ベストなカロリーは?
- 360~380kcalの標準レベルのフードがおすすめ
- 食欲旺盛のワンちゃんは360kcal以下の低カロリー
- 食欲のないワンちゃんは380kcal以上の高カロリー
ドッグフードの栄養バランスは、高タンパクや低カロリー、食物繊維たっぷりなど、種類によってバラバラ。
タンパク質の割合が10%や30%以上、カロリーが300 kcal未満や400 kcal以上など、フードによって大きな差があるため、どの栄養バランスのフードが良いのか迷いますよね。
そこで犬のごはん塾では、市販のフードの栄養バランスを徹底分析。その結果をもとに、犬のごはん塾が考える「栄養のベストバランス」の基準を設定しました。
また肥満や食欲不振、高齢など、目的別に注意が必要な栄養素についても調べましたので、栄養バランスの基準とあわせてチェックしていきましょう。
犬のごはん塾が考える「ドッグフードに含まれる栄養のベストバランス」は、タンパク質と脂質の割合が多く、カロリーや繊維、ミネラルなどの栄養素は標準レベルで構成されているものです。
犬のごはん塾が考える、栄養のベストバランス
栄養素 | レベル |
---|---|
カロリー | 標準 |
タンパク質 | 高い |
脂 質 | やや高い |
粗繊維 | 標準 |
ミネラル 他 | 標準 |
【カロリー】ワンちゃんの体を動かくエネルギー源
【タンパク質】被毛や皮膚、筋肉、ホルモンなど全身の細胞の構成成分
【脂質】皮膚や被毛の健康維持に必要不可欠
【粗繊維】腸内環境を整える
【ミネラル他】カルシウムやリン、ナトリウムなど全身の組織に関わる
それでは上記の表をベストバランスだと考える理由について、カロリーから順に確認していきましょう。
ドッグフードはワンちゃんの体重や年齢別に、1日分の給与量(フードの量)が設定されています。そのためメーカーの指定する給与量を守っていれば、フードのカロリーはそれほど気にする必要はありません。
なお1日分の給与量は、ワンちゃんの1日に必要なエネルギー(カロリー)が補える適正量が設定されています。
そのため低カロリーフードであれば、1日分のエネルギーを満たすために給料量は多くなり、高カロリーのフードであれば、少量で1日分のエネルギーが満たされるので給与量は少なくなります。
このことから食欲旺盛のワンちゃんには、1日分の給与量が比較的多い低カロリーフードがおすすめ。高カロリーフードより食べる量が多いので、食欲旺盛のワンちゃんも食べごたえがあり満足感があります。
反対に、高カロリーフードは食欲のないワンちゃんやたくさんの量を食べられない高齢のワンちゃんにおすすめです。
高カロリーのフードは、1日分の必要なエネルギーを少量で効率的に補えるメリットがあります。
そのため食欲のないワンちゃんや一度にたくさんの量を食べられない高齢のワンちゃんでも、少しの量で必要なエネルギーを補うことができます。
また食事面でとくに悩みのないワンちゃんは、低カロリーと高カロリーのどちらのフードを与えても問題ありません。
そこで犬のごはん塾では、一般的なフードの標準値である360~380kcalをベストな数値に設定しました。
ベストなカロリーは?
タンパク質はワンちゃんの被毛や皮膚、ツメ、筋肉、臓器、ホルモンなど、全身の細胞のもととなる重要な栄養素。
不足すると、成長不良や毛並みのパサつき、貧血、筋肉の衰え、免疫力の低下などの症状が引き起こされるため、十分な量を摂取する必要があります。
ちなみにペットフードの栄養基準を定めるAAFCO(米国飼料検査官協会)によると、1日あたりに必要なタンパク質の割合は成犬で18%以上、成長途中の子犬で22%以上です。
ただAAFCOの基準はワンちゃんに必要な最低量が設定されているので、犬のごはん塾では子犬の最低必要量を十分に摂取できる25%以上をタンパク質のベスト値だと考えています。
なおタンパク質は、量のほかに何由来のたんぱく質であるかも重要です。
ワンちゃんの体に必要な質の高いタンパク質は、小麦や大豆由来の植物性タンパク質より肉や魚由来の動物性タンパク質。
なぜなら肉や魚由来の動物性タンパク質には、ワンちゃんが食事から摂取する必要がある9種の必須アミノ酸がバランス良く含まれているからです。
このことから主原料に肉や魚が使用され、さらにタンパク質の割合が25%を超えるフードが特におすすめです。
ベストなタンパク質の割合は?
