犬の便秘はいつから?嘔吐・下痢・便秘が3日以上は病気?

犬の便秘はいつから?嘔吐・下痢・便秘が3日以上は病気?

「愛犬が便秘になったら、どうすれば良い?」

散歩に行くと毎回ウンチをしていた愛犬が、急にウンチをしなくなると不安になりますよね・・。

犬が便秘になる原因は、ドッグフードの変更や水分不足、ストレス、病気などさまざまです。

そこで、犬は何日から便秘なのか、便秘の原因と解消方法、病院に行くタイミングについて、一緒に確認しましょう。

チェックポイント!

突然、愛犬がウンチをしなくなった!

犬の便秘はいつからなのか、愛犬の便秘の原因や改善方法について見ていきましょう

それではまいります。

犬の便秘はいつから?

犬の便秘はいつから?

犬の1日の排便回数は、愛犬によってバラバラです。1日1回の犬もいれば、散歩のたびに1日3回以上も排便する犬もいます。

ただ排便回数に関係なく、便が2日以上まったく出ない場合は「便秘」だと判断できます。

愛犬の便秘の危険性は?

愛犬が便秘になったら、すぐ病院へ連れて行ったほうが良いのか、それともしばらく様子を見て大丈夫なのか、迷いますよね。

そこで、まずは愛犬の様子を確認します。

便秘のほかに体の不調が見られず、愛犬に元気や食欲もあるようなら、一時的な便秘の可能性が高いのでしばらく様子を見ましょう。

愛犬の便秘の危険性は?

一方、便秘以外にも、しぶり(排便しようと力むが便が出ない)、尿が出にくい(または尿の量が少ない)、嘔吐、大量のよだれ、元気・食欲がないなどの症状が見られたら要注意。

誤飲や病気によって便秘が起こっている恐れがあり、早急な治療が必要な場合もあります。

とくに愛犬に元気・食欲がない、嘔吐を繰り返すなどの症状が見られたら、すぐ病院へ連れていきましょう。

犬の便秘の原因は?

犬の便秘の原因は?

そもそも犬が便秘になる原因は、ストレスや食事の変化、水分不足、誤飲、病気など、さまざまです。

犬の便秘の原因

  1. 食事の変化
  2. 水分不足
  3. 運動不足
  4. ストレス
  5. 病気(腸閉塞、前立腺肥大、会陰ヘルニアなど)

1つずつ詳しく見ていきましょう。

【原因①】食事(急なフードの変更・繊維不足など)

【原因①】食事(急なフードの変更・繊維不足など)

食事内容が変わると胃腸にかかる負担も変わるため、それが原因で便秘を起こすことがあります。

食事内容の変化の中でも便秘を引き起こしやすいのは、次の4つです。

食事の変化による便秘の原因は?

  1. 新しいドッグフードに急に切り替えた
  2. 食物繊維の不足、または摂りすぎ
  3. カルシウムの摂りすぎ

1つずつ確認しましょう。

①新しいドッグフードに急に切り替えた

①新しいドッグフードに急に切り替えた

今まで与えていたドッグフードから別の種類のフードに急に切り替えると、胃腸が対応しきれずに便秘を起こす場合があります。

とくに消化器官が未熟な子犬や体の機能が低下した高齢犬で起こりやすく、便秘の症状のほかに下痢や嘔吐を起こす場合もあります。

そのため新しいドッグフードへの切り替えは、今まで与えていたフードに新しいフードを10%ずつ混ぜて、少しずつ体に慣れさせてあげましょう。

なお、切り替えの移行期間は1~2週間くらいが目安です。

●生後10ヶ月ころは便秘になりやすい?
生後10ヶ月前後は、体の成長が落ち着いて子犬から成犬へ移行する大切な時期です。

また子犬と成犬では体に必要な栄養がちがうため、生後10ヶ月前後は食欲の低下や便秘などが起こりやすい時期でもあります。

とくに小型犬は成長期が短く、生後8~9ヶ月頃には成犬へと成長します。

愛犬の食欲が落ちて子犬用のフードを残すようになったり便秘の症状が見られた場合は、体が成犬用のフードを受け入れる準備ができた合図かもしれません。

愛犬の様子を見ながら、生後8~10ヶ月頃には子犬用から成犬用のフードへ徐々に切り替えていきましょう。


②食物繊維の不足

②食物繊維の不足

食物繊維の摂取量が足りないと、腸の働きが鈍くなり便秘が起こりやすくなります。

そもそも食物繊維は便のかさを増やしたり腸のぜん動運動を促すなど、腸内環境を整えて便秘を予防・改善する働きがあります。

ただ摂りすぎると、腸への刺激が強すぎて便秘が悪化したり下痢を引き起こす場合もあるので注意が必要です。

そこでおすすめなのが、繊維の量が3~4.5%で調整されたドッグフードです。

市販のドッグフードに含まれる繊維(粗繊維)の平均値である3~4.5%を目安にドッグフードを選びましょう。

●主原料が変わると、ウンチの量が変わる!

