは生臭いような臭いが特徴。口の中の水分が少ないため、唾液がいつもより粘っこく感じます。

●改善するには?

口の乾燥が原因の口臭は、魚臭いまたは生臭いような臭いが特徴。口の中の水分が少ないため、唾液がいつもより粘っこく感じます。

水分をしっかり摂取させて、口の乾燥を防ぎましょう。

愛犬が水をあまり飲まない場合は、ドッグフードをぬるま湯でふやかしたりウェットフードを利用すると、食事と同時に水分補給ができます。

鶏のゆで汁やヨーグルトを薄めたものを与えるのも効果的です。

また犬は舌から水分を蒸発させて体温を調節します。そのため愛犬が快適に過ごせる室温を保つように心がけましょう。

チェックポイント!

口の乾燥が原因の場合は、水分補給をこまめにおこなって乾燥を防いであげましょう


【原因③】口腔内の腫瘍(がん)

【原因③】口腔内の腫瘍(がん)

●口腔内腫瘍の特徴

腐ったような口臭、よだれの増加、よだれに血が混ざる、食べこぼし、食べる速度が落ちる、口を開けにくそうにする、体重減少など

口臭の原因のが、口の中に発生した腫瘍の場合もあります。

腫瘍(がん)は早期発見・早期治療が重要です。

そのため愛犬の口の中や口のまわりにしこりがある、急によだれが増えた、よだれに血が混ざっているなどの異変に気づいたら、すぐ動物病院に連れていきましょう。

なお、口腔内に発生する主な腫瘍は次のとおりです。

エプリス(良性)

エプリスは、歯茎にしこりや腫れが発生する良性の腫瘍です。

原因ははっきりと分かっていませんが、高齢犬に発症が多く、発生原因は歯肉炎やホルモンの分泌異常が影響していると考えられています。

しこりが大きくなると、ご飯が食べづらく大量のよだれ、口臭、歯茎から出血するなどの症状が見られます。

発生原因に歯肉炎が影響しているため、口の中を清潔に保つことが予防のポイントです。

メラノーマ(悪性黒色種)

メラノーマ(悪性黒色種)は、色素をつくる細胞「メラニン」が口の粘膜や舌でがん化する病気です。

高齢犬が発症しやすく、赤黒いしこりができるのが特徴です。よだれの量が増え、しこりから出血する場合があります。

またしこりが喉元に発生すると、呼吸がしにくく咳などの症状が見られる場合もあります。

発生原因は不明のため、少しでも異変を感じたらすぐ病院へ連れていきましょう。

扁平上皮がん(へんぺいじょうひがん:悪性)

扁平上皮がんは、口や鼻の中、爪、陰部、肛門など表面に粘膜が出ている部分に発生しやすい悪性のがんです。

ボコボコとした赤く硬いしこりができるのが特徴で、発生箇所のただれ・出血をともないます。

発生原因はタバコの副流煙、大気などの環境汚染、ストレス、薬品、などさまざまな要因が影響しているとされています。

扁平上皮がんは短期間でしこりができ、増殖も早いので赤いしこりを見つけたときは、すぐに病院へ連れていきましょう。

線維肉腫(悪性)

扁平上皮がんのしこりがボコボコしているのに対して、線維肉腫は粘膜がそのまま膨らんだような赤くツルンとしたしこりができるのが特徴です。

免疫力の低下や衛生面、ストレスが影響していると考えられているため、食事管理や愛犬とのスキンシップ、体のケア(歯みがき・お風呂など)を心がけましょう。

チェックポイント!

ガンは早期発見、早期治療が重要です

口臭が気になってから口の中をチェックするのではなく、おやつやおもちゃを利用しながら愛犬の口の中を定期的にチェックしましょう


【原因④】酸化・劣化したドッグフード

【原因④】酸化・劣化したドッグフード

●酸化したドッグフードが原因の口臭の特徴

油が酸化したような口臭、腐ったような口臭

保存状態が悪いドッグフードが、口臭の原因の場合もあります。

だいたい、どのドライフードも開封後1ヶ月は保存が可能ですが、保存状態が悪いとドッグフードはどんどん酸化して傷んでいきます。

とくにドッグフードに含まれる油が酸化すると異臭が発生しやすく、愛犬の口に残った食べかすが口臭の原因となるのです。

口臭の問題だけでなく、酸化したドッグフードは栄養価が低下し、細胞を酸化させる「過酸化脂質」が発生している危険性があります。

下痢やおう吐を起こす場合もあるので、ドッグフードは酸化しないように正しく保存しましょう。

チェックポイント!