脂質は被毛に潤いを与えて毛並みを美しく保ち、皮膚から奪われる水分量を調節して乾燥を 防止する働きがあります。
脂質の中でもとくに重要なのが、必須脂肪酸と呼ばれるオメガ6とオメガ3。オメガ6は鶏の脂身や菜種など、オメガ3は魚の油や亜麻仁に含まれる油の成分です。
この2つの必須脂肪酸(オメガ6・オメガ3)が不足すると、毛並みにツヤがなくなるだけでなく、湿性の皮膚炎や生殖機能の低下、傷の治りが遅くなるなどの症状が引き起こされます。
そのため皮膚の乾燥・毛並みのパサつきなどの症状がある場合は、原材料に鶏の油や菜種、魚、亜麻仁が使用されているフードでオメガ6とオメガ3を十分に摂取させてあげましょう。
ちなみにペットフードの栄養基準を設定するAAFCOでは、脂質の必要量を成犬で5.5%以上、子犬(幼犬)で8.5以上と定めています。
ただこの量はワンちゃんに必要な最低限の量なので、犬のごはん塾では脂質のベスト値を一般的なフードの標準値である12%以上と設定しました。
またオメガ3やオメガ6が豊富に含まれているフードであれば、脂質量17%以上のフードもおすすめです。
ベストな脂質の割合は?
フードの栄養成分に表示されている「粗繊維」とは、フードに含まれる食物繊維の大まかな値を示しています。
「粗」は大まかな、だいたいのという意味。繊維以外の成分も多少含まれている値ですが、粗末なものという意味ではありません。
とはいえワンちゃんは食物繊維を摂取しても消化できないため、一部では「食物繊維はワンちゃんの体に不要・ワンちゃんの体に悪い」という意見があります。
しかしそれは大きな誤解。食物繊維は体に悪いどころか、ワンちゃんの腸内環境を整える大切な役割があるのです。
なお腸内環境を整えるには、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の両方をバランス良く摂ることが重要だと考えられています。
水溶性食物繊維は海藻や果物に、不溶性食物繊維は穀物や野菜、豆類などに多く含まれているので、便秘に悩むワンちゃんにはこれらの食品が含まれているフードを選びましょう。
また高齢のワンちゃんは腸の働きの低下にともない便秘になりやすいので、普段から食物繊維を摂取させて良好な腸内環境を維持できるように心がけることも大切です。
そこで犬のごはん塾では、フードに含まれる繊維のベストバランスを3~4.5%に設定。
繊維は量が多くても少なくても下痢や便秘の原因になりやすいので、市販のフードの標準値である3~4.5%が適量だと判断しました。
ベストな繊維の割合は?
ミネラルやビタミンは必要量がごくわずかなため、タンパク質や脂質を十分に摂取できていれば自動的にミネラルやビタミンも必要量が満たされると考えられています。
そのためミネラルやビタミンは、摂取不足より過剰摂取に注意が必要。とくに注意が必要なミネラルは、カルシウム、ナトリウム、リン、マグネシウムの4つです。
まずカルシウムの過剰摂取に注意が必要なのは、ゴールデンレトリーバーやグレートデンなどの大型犬の子犬。
大型犬は体が未熟な子犬期にカルシウムを過剰摂取すると、股関節形成不全などの骨格異常を引き起こす恐れがあります。
カルシウムは骨や歯の発達に欠かせない栄養素ですが、大型犬の子犬にはカルシウムを強化したフードは避けましょう。
またナトリウムやマグネシウム、リンの過剰摂取を避けたほうが良いのは、高齢のワンちゃんです。
ナトリウムやリンなどの過剰摂取は、高齢のワンちゃんに多い腎臓病や心臓病のリスクを高める危険性があります。
病気を防ぐためには、8才以上のワンちゃんは少しずつ摂取量を控えていくことをおすすめします。
ミネラルの注意点は?
