穀物を消化するには長い腸が必要!
犬の腸の長さは体長の5~7倍と短く、穀物の消化には不向きです
ドッグフードの種類に増えてきているのが、トウモロコシや小麦などの穀物を一切使わずに作られた「穀物不使用(グレインフリー)」のドッグフード。
穀物不使用のドッグフードは、原材料に穀物をまったく使用しない代わりに肉や魚がたっぷり含まれています。
そのため小麦アレルギーの対応フードというだけでなく、穀物が使用されているフードよりワンちゃんの体に良いと注目されているのです。
それなら小麦アレルギーでなくても、穀物不使用のドッグフードを選ぶほうが良いのでしょうか?
それでは穀物不使用のドッグフードは、穀物を使用したドッグフードよりどのような点が優れているのか、一緒に確認していきましょう。
穀物不使用(グレインフリー)のドッグフードが、小麦やトウモロコシを使用したドッグフードよりワンちゃんの体に良いと注目されている理由は、消化が良いから。
ワンちゃんは主原料に穀物が使用されているドッグフードより、穀物不使用のドッグフードのほうがスムーズに消化できます。
そのため愛犬の体に余計な負担を与えることなく、栄養が吸収できると注目されているのです。
そもそもワンちゃんが穀物不使用のドッグフードのほうが消化しやすい理由は、犬の体は肉や魚をスムーズに消化できる反面、穀物の消化は苦手だから。
ですから肉や魚がメインに使用される穀物不使用のドッグフードのほうが、ワンちゃんの体に合っているのです。
ワンちゃんが穀物を消化しにくい理由は、犬の祖先であるオオカミの影響です。
肉食のオオカミが主食とするのは、鹿や馬、小動物などの肉。そのためオオカミの腸は、長さが体長の約4倍と短く、穀物などの繊維が多く含まれる食べ物の消化には向いていません。
なお穀物をスムーズに消化できるかどうかは、腸の長さによって決まります。腸が長ければ長いほど穀物をスムーズに消化できます。
その証拠に草食動物のウシの腸の長さは体長の20倍以上。腸がとても長いため、穀物に含まれる食物繊維もじっくり時間をかけて消化することができます。
それに対して犬の腸の長さは、体長の約5~7倍。祖先のオオカミより長いとはいえ、ウシに比べるとはるかに短く、大量の穀物を消化するのは苦手です。
とくに消化器官が未熟な子犬や消化力が落ちてくる高齢のワンちゃんの中には、穀物をうまく消化できず消化不良を起こすこともあります。
すると、消化しきれなかった穀物を異物と勘違いして免疫反応が敏感に反応。体にかゆみや赤みが起こったり、毛並みのパサつき、脱毛、涙やけなど、さまざまな不調が引き起こされるのです。
また穀物のなかでも小麦は、ワンちゃんがアレルギーを起こしやすい食品の1つ。
免疫機能が発達途中の子犬はアレルギー反応を起こしやすいので、愛犬の体に異変がないか確認しながら慎重に与えるか、もしくは1才になるまで与えないほうが安心です。
その点、穀物不使用のフードであれば消化不良や小麦アレルギーの心配なく、子犬から高齢のワンちゃんまで安心して与えることができます。
穀物を消化するには長い腸が必要!