ドライフードは、熱・光・空気に触れると酸化が進みます

直射日光の当たらない涼しい場所に、小分けにして保存するのがおすすめです


【原因⑤】胃炎

【原因⑤】胃炎

●胃炎の特徴

口臭(ツーンとした酸っぱい臭い)、嘔吐、空腹時間が長い、誤食・感染症・中毒症状を起こした

愛犬の口臭が酸っぱい場合は、胃腸の調子が悪いサインかもしれません。

ツーンとした酸っぱい臭いは、胃酸や胆汁(肝臓から分泌される消化液)が込み上げてきたものなので、口臭が気になった前後に愛犬が吐いているケースも多いと思います。

なお、犬が吐く原因で多いのは次のとおりです。
愛犬に当てはまるものがないか、チェックしましょう。

犬が吐く原因は・・

●危険性の低い嘔吐
【症状】嘔吐だけ、食欲・元気がある

【吐いたもの】透明~黄色の液体、または泡、ドッグフード

【原因】空腹や早食い、ストレス、乗り物酔いなど

●危険性の高い嘔吐
【症状】嘔吐のほかにも下痢、大量のよだれ、発熱、食欲・元気がない、何度も吐く

【吐いたもの】茶色、血が混ざっている

【原因】ウイルス感染、誤食、消化器官の病気(胃潰瘍、すい炎、アジソン病、がん、胃捻転など)

危険性の低い嘔吐も繰り返すと、胃酸によって食道が炎症を起こすなどの危険性があります。

ほかの病気の疑いもあるので、頻繁に吐くようであれば病院へ連れていきましょう。

チェックポイント!

愛犬が吐いていないのに口臭が酸っぱい場合は、胃酸過多の危険性があります

この場合も一度獣医さんに診てもらいましょう


【原因⑥】腎臓病(腎不全)

【原因⑥】腎臓病(腎不全)

●腎臓病(腎不全)の特徴

口臭(アンモニア臭)、多飲多尿、嘔吐、下痢、食欲・元気がない、けいれんなど

愛犬の口からアンモニアのような口臭を感じたら、腎臓病の疑いがあります。

そもそも腎臓は尿をつくる器官で、尿と一緒に体内の老廃物や毒素を排出させる重要な役割もあります。

しかし腎臓病になると、尿と一緒に排出されるはずの老廃物や毒素が血液中に残ったままになる「尿毒症」を引き起こすのです。

尿毒症になると体内に老廃物や毒素が溜まるため、それが原因でアンモニア臭の口臭が発生します。

なお腎臓病は初期症状がほとんどなく、腎臓の70~75%以上が破壊されないと血液検査で異常も確認できません。

症状として気づきやすいのは、口臭よりも多飲多尿です。アンモニア臭の口臭に気づいたときには病状が進行している恐れもあるので、すぐに病院へ連れていきましょう。

チェックポイント!

腎臓病は高齢になるほど発症しやすく、リンやナトリウムの摂り過ぎは腎臓病のリスクを高めます

高齢の愛犬は低リン・低ナトリウムの食事を心がけましょう

まとめ

犬の口臭の原因は、酸化したドッグフード、歯周病、がん、腎臓病などさまざまです。

ただ口臭の原因でもっとも多い歯周病を防ぐには、歯みがきを習慣づけることが重要です。

愛犬が嫌がらないように、最初は歯ブラシで遊ぶことから徐々に顔や口周りのタッチ、口に歯ブラシを入れる、部分的に動かすなど1つの動きごとに段階をわけてトレーニングしましょう。

(参考文献)
【一般社団法人ペットフード協会・ペットフート販売士認定講習会テキスト】
「犬・猫の体の構造と生理」より

参考サイト:「犬の口臭がひどい」4つの原因
参考サイト:ペットの口臭はたまった歯垢や歯石が原因

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