※さらに詳しい説明は次の章で解説します
以上が犬のごはん塾が考える、ドッグフードに含まれるベストな栄養バランスです。
健康面に問題のないワンちゃんは、この栄養バランスを参考にフードを選んでみてください。
続いては、肥満や毛ツヤがない、高齢などの健康面に悩みのあるワンちゃんにむけた、栄養バランスのポイントです。
肥満や皮膚の乾燥、毛ツヤがない、高齢などの体の症状によって、積極的な摂取が必要な栄養素や摂取量を控えたい栄養素があります。
それぞれの症状別に注意が必要な栄養素のポイントは下記のとおり。愛犬の健康状態にあわせて、フード選びの参考にしてください。
目的別・フード選びのポイント
それぞれの注意点を詳しく見ていきましょう。
●肥満・太りぎみ
ぽっちゃり体型のワンちゃんには、カロリーや脂質を抑えたフードがおすすめ。
肥満は糖尿病のリスクや骨への負担など、健康状態を悪化させる原因です。しかし極端に食事の量を減らすと、必要な栄養まで不足する恐れがあります。
そこで肥満傾向のワンちゃんには、低カロリーフードを選んであげましょう。
脂質量を抑えた低カロリーフードは、必要な栄養を補いながらエネルギーの過剰摂取を予防できます。
また高カロリーのフードよりも設定されている給与量が多いので、ワンちゃんも食べごたえがあります。
●食欲不振・妊娠・授乳中
食欲のないワンちゃんや妊娠・授乳中のワンちゃんには、高カロリーのフードがおすすめです。
高カロリーフードの特徴は、少しの量でエネルギーを効率よく補えること。
そのため食欲のないワンちゃんや口腔内の病気などで一度に多くの量が食べられないワンちゃんでも、1日に必要なエネルギーを摂取しやすいです。
また妊娠後期や授乳中は、通常よりも2~8倍のエネルギーが必要になるので、高カロリーフードで効率よくエネルギーを補給しましょう。
●便秘・下痢
炭水化物に含まれる食物繊維は、腸内環境を整える役割があります。そのため繊維をうまく摂り入れることで、便秘・下痢の改善が期待できます。
おすすめは繊維が3%以上含まれているフードです。
また高齢になると腸の働きの低下により便秘を起こしやすくなるので、高齢のワンちゃんも繊維が3%以上含まれているフードを与えるようにしましょう。
●被毛・皮膚の乾燥
皮膚の乾燥や毛ツヤがない、毛が少なくなってきたなど、皮膚や被毛でお悩みのワンちゃんにはオメガ6とオメガ3を十分に摂取させることが大切。
オメガ6とオメガ3は、食事から摂取する必要がある油の成分(必須脂肪酸)です。
ただオメガ6は肌のバリア機能を整える役割がある反面、過剰摂取すると体内や皮膚に炎症を引き起こす危険性があります。
一方、オメガ3はオメガ6による炎症を抑える働きがあります。
このことから被毛や皮膚の健康には、オメガ6とオメガ3をバランス良く摂取することが重要です。
ちなみにペットフードの栄養基準を設定するAAFCO(米国飼料検査官協会)では、オメガ6(リノール酸)は幼犬で1.3%、成犬で1.1%。オメガ3を幼犬で0.13%(成犬は未設定)と設定されています。
皮膚や被毛でお悩みのワンちゃんには、オメガ6とオメガ3がこれらの値以上のフードを選びましょう。
●大型犬の子犬
カルシウムは骨の発達に欠かせない栄養素ですが、ラブラドールレトリーバーなどの大型犬は幼少時にカルシウムを過剰摂取させてはいけません。
大型犬の子犬にカルシウムを過剰摂取させると、股関節形成不全などの骨格異常を起こす危険性があります。
大型犬は大きな体を支えるために、骨や筋肉などを十分に発達させる必要がありますが、幼少期にカルシウムを過剰摂取させると、骨だけが成長しすぎて骨格障害を引き起こしてしまうのです。
そのため大型犬の子犬には、カルシウム量が1.8%以内のフードを与えるように注意しましょう。
またカルシウムを強化したおやつも避けるほうが安心です。
●高齢犬
一般的に8才以上の高齢犬になると、代謝や体の機能がだんだん衰えてきて、腎臓病や心臓病、感染症などにかかりやすくなります。
しかし腎臓病・心臓病・尿路結石の3つは、栄養成分に注意することでリスク予防ができます。
腎臓病はリンとナトリウムのほかに、タンパク質も摂取量を抑える必要がありますが、腎臓病を発症していない健康な高齢犬の場合は、まずはリンとナトリウム量を減らして発症リスクを下げましょう。
また心臓病は高齢犬に多い病気の1つ。心臓病になると、体内の余分なナトリウムを排出できなくなるので、健康なうちからナトリウムの摂取量を減らしておくことが予防のポイントです。
尿路結石はリン、マグネシウム、タンパク質の摂取量を抑える必要があるため、予防の段階ではまずマグネシウムとリンの摂取量を抑えましょう。
ドッグフードに含まれる栄養バランスは種類によってちがうので、愛犬の健康状態を見ながらベストな栄養バランスのフードを与える必要があります。
またフードに設定されている給与量はあくまで目安なので、給与量どおり与えているのに体重の増減がある場合は、少しずつフードの量を調節してあげましょう。
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