ドッグフードの主原料が肉・魚の場合は、ウンチの色は濃いこげ茶色。
穀物が主原料の場合は、薄茶色のウンチが出やすいです。

また犬は穀物より肉や魚のほうが吸収しやすいので、穀物メインのドッグフードから肉・魚がメインのドッグフードに変更すると、ウンチの量が減る傾向があります。


③カルシウムの摂りすぎ

③カルシウムの摂りすぎ

カルシウムが豊富な骨や小魚などを食べ過ぎると、便にカルシウムが混ざり白ぽく硬い状態へと変化します。

便が硬いので排泄しにくく、便秘を起こす原因の1つです。

なお、大型犬の子犬はカルシウムを過剰摂取すると、股関節形成不全などの骨格異常を起こす危険性があるので、与え過ぎは危険です。

また歯が折れる摩擦で擦り減るなどのリスクを避けるためにも、毎日与えるのは避けましょう。

便秘を解消するには?

便秘を解消するには?

食事が原因の便秘は、食事で改善できます。食物繊維が豊富なリンゴやバナナなどの果物や野菜、乳酸菌が含まれるヨーグルトなどを与えて、腸内環境を整えてあげましょう。

●便秘の改善におすすめの食材

りんご、バナナ、さつまいも、キャベツ、大根、ヨーグルト(無糖)

※りんご・大根は、擦り下ろしたものを与えてもOK

また腸に溜まった便の水分は、どんどん腸壁に吸収されて硬くなっていきます。

硬くなった便が詰まると、新しく作られた便が出ようとしても排泄できず、便秘がどんどん悪化する場合も・・。

そのため愛犬が便秘になったら、水分をたっぷり摂取させて便が硬くなるのを防ぐことが大事です。

水だけを与えても飲まないようであれば、少量のドッグフードをぬるま湯(40℃前後)や鶏のゆで汁でふやかして、水分を摂取させましょう。

水だけを与えても飲まないようであれば、少量のドッグフードをぬるま湯(40℃前後)や鶏のゆで汁でふやかして、水分を摂取させましょう。

それでも便秘が治らない場合は・・

それでも便秘が治らない場合は・・

リンゴやバナナ、ヨーグルトを与えたり、水分をしっかり摂らせても便秘が改善されない場合は、動物病院で診てもらいましょう。

便秘が長期間続くと、結腸に大量の便が溜まる「巨大結腸症」を発症する危険性があります。

巨大結腸症になると、元気・食欲の低下、嘔吐、脱水など別の症状も見られるため、緩下剤(作用の緩やかな下剤)を使って便を排泄させる必要があります。

巨大結腸症になる前に、愛犬の便秘が3日以上続いたら病院へ連れていきましょう。

チェックポイント!

便秘のほかに体の不調がなければ、水分を多めに摂らせたりリンゴやヨーグルトを与えて様子をみましょう

ただ愛犬に元気・食欲がない、嘔吐など別の症状があったり、便秘が3日以上続いている場合は、すぐ病院へ連れていきましょう

つづいて、食事以外の便秘の原因を見ていきましょう。

【原因②】水分不足

【原因②】水分不足

水を十分に摂取できていないと、便に含まれる水分量も少なくなり硬い便がつくられます。

とくに注意が必要なのが、高齢犬です。

犬は高齢になるに連れて、のどの渇きに鈍感になり水を飲む量が少なくなる傾向があります。

また腸の動きの低下から便が固くなりやすく、さらに排便時の力むパワーも衰えるので便秘になりやすいです。

そのため高齢犬はとくに水分をしっかり摂取させることが大事。

フードをぬるま湯でふやかしたり、水分量が70%以上含まれるウェットフードを利用して、便が硬くなるのを予防してあげましょう。

【原因③】運動不足

【原因③】運動不足

運動不足も便秘を起こす大きな原因です。

通常、便は腸のぜん動運動によって排泄を促されますが、運動不足になると腸のぜん動運動が低下しやすく、便を押し出す力も弱まって便秘が起こります。

また運動量が少ないと水を飲む量も少なく、便が硬くなりやすく便秘をさらに悪化させる原因に・・。

なお、散歩は運動の目的だけでなく、外の臭いの刺激によって排便を促す効果もあります。

ただ散歩の時間が短すぎると、愛犬が排泄したくても便が出せず、その繰り返しで便秘を引き起こすこともあるので、できるだけ散歩はゆっくり時間を取ってあげましょう。

【原因④】ストレス

【原因④】ストレス

愛犬は私たちが思っている以上に、些細なことにストレスを感じることがあります。愛犬の便秘は、そんなストレスが原因の場合があります。

たとえば、環境の変化(引っ越し、新しい家族・ペットを迎えたなど)やドッグフードの変更、トイレの位置が変わっただけでストレスを感じて便秘になる場合も・・。

●どうして、ストレスが原因で便秘になるの?