犬の腸の長さは体長の5~7倍と短く、穀物の消化には不向きです
また穀物不使用のドッグフードは消化不良を防ぐ以外にも、愛犬の体に良い点があるといいます。
穀物不使用のドッグフードは穀物がメインに使用されているドッグフードより、栄養面においても優れています。
それは愛犬が食事から摂取する必要がある、10種の必須アミノ酸を効率よく補えることです。
アミノ酸とは、タンパク質のもととなる成分のこと。
皮膚や毛、骨、内臓、血液、筋肉、神経などの全身の細胞は、約20種類のアミノ酸がさまざまな組み合わせのタンパク質をつくることで構成されています。
そのためアミノ酸は愛犬の体の維持に欠かせません。
なお20種類のアミノ酸のうち、10種類はワンちゃんの体内で必要量をつくり出せますが、残りの10種類は体内で十分な量をつくり出せません。
この体内で必要量をつくり出せない10種のアミノ酸が「必須アミノ酸」。食事で補う必要がある成分です。
犬に必要な10種の必須アミノ酸
これら10種の必須アミノ酸を補うには、タンパク質を十分に摂取する必要があります。
ただ、どんなタンパク質にも10種類の必須アミノ酸がすべてバランス良く含まれているわけではありません。
10種の必須アミノ酸をバランス良く含んでいるのは、肉や魚に含まれる動物性タンパク質だけ。
穀物(小麦・トウモロコシなど)や大豆に含まれる植物性タンパク質には、10種類すべての必須アミノ酸は含まれていないのです。
小麦やトウモロコシに含まれる植物性タンパク質だけで10種の必須アミノ酸を補うには、いくつもの植物性タンパク質を摂取する必要。
すると使用量が多くなるので、ワンちゃんが消化しにくい穀物メインのドッグフードになっていまうのです。
一方、穀物不使用のドッグフードの主原料は肉や魚。どちらも動物性タンパク質が豊富に含まれているので、愛犬の体の維持に欠かせない10種の必須アミノ酸もバランス良く含まれています。
このように同じタンパク質でも、中身はまったくちがいます。
質の高いタンパク質は、肉や魚に含まれるタンパク質。愛犬の体に必要な10種の必須アミノ酸をバランス良く含んだ動物性タンパク質です。
とくに成長期の子犬や高齢のワンちゃんは体の機能が未熟・低下などの理由から、質の高いタンパク質を積極的に摂取する必要があります。
愛犬の健康維持のためにも、10種の必須アミノ酸をしっかり摂取できる穀物不使用のドッグフードはおすすめです。
以上のことから穀物不使用のドッグフードは、愛犬が消化吸収しやすく、質の高いタンパク質をしっかり摂取できる体に良いフードです。
穀物不使用のドッグフードは
質の高い動物性タンパク質がたっぷり
それでは反対に、穀物を使用したフードは愛犬の体に悪いのか確認しましょう。
前の章までは、穀物不使用のドッグフードが愛犬の体に良いことをお伝えしてきました。
そのため穀物を使用しているドッグフードは、「愛犬の体に悪い!?」「与えてはいけない?」と不安に思っている飼い主さんもいると思います。
結論からいうと、小麦やトウモロコシなどの穀物を使用したドッグフードには安全なものと注意が必要なものがあります。
まず安全なものは、「体重管理・減量目的」として穀物を使用しているダイエット用フードです。
ドッグフードの中には、ワンちゃんの体重管理のために穀物を主原料に使用しているものがあります。
トウモロコシや小麦、お米などには食物繊維が豊富に含まれているので、原材料に穀物を多く使用するとフードに含まれる繊維の量も多くなります。
なおワンちゃんは食物繊維を消化できません。そのためフードに含まれる繊維は、摂取しても排泄物となって体外へ排泄されます。
この繊維の性質を利用したのが、ダイエット用ドッグフードです。
繊維は体内に吸収されないので、いくら摂取しても太る心配がありません。
また繊維はフードのカサを増やす効果もあります。そのため体内に吸収されない繊維でフードのカサを増やせば、食べる量を減らさずにワンちゃんの摂取カロリーを調節できるのです。
そのため体重管理・減量用のフードの多くは主原料に穀物が使用されています。このように目的を持って使用されている分は何も問題ありません。
ほかにも原材料の1つとして少量の穀物が使用されている場合もOKです。
穀物は体を動かすエネルギー源を効率よく補えるだけでなく、腸内環境を整える食物繊維も豊富に含まれています。
そのためダイエット用フードでなくても、少量の使用であれば問題ありません。
一方、ダイエット用フードではないにも関わらず、主原料に穀物が使われている場合は注意が必要。穀物に含まれる繊維を利用して、フードのかさ増しをしている場合があります。
なお、かさ増しの場合はコスト削減目的。ほかにも副産物(チキンミール・ポークオイル)や4Dミート(病気や死んだ家畜)など、低品質で粗悪な原材料が使用されている危険性があるので選んではいけません。(※003-危険な原材料の記事をリンク)
以上のことから愛犬に与えるドッグフードは、穀物不使用もしくは主原料は肉や魚でその他の原材料として少量の穀物が使用されているドッグフードを選びましょう。
ダイエット用フードは穀物が多くても問題なし
通常のドッグフードも少しの量なら
腸内環境の改善に役立ちます
穀物不使用(グレインフリー)のドッグフードは、質の高いタンパク質が豊富に含まれているので、成長期や高齢のワンちゃんには特におすすめです。
またワンちゃんが消化しにくい穀物が一切含まれていないので、お腹の弱いワンちゃんも安心して食べられます。
穀物不使用のドッグフードを与えたことのない飼い主さんも、ぜひ一度は肉や魚がたっぷり使用された穀物不使用のドッグフードを愛犬に試してみてくださいね。
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