そもそも便を排泄するには、腸のぜん動運動が欠かせません。

しかし、ストレスを感じると腸のぜん動運動をコントロールする自律神経が乱れて、腸のぜん動運動が低下・・。

その結果、腸の動きが鈍くなり便秘が引き起こされるのです。

そのため、愛犬にストレスを与えているものがないか、生活環境を一度チェックしてみましょう。

また愛犬とスキンシップをはかって、安心させてあげることも大切です。

そのとき、腸の活動を促すようにお腹をマッサージしてあげれば、便秘の改善も期待できます。

そのとき、腸の活動を促すようにお腹をマッサージしてあげれば、便秘の改善も期待できます。

【原因⑤】病気(腸閉塞、前立腺肥大、会陰ヘルニア)

【原因⑤】病気(腸閉塞、前立腺肥大、会陰ヘルニア)

便秘のほかにも嘔吐、元気・食欲がない、大量のよだれ、ぐったりしている、お腹を痛がる、触られるのを嫌がるなどの症状が見られたら、病気の危険性があります。

すぐ、動物病院へ連れていきましょう。

便秘で疑われる主な病気は、つぎのとおりです。

便秘で疑われる病気

  • 腸閉塞
  • 鼠径(そけい)ヘルニア
  • 前立腺肥大
  • 会陰(えいん)ヘルニア

1つずつ確認しましょう。

●腸閉塞
腸閉塞は、骨やガム、おもちゃが腸に詰まった状態のこと。誤って飲み込んだ内容物が腸で詰まり、それが便の排出を邪魔することで便秘が起こります。

誤飲した内容物が胃にとどまっているときは、大量のよだれが出たり何度も吐き出そうとする仕草が見られます。

また、内容物によって腸を完全に閉じられると、激しい腹痛によって脈や呼吸が早まり、最悪の場合は命を落とす危険な状態です。

腸に詰まった内容物を取り出すための手術が必要なので、すぐ病院へ連れていきましょう。

●鼠径(そけい)ヘルニア
鼠径(そけい)ヘルニアは、鼠径(そけい:後ろ足の付け根あたり)にある隙間から臓器がはみ出る状態のこと。

ヘルニアとは・・

ヘルニアとは、臓器が本来ある場所からはみ出した状態のこと

【症状】
下腹部あたりがポコッと膨らむのが特徴。初期はお腹の膨らみも少なく、目立った症状はありません。

しかし鼠径(そけい)部分の隙間に腸がはみ出ると、腸閉塞を起こして便秘や嘔吐、食欲不振、元気がなくなるなどの症状が見られます。

【原因】
発症原因は遺伝的な影響が大きいですが、事故などの衝撃や加齢による筋肉の衰えによっても発症します。

【発症しやすい犬種】
とくに若齢の男の子と高齢の女の子に多いので、注意が必要です。

また、便秘がちで排便時に力んだりよく吠えるワンちゃんも下腹部に圧力がかかりやすく、鼠径(そけい)ヘルニアのリスクを高める危険性があります。

下腹部あたりに膨らみを感じたら、一度獣医さんに診てもらいましょう。

●前立腺肥大
前立腺肥大は、去勢手術を受けていない5歳以上の中高齢のオス犬に発症の多い病気です。

【症状】
尿道の周辺にある前立腺が肥大することが原因で、尿の量が少なくなる、血尿、便秘、しぶり(排便しようと力むが出ない)などの症状があらわれます。

【原因】
はっきりとした原因は分かっていません。

ただ、ホルモンバランス(エストロゲン・アンドロゲン)の乱れが影響していると考えられており、去勢手術を受けることで発症リスクを低下できます。

【発症しやすい犬種】
去勢手術を受けていない5歳以上の中高齢のオス犬。

●会陰(えいん)ヘルニア
会陰(えいん)ヘルニアは、会陰(肛門のまわり)にある筋肉の隙間から、臓器がはみ出る状態のこと。

肛門を中心に両側で発生する場合と、片方だけで発生する場合があります。

【症状】
肛門周辺の筋肉が薄くなったところに、腸管や脂肪、膀胱などがはみ出ることで発症。

会陰(えいん)ヘルニアは、腸管がはみ出すことが多く、便秘やしぶり(排便しようと力むが出ない)、排便時に痛がるなどの症状が見られます。

【原因】
ホルモンバランスの乱れ、前立腺の病気、慢性的な便秘などの影響により、肛門の筋肉が薄く緩むことで発症します。

【発症しやすい犬種】
去勢していない6歳以上の男の子に多いため、去勢手術を受けることで発症リスクを低下できます。

まとめ

愛犬の便秘に気づくには、普段から愛犬の便の状態を把握しておくことも重要です。

下記の理想のウンチを目安に、ぜひ愛犬のウンチの状態をチェックしてください。

●理想のウンチは?

【硬さ】持ち上げても形が崩れない程度
【色】食べ物によって色が変わるので、普段の色と比較する
(お肉が多いフードは濃い茶色、穀物が多いフードは薄い茶色です)
【回数】愛犬によってバラバラなので、愛犬の普段の回数と比較する

(参考文献)
【一般社団法人ペットフード協会・ペットフート販売士認定講習会テキスト】
「犬・猫の体の構造と生理」より

参考サイト:犬のからだセミナー-便編-
参考サイト:犬の病気-便秘-
参考サイト:便の異